11-12 発がん過程におけるがんと間質の相互作用に関する研究
 
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11-12 発がん過程におけるがんと間質の相互作用に関する研究

主任研究者 国立がんセンター研究所支所 落合 淳志


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
落合 淳志
国立がんセンター 部長
発がん過程におけるがんと間質の相互作用に関する研究
中村 敏一
大阪大学医学部 教授
がん転移・腫瘍血管新生阻止能を持つクリングル分子による制がん研究
岡田 保典
慶應義塾大学医学部 教授
がん細胞間質浸潤におけるMMPの作用機序
落谷 孝広
国立がんセンター 室長
がんと間質の相互作用に関するHST-1の意義
高橋 豊
金沢大学がん研究所 助教授
発がん過程におけるがん間質相互作用によるangiogenic switchとその阻止に関する研究
春間 賢
広島大学医学部 講師
胃がんの血管新生における腫瘍と間質の相互作用の重要性に関する研究 
井上 義一*1
国立療養所近畿中央病院 医長
肺がん合併間質性肺炎/肺線維症における間質細胞(線維芽細胞、マスト細胞、T細胞)とがん細胞の相互作用
横崎 恭之*1
国立療養所広島病院 医師
インテグリンサブユニットα9遺伝子の腫瘍化との関連
竹原 和宏*2
国立呉病院 医師
子宮頸部発がん過程における間質の相互作用に関する研究
小栗 佳代子*2
国立名古屋病院 研究員
シンデカンを介した腫瘍細胞と間質との相互作用の解析
島田 敦*2
国立病院東京医療センター 医師
スキルス胃がんの浸潤転移に対するTIMP1の関与に関する検討
宮本 新吾*2
国立病院九州がんセンター 医長
子宮内膜がん浸潤機構とE-カドヘリンとの関連に関する研究
前沢 千早*2
国立療養所盛岡病院 研究員
Laser capture microdissection systemを用いたscirrhous carcinomaでのがん・間質相互作用関連分子の発現に関する研究
*1:平成11年4月1日−平成13年3月31日
*2:平成11年4月1日−平成12年3月31日


平成12年度研究報告 研究成果の要旨

本年度はヒトがん組織を用い、がん悪性度評価、血管新生機構、間質分解阻害機構およびHGFアンタゴニストによる腫瘍抑制について検討し以下の成果を得た。1)ヒトがんの間質成分(線維芽細胞、新生血管)の増殖性ががんの悪性度と強く相関し、2)大腸がんおよび胃がん細胞はマクロファージ増加因子(MCP-1)を産生し、マクロファージは血管新生因子インターロイキン8(IL-8)を産生していることを初めて明らかにした。また肺線維化にはマスト細胞が関わっていることが示された。3)ヒト脳グリオーマの進展にMT1-MMPの活性化が、脳基質プロテオグリカン分解にはADAMTS4とMMP2が重要な役割を果たしていることを明らかにした。4)HST-1/FGF4が精子形成能に重要であり、精子毒性剤に対し抑制効果を有することを明らかにした。5)ヒト膵がん株を用いた動物腹膜播腫モデルを作製し、HGFのアンタゴニスト(NK4)が腹膜播腫抑制する事を示した。


平成11年度〜12年度総合研究報告 研究成果の要旨

がん発生・進展過程に関わるがん間質相互作用の分子機構を明らかにするために、試験管内および動物モデルを作製するとともに、実際のヒトがん組織を用いてがん間質形成に関わる細胞および分子機構を検討し以下の成果を得た。1)試験管内および動物モデルを作製し、ヒトがん間質相互作用を検討のモデルを確立した。2)大腸および胃がんにおける血管新生にはマクロファージよりのIL-8が、また肺繊維化にはマスト細胞によるbFGFが重要な役割を果たしていることを明らかにした。3)がん進展には各種MMPおよびMT-MMPが重要な役割を果たし、悪性グリオーマの脳基質プロテオグリカン分解にはADAMTS4とMMP2が重要な役割を果たしていることを明らかにした。4)HST-1/FGF4が精子形成に重要であり、精子毒性剤に対し抑制効果を有することを明らかにした。5)HGFのアンタゴニスト(NK4)は動物腹膜播種モデルの腹膜播種抑制と血管新生を抑制する事を示した。

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成12年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01