8-5 ヘテロサイクリックアミンによる前立腺、膵、大腸、乳腺発がんと分子機構に関する研究
 
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8-5 ヘテロサイクリックアミンによる前立腺、膵、大腸、乳腺発がんと分子機構に関する研究

主任研究者 国立がんセンター 若林 敬二


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
若林 敬二
国立がんセンター研究所 部長
ヘテロサイクリックアミンのヒト曝露量
能美 健彦*1
国立衛生研究所 室長
トランスジェニックマウスgpt deltaを用いたヘテロサイクリックアミンの変異原性の検索
増村 健一*2
国立医薬品食品衛生研究所 研究員
トランスジェニックマウスgpt deltaを用いたヘテロサイクリックアミンの変異原性の検索
塚本 徹哉
愛知県がんセンター研究所 主任研究員
ヘテロサイクリックアミンによる大腸発がんと分子機構に関する研究
堤 雅弘
奈良県立医科大学付属がんセンター 講師
ヘテロサイクリックアミンによる膵発がんと分子機構に関する研究
早津 彦哉*1
岡山大学薬学部 教授
ヘテロサイクリックアミンの遺伝子損傷性とその阻害
小林 佐賀恵*2
岡山大学薬学部 助手
ヘテロサイクリックアミンの遺伝子損傷性とその阻害
山添 康
東北大学大学院薬学部 教授
ヘテロサイクリックアミン代謝へのスルホトランスフェラーゼの関与
大西 克成
徳島大学医学部 教授
ヘテロサイクリックアミンによる発がんにおける腸内菌の役割
梅本 淳
徳島大学医学部 講師
ヘテロサイクリックアミンによる大腸粘膜発がんの機序
渡辺 敦光
広島大学原爆放射能医学研究所 教授
ヘテロサイクリックアミンを用いた腸上皮化生からの胃発がん
今井田 克己
名古屋市立大学医学部 助教授
ヘテロサイクリックアミンによる前立腺発がんに関する研究
大河内 江里子
国立がんセンター研究所 研究員
PhIPにより誘発された乳癌におけるメチル化の異常の解析
杉江 茂幸
岐阜大学医学部 助教授
ヘテロサイクリックアミンによる大腸、乳腺発がんと発がん抑制物質の検索
*1:平成11年4月1日−平成12年3月31日
*2:平成12年4月1日−平成14年3月31日



平成12年度研究報告 研究成果の要旨

Aminophenylnorharman (APNH) はF344ラットに肝・大腸発がん性を示し、β-catenin、Apc、k-rasに変異を誘発した。Gpt deltaマウスのAPNH (10, 20 ppm)の変異スペクトラムはPhIP、MeIQxのものと類似していた。APNHのp53ノックアウトマウスに対する肝発がん性は雌により高頻度に認められた。濃色ビールの抽出画分はマウス肝臓におけるMeIQx、PhIPのDNA付加体形成を抑制した。グレープフルーツジュース飲用によるPhIPによるDNA損傷抑制効果は吸収阻害ではないことがわかった。PhIPやIQは培養細胞系で軽度にCOX-2発現を増加させた。PhIPのDonryuラットの心肥大生成には系統差、週齢差、性差があった。PhIP誘発ラット乳がんでBrca1蛋白の発現低下が認められた。またTrp-P-1はハムスターにおいて肝発がん性を示し、MeIQxは高脂肪食併用投与によりラットに大腸がんを誘発した。


平成11年〜13年度総合研究報告 研究成果の要旨

P450の存在下にNorharamnとAnilineが反応して変異原性APNHが生成する。APNHは代謝活性化されGuanineとの付加体を生成する。APNHは、Gpt deltaマウスにおいてin vivo変異を誘発し、p53ノックアウトマウスに対し肝発がん性を示した。またF344ラットに肝・大腸発がん性を示した。ビール及びグレープフルーツジュースはPhIP等のHCAの変異原性、DNA付加体形成を抑制した。PhIPはDonryuラットに心肥大を誘発した。PhIP誘発ラット乳がんでは過剰なメチル化により不活化される遺伝子が存在し、またBrca1蛋白の発現低下が認められた。Trp-P-1および4.8-DiMeIQxはハムスターの系において膵発がん促進作用を示した。MeIQxは高脂肪食併用投与により大腸発がん性を示した。

平成12年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成13年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01