11-8 難治性リンパ系腫瘍の分子生物学的特徴の解明と疾患特異的治療法の開発に関する研究
 
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11-8 難治性リンパ系腫瘍の分子生物学的特徴の解明と疾患特異的治療法の開発に関する研究

主任研究者 名古屋市立大学医学部 上田 龍三


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
上田 龍三
名古屋市立大学医学部 教授
難治性リンパ系腫瘍の分子機序に基づく治療法の開発と班の総括
押味 和夫
順天堂大学医学部 教授
NK類縁リンパ腫の分子機序に基づく治療法の開発
木下 朝博
名古屋大学医学部 助手
難治性リンパ系腫瘍の病態に基づく分子マーカーの探索
谷脇 雅史
京都府立医科大学 講師
難治性リンパ系腫瘍におけるFISH法、SKY法による臨床病態の解明
飛内 賢正
国立がんセンター 医長
難治性リンパ系腫瘍の生物学的特性に基づく治療法の開発・推進
中村 栄男
愛知県がんセンター 副部長
難治性リンパ系腫瘍の臨床病理学的亜分類
島影 美鈴 (班友)
国立大阪病院 医師
がん抑制遺伝子drsのATLでの発現抑制
大橋 春彦 (班友)
国立名古屋病院 医師
血清DNA解析の悪性リンパ腫の治療効果判定への応用の可能性の検討
加納 康彦 (班友)
栃木県立がんセンター 医師
BCL-ABL tyrosine kinase inhibitor STI571と他の抗白血病薬の併用効果について
三輪 哲義* (班友)
国立国際医療センター 医長
多発性骨髄腫に対する造血器肝細胞移植時のMRDの解析
畦西 恭彦* (班友)
国立呉病院中国地方センター 医師
難治性リンパ系腫瘍に対する末梢血管細胞移植に関する研究
油布 祐二* (班友)
国立病院九州がんセンター 医長
t(11;14)を有する多発性骨髄腫細胞株MEF-1の増殖に及ぼすレチノイン酸の影響に関する研究
*:平成11年4月1日−平成12年3月31日


平成12年度研究報告 研究成果の要旨

本年度の成果として1)漫性大細胞性B型リンパ腫(DLBCL)において、CD5+群が有意に予後不良であることを検証できた(p=.0004)。本群は通常化学療法は無効であり、今後CD5-DLBCLとは別個な治療戦略の必要性が明白となった。2)NK/Tリンパ腫に関して、第二次全国調査(330症例)を行った。3)t(11;18)転座MALT型リンパ腫の間期核におけるFISH法、multiplex PCR法を確立した。肺では発現頻度が高く、胃で陽性例は悪性度の高い胃リンパ腫である。4)抗CD20キメラ抗体の臨床導入研究を、再発・再燃濾胞性リンパ腫での有効性を確認。現在、未治療濾胞性リンパ腫に対する化学療法との併用試験を施行中。5)難治性リンパ腫の変異や発現異常として、a) PROX遺伝子の造血器腫瘍細胞における発現の消失が観察された。b) 多発性骨髄腫においてp16、p73のメチル化は病勢の増悪に関与が示された。体の第 II 相試験にて、有用性を確認した。


平成11年度〜12年度総合研究報告 研究成果の要旨

第1期として以下の成果をあげた。
1)腫瘍関連遺伝子の変異や発現異常として、MUM1、SNF5、PROX遺伝子発現、およびp16、p73遺伝子のメチル化を検討した。2)NK細胞腫瘍に関して、NK腫瘍の定義、診断基準、臨床的特徴を明確にし、全国規模の第一次・第二次実態調査を施行した。3)MALT型リンパ腫での転座関連遺伝子を間期核FISH法、multiplexPRC法にて検索する方法を確立。肺では発現頻度が高く、胃で陽性例は悪性度の高い胃リンパ腫である。4)難治性リンパ腫亜群として、サイクリンD1陽性マントル細胞リンパ腫(MCL)、未分化大細胞リンパ種ではCD56抗原の発現、び慢性大細胞性Bリンパ腫のCD5、CD10抗原陽性群が予後不良であることを実証した。5)再発・再燃低悪性度Bリンパ種に対するキメラ型抗CD20モノクローナル抗体の臨床導入を可能とした。化学療法との併用療法の作製をプロトコール開始した。

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成12年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01