9-35 動物の遺伝的背景の特徴を活かした発がん機構の解析に関する研究
 
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9-35 動物の遺伝的背景の特徴を活かした発がん機構の解析に関する研究

主任研究者 国立がんセンター研究所 中釜 斉


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
中釜 斉
国立がんセンター研究所生化学部 部長
大腸発がん感受性及び抵抗性遺伝子のマッピング
日合 弘
京都大学大学院医学研究科
基礎病態学講座病態生物医学 教授
癌発生の遺伝的ステップ
李 康広
虎の門病院病理部 医員
マウス肺発がん耐性遺伝子Par2の解析
曽根 秀子
国立環境研究所 地域環境研究グループ
化学物質健康リスク評価チーム 主任研究員
LECラットにおける発がん感受性要因の解析
樋野 興夫
財団法人癌研究会癌研究所実験病理学 部長
Tsc2 gene mutant動物を用いた発がん機構の解析
高須賀 信夫
国立がんセンター研究所化学療法部
主任研究官
Han:SPRDラットの腎発がん感受性の解析


平成12年度研究報告 研究成果の要旨

大腸発がん感受性遺伝子がマップされたラット第16染色体上の約30 cMを含むコンジェニックラットを用いた大腸粘膜発現遺伝子のプロファイリングにより、感受性候補遺伝子を30種同定した。ウレタン誘発肺腫瘍の抵抗性遺伝子Par2D18Mit103遺伝子座とD18Mit188遺伝子座に挟まれた約0.5cMの領域に存在することを突き止めた。DRHラットの肝発がん抵抗性に関しては、前がん病変である酵素変異フォーカスのサイズ、数、面積と高い連鎖を示す第1染色体(Drh1)と第4染色体(Drh2)のQTLが、ともに複数の抵抗性遺伝子を含んでいる可能性が示唆された。LECラットにおける肝発がん高感受性の一因としてCYP1A1 mRNA誘導能の亢進が示唆された。Eker腎発がんモデルを用いて、極く初期の前がん腎病変である変異尿細管の段階から発現する新規のがん関連遺伝子Niban遺伝子を単離・同定し、全塩基配列を決定した。Cy遺伝子による腎障害はヒトRas遺伝子により増強されることが示唆されたが、腎および乳腺発がん感受性を増強させることはなかった。


平成11年度〜12年度総合研究報告 研究成果の要旨

PhIP大腸発がんの感受性遺伝子領域を含むラット第16染色体D16Rat14 - D16Rat17 間の約 30 cMを有するコンジェニックラットを用いた発現遺伝子のプロファイリングにより、感受性候補遺伝子を30種同定した。ウレタン誘発肺腫瘍の抵抗性遺伝子Par2をマウス第18染色体上の約0.5cMの領域に存在することを突き止めた。DRHラットの肝発がん抵抗性に関しては、前がん病変であるGSP-P フォーカスのサイズ、数、面積と高い連鎖を示す第1染色体(Drh1)と第4染色体(Drh2)のQTLが、ともに複数の抵抗性遺伝子を含んでいる可能性が示唆された。LECラットにおける突然変異頻度の上昇が、銅蓄積による酸化ストレス負荷の上昇とCYP1A1等の遺伝子誘導によるDNA鎖切断の可能性が考えられた。Eker腎発がんモデルを用いて、初期の前がん腎病変である変異尿細管の段階から発現する新規のがん関連遺伝子Niban遺伝子を単離・同定した。Cy遺伝子による腎障害はヒトRas遺伝子により増強されることが示唆されたが、腎発がん感受性は増強させなかった。

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成12年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01