10-32 食道および胃の前がん性病変に関する分子病理学的研究
 
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10-32 食道および胃の前がん性病変に関する分子病理学的研究

主任研究者 広島大学医学部 安井 弥


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
安井 弥
広島大学医学部 教授
胃の前がん性病変と胃がんに共通する遺伝子・分子異常の解析
中西 幸浩
国立がんセンター研究所 研究員
食道がん及び胃がんの発生・進展に関する分子病理学的解析
井藤 久雄
鳥取大学医学部 教授
食道異形成および胃腺腫の分子病理学的解析
加藤 俊二
日本医科大学医学部 助手
胃および食道の前がん性病変と発がん感受性の分子病理学的研究
森 正樹
九州大学生体防御医学研究所 教授
食道がんとその前がん性病変の分子病理学的研究
吉田 和弘
広島大学原爆放射能医学研究所 助手
食道の前がん性病変と食道がんに共通する遺伝子異常の解析
中山 宏文 (班友)*1
国立呉病院 医長
胃腺窩・幽門腺腺管および固有胃腺周囲間質細胞の前がん性病変における重要性
藤 也寸志 (班友)*2
国立病院九州がんセンター 医師
癌転移関連遺伝子mta1を含むNURD complexの食道・胃の発がんにおける意義の検討
*1:平成12年4月1日−平成13年3月31日
*2:平成12年4月1日−平成14年3月31日



平成13年度研究報告 研究成果の要旨
 
遺伝子発現制御に関わるヒストンのアセチル化状態の低下は、胃の前がん性病変で出現し、胃がんの進展とも相関する。その時の重要な標的遺伝子は、p21、Bax、nm23、amphiregulinなどである。SAGE法による網羅的遺伝子発現解析によって、Reg. IVをはじめ胃がんに特異的に高発現する種々の遺伝子が同定されたが、それには、細胞増殖、染色体安定性、蛋白分解などに関わるものが含まれていた。また、IL-1βの遺伝子多型と胃体部における胃炎の進行との間に関連性がみいだされた。食道がんにおいて、アポトーシス細胞の出現とFasの発現とに正の相関がみられ、Fasリガンドの発現は食道がんの進展と関連していた。PPARγは、食道がんと胃がんのどちらにもおいても、増殖抑制・アポトーシスに関わることが明かとなった。一方、EGFRおよびラミニン-5γ2の発現の強い扁平上皮がん細胞株を免疫原としての抗体作成は、新規がん関連分子を同定するために有用である。


平成12年〜13年度総合研究報告 研究成果の要旨

CpGのメチル化による遺伝子発現低下は、20-50%の胃がんに存在し、胃の腸上皮化生にも認められた。ヒストンのアセチル化状態の低下は、胃の前がん性病変および胃がんで認められ、その標的遺伝子は、p21、Bax、nm23、amphiregulinなどであった。SAGE法によって、Reg. IVをはじめ胃がんに特異的に高発現する種々の遺伝子が同定されたが、それには、細胞増殖、染色体安定性、蛋白分解などに関わるものが含まれていた。また、IL-1βの遺伝子多型と胃体部における胃炎の進行との間に関連性がみいだされた。胃腺腫、胃がんともに、アポトーシス細胞の出現とFasリガンドの発現と相関がみられ、Fasリガンドの発現は食道がんの進展とも関連していた。胃がん細胞株からクローニングした新規遺伝子ARPPは、アポトーシスに対して抑制的に働く可能性が示唆された。食道がんおよび異形成では、ケラチンの発現異常、FHIT遺伝子異常に伴う発現異常が認められ、MAL遺伝子の発現は食道がんで減弱していた。

平成12年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成13年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01