9-34 表面型大腸腫瘍の発育・進展に関する基礎的・臨床的研究
 
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9-34 表面型大腸腫瘍の発育・進展に関する基礎的・臨床的研究

主任研究者 新潟大学医学部 渡辺 英伸


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
渡辺 英伸
新潟大学医学部 教授
表面型大腸がんの特性は粘膜内がんの時期に決定されるのか
武藤 徹一郎*1
東京大学医学部 教授
財団法人癌研究会附属病院 副院長
分子生物学からみた表面型大腸腫瘍の形成機序
八尾 恒良
福岡大学筑紫病院 教授
発生母地と細胞異型度からみた表面型大腸がんの発育・進展(速度)の臨床像
牛尾 恭輔*2
国立がんセンター 部長
国立病院九州がんセンター 副院長
臨床経過からみた表面型大腸腫瘍の粘膜内と粘膜下以深での発育・進展速度とそれに関与する細胞生物学的因子
宮木 美知子*2
東京都立駒込病院遺伝性腫瘍 嘱託
表面型大腸癌の発生母地と細胞異型度からみた遺伝子異常
門田 守人
大阪大学医学部 教授
平坦陥凹型大腸腫瘍の肉眼的・組織学的悪性度と遺伝子異常の関連について
藤井 博昭*3
順天堂大学医学部 講師
表面型大腸腫瘍のヘテロ接合性消失の解析
遠藤 泰志*3
山形大学医学部 助手
表面陥凹型大腸腫瘍の進展に伴う遺伝子変異の推移
下田 忠和*4
国立がんセンター中央病院臨床検査部 医長
病理形態像からみた表面型大腸腫瘍の発育・進展とそれに関する遺伝子異常
西庄 勇*2 (班友)
国立大阪病院
平坦型大腸腫瘍のAPCとp53変異の解析
*1:平成9−11年度
*2:平成9、10年度
*3:平成11、12年度
*4:平成12年度



平成12年度研究報告 研究成果の要旨

表面型早期大腸腫瘍でも、adenoma(polyp)-cancer sequenceで重要な役割を果たしているK-rasやAPCの異常が認められた。K-ras変異率は、10mm未満の病変では14%であったが、10mm以上では63%であった。表面型腫瘍のK-ras変異にはintratumoral heterogeneityがあり、一病変当たりmicrodissectionサンプル中の変異平均検出率は34.5%であった。APC変異とプロモーター領域のメチル化は、表面型早期大腸がんの32%と83%、隆起型早期大腸がんの53%と79%に見られ、いずれも有意差はなかった。表面型肉眼形態を決定する主因子はがんの異型度であり、NPGがんは高異型度がんが多い。更に高異型度がんは低異型度がんに比べsm浸潤能が高く、smでの発育速度も速いと推定された。


平成11年度〜12年度総合研究報告 研究成果の要旨

表面型早期大腸腫瘍の発育・進展が早く、早期に進行がんへ進展しやすい理由は、細胞異型度の高いがん,高異型度がんが多いことに起因していた。表面型早期大腸がんの組織発生は隆起型とは異なり、de novo発生がんが多いことが推察された。しかしその発生・生長に関わる遺伝子変異は隆起型と違いはなく、APCのLOHが46%に、塩基変異が2%に、プロモーター領域のメチル化が3%に認められ、(従来表面型大腸腫瘍ではその頻度が低いとされてきた)K-ras遺伝子変異も、大きさ10m以上のものでは59%に認められた。ヘテロ接合性消失の解析では、表面型早期がんでは17p、18q、5qのLOHが50%以上に見られた。これらLOH以外に13q、22q、3q、9qなど多様なLOHが粘膜内がんに認められ、表面型大腸がんの分子生物学的特性およびそれに基づく生物学的悪性度は、粘膜内がんの時期にすでに決定されている可能性が大であることが推測された。

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成12年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01