11-18 内分泌かく乱化学物質の発がんへの関与に関する研究
 
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11-18 内分泌かく乱化学物質の発がんへの関与に関する研究

主任研究者 国立がんセンター研究所 津田 洋幸


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
津田 洋幸
国立がんセンター 部長
発がん高感受性トランスジェニックラットを用いた内分泌かく乱物質の低用量発がん実験
長崎 光一*1
国立がんセンター 研究員
ヒト培養細胞系を用いた内分泌かく乱物質の標的遺伝子の検索と発がんとの関連の解析
大倉 永也*2
国立がんセンター 研究員
ヒト培養細胞系を用いた内分泌かく乱物質の標的遺伝子の検索と発がんとの関連の解析
前川 昭彦
佐々木研究所 部長
ラット子宮発がんモデルによる内分泌かく乱物質の発がん修飾作用-性ホルモンと受容体との関連を中心として-
田中 卓二
金沢医科大学 教授
動物モデルによる内分泌かく乱物質の発がん修飾作用の解析(前立腺)
泉 啓介
徳島大学医学部 教授
動物モデルによる内分泌かく乱物質の肝・消化器の発がん修飾作用の解析
吉田 浩己
鹿児島大学医学部 教授
動物モデルによる内分泌かく乱物質の乳腺、生殖器発がん修飾作用の解析
山崎 聖美
国立公衆衛生院 主任研究官
内分泌かく乱化学物質の生殖器がんと遺伝子発現への影響に関する研究
頭金 正博*1
国立公衆衛生院 主任研究官
アリルハイドロカーボン受容体欠損マウスを用いた内分泌かく乱物質による発がん機構の解析
*1:平成11年4月1日−平成12年3月31日
*2:平成12年4月1日−平成13年3月31日


平成12年度研究報告 研究成果の要旨

環境内分泌かく乱物質のうち、nonylphenol由来の直鎖型4-n-octylphenol(4-n-OP)、分岐型4-t-octylphenol(4-t-OP)および農薬等について調べた。4-n-OPはヒト乳がん細胞の増殖活性を有するが、乳腺発がん高感受性ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子トランスジェニックラットでは高用量1000ppmではがん発生を抑制し、100ppm以下では影響しなかった。通常ラットでは新生仔期から1000ppmを長期間投与すると雄の乳発がんは促進されたが、短期間では影響はなかった。前立腺発がんでは100ppm で影響しなかった。一方、4-t-OPは成熟ラットで大量皮下投与(1日100mg/kg、2週間)で子宮上皮の細胞増殖を増加させた。正常乳腺上皮細胞で4-n-OPによって発現量の変化する遺伝子はエストロゲンによるシグナル伝達経路を介すると考えられた。農薬のp,p'-DDTとziramに雄で肝発がん促進作用が見出された。


平成11年度〜12年度総合研究報告 研究成果の要旨

内分泌かく乱物質のnonylphenol由来の直鎖型4-n-octylphenol(4-n-OP)、分岐型4-t-octylphenol(4-t-OP)および農薬等の動物発がんへの関与を調べた。4-n-OPはヒト乳がん細胞に増殖活性を示したが、乳腺発がん高感受性ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子トランスジェニックラットでは高用量1000ppmではがん発生を抑制し、10ppm以下では影響しなかった。通常ラットで新生仔期から1000ppmで長期投与すると雄の乳腺発がんは促進され、成熟ラットの前立腺発がんでは100ppmで影響されなかった。一方、4-t-OPは成熟ラットで大量皮下投与(100mg/kg/日、2週間)で子宮内膜上皮を増殖させた。肝では雄でp,p'-DDTとziramに200〜400ppmで発がん促進作用が見出された。しかし、これら実験の発がん修飾や増殖活性用量は河川水での検出例の濃度の10万倍以上であることから、実際上の発がんへの関与は極めて小さいと考えられた。

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成12年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01