9-33 消化器がん発生に影響する食品中の要因に関する研究
 
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9-33 消化器がん発生に影響する食品中の要因に関する研究

主任研究者 名古屋市立大学医学部 朝元 誠人


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
朝元 誠人
名古屋市立大学医学部 講師
消化器がん発生の促進または阻止物質の検索
太田 隆英*1
金沢医科大学医学部 講師
口腔発がん発生に対する影響因子
甲野 裕之*2
金沢医科大学医学部 講師
口腔発がん発生に対する影響因子
鳥山 弘靖
国立がんセンター 研究員
1)食道発がんの促進または抑制物質の検索
2)胃・食道・大腸における食品成分の発がん修飾作用
稲田 健一
愛知県がんセンター 主任研究員
胃がん発生に対する食品中の影響因子の検索
鰐渕 英機
大阪市立大学医学部 講師
肝がん発生に対する影響要因
高橋 真美
国立がんセンター 研究員
胃および大腸がん発生に影響する食品中の要因とその作用機序に関する研究
*1:平成11年4月1日−平成12年3月31日
*2:平成12年4月1日−平成13年3月31日



平成12年度研究報告 研究成果の要旨

食品成分の消化器発がんの修飾要因とその機序を動物実験で検索し、がん予防に有用な情報を得ることを目的とした。温州みかん由来β-クリプトキサンチン、ヘスペリジン高含有パルプ(CHRP)には舌発がん抑制効果が認められた。食道発がん高感受性のヒトプロト型c-Ha-rasトランスジェニックトラットにおいて、食道上皮過形成はアルコールの投与により有意に増加した。スナネズミの腺胃発がんにおいて、ヘリコバクターピロリ菌の強力な発がん促進作用は確認されたが、食塩の相加相乗作用は観察されなかった。N-acetylcystein、S-methylcystein及びcysteinのMeIQx誘発のラット肝発がん抑制作用とIGF-1の発現抑制の相関が見られた。ケルセチン、ケンフェロール、セサモール、カテキン、酪酸ナトリウムが用量依存的にiNOSプロモーター活性を減少させ,これらの発がん抑制作用との関連が示唆された。消化器官に種々の遺伝子発現変化をおこす大豆由来イソフラボンには明らかな発がん修飾作用は見出されなかった。PhIPには強力な大腸発がん促進作用があることが明らかとなった。


平成11年度〜12年度総合研究報告 研究成果の要旨

シリマリンとβ−クリプトキサンチン、ヘスペリジン高含有パルプCHRPに、舌発がんの抑制を見出した。Helicovacter pylori感染スナネズミ腺胃発がんモデルでは高塩食の有無による腫瘍発生率の差は見出されなかった。フェルラ酸、大豆由来イソフラボンとウシラクトフェリンの混合投与による大腸発がん制御作用を見出した。エチルアルコールの食道発がんプロモーション作用が確認された。NAC、SMCおよびcysteinは、MelQx誘発のラット肝発がんを抑制し、IGF-1の発現抑制と相関が認められた。発がん抑制作用をもつ物質にはCOX-2やiNOSの転写活性抑制をもつものがあることが明らかとなった。ハルマン、ノンハルマンはMelQxの肝発がん性を減弱させたが、亜硝酸は増強した。消化器官に種々の遺伝子発現変化をおこす大豆由来イソフラボンには明らかな発がん修飾作用は見出されなかった。PhIPに大腸発がん促進作用を見出した。

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成12年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01