9-22 がんの骨転移機序の解明と骨転移の予防および治療法の開発
 
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9-22 がんの骨転移機序の解明と骨転移の予防および治療法の開発

主任研究者 徳島大学医学部 松本 俊夫


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
松本 俊夫
徳島大学医学部 教授
多発性骨髄腫の骨病変成立機序とその治療法の開発
尾形 悦郎
財団法人癌研究会附属病院 院長
がんの骨転移の骨代謝マーカーによる評価と薬物治療に関する研究
小澤 英浩
新潟大学歯学部 教授
がんの骨転移とその抑制機構に関する微細構造学的研究
清木 元治
東京大学医科学研究所 教授
乳がんの転移と膜型マトリックスメタロプロテアーゼ
鶴尾 隆
東京大学分子細胞生物学研究所 教授
骨細胞系による骨転移性腫瘍の増殖制御機構に関する研究
永田 直一
防衛医科大学校 病院長
癌骨転移の成立進展と破骨細胞の形成及び活性制御機構
有広 光司*1
国立呉病院中国地方がんセンター
がん細胞の骨転移巣形成におけるがん細胞と破骨細胞及び骨芽細胞との相互昨用
倉都 滋之*1
国立呉病院
転移性骨腫瘍のメカニズムの解明に関する研究および治療法の開発 
福富 真里恵*1
国立病院九州がんセンター
肝細胞癌における骨転移合併例の臨床的検討
松峯 昭彦*1
国立大阪病院
転移性骨腫瘍に対する新しい手術療法の開発
万代 光一
国立病院四国がんセンター 科長
剖検例を用いた悪性腫瘍骨転移機序の臨床病理学的研究
*1:平成11年4月1日−平成12年3月31日


平成12年度研究報告 研究成果の要旨

がん細胞と骨との相互関係の解明を通じ骨転移の機序を明らかにすると共にその診断、治療法の開発を進めた。1)骨代謝マーカーが乳がん患者の生命予後や骨関連事象の予測に有用であることを示した。骨基礎質中のIGFがNF-κBを解する増殖促進、アポーシス阻害により乳がん細胞の骨転移を促進する可能性が示された。乳がん細胞はVEGFを発現し血管新生や破骨細胞形成に関与する可能性を示した。 2)がん細胞膜に発現する基質分解酵素MT-MMPが浸潤偽足部分にCD44との結合を介するアクチンによる制御で局在し、MT-MMPのCD44切断活性が細胞移動時の偽足の遊離に関わる可能性を示した。3)がん細胞が産生する骨吸収因子の多くが、がん細胞自身或いはその接触下で間質細胞、血管内皮細胞でのCOX-2の誘導によりPGE2産生を促進し、破骨細胞形成を促進することを明らかにした。骨髄腫細胞がMIP-1を産生しMIP-1は間質細胞との接着や骨吸収を促進することを見出した。4)骨吸収抑制薬ビスフォスフォネートの骨転移、骨髄腫治療への応用などの新しい治療法の検討を進めた。


平成11年度〜12年度総合研究報告 研究成果の要旨

がん細胞と骨との相互関係の解明を通じ骨転移の機序を明らかにすると共にその診断、治療法の開発を進めた。1)乳がん患者では手術後長期にわたり骨転移が出現すること、骨代謝マーカーが乳がん患者の生命予後や骨関連事象の予測に有用であることを示した。乳がん細胞はVEGFを発現し血管新 生や破骨細胞形成に関与する可能性を示した。2)がん細胞膜に発現する基質分解酵素MT-MMPががん細胞の浸潤偽足部分にCD44との結合を介するアクチンによる制御で局在し、MT-MMPのCD44切断活性が細胞移動時の基質からの偽足の遊離に関わる可能性を示した。3)がん細胞が産生する骨吸収因子の多くが、がん細胞自身あるいはその接触下で間質細胞、血管内皮細胞でのCOX-2の誘導によりPGE2産生を促進し、EP4受容体を介した破骨細胞形成の促進をもたらすことを明らかにした。骨髄腫細胞がMIP-1を産生しMIP-1は間質細胞との接着や骨吸収を促進することを見出した。4)骨吸収抑制薬ビスフォスフォネートの骨転移、骨髄腫治療への応用などの新しい治療法の検討を進めた。

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成12年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01