10-35 肝炎ウイルス感染による肝細胞がん発生の抑制に関する研究
 
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10-35 肝炎ウイルス感染による肝細胞がん発生の抑制に関する研究

主任研究者 金沢大学大学院医学系研究科 小林 健一


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
小林 健一
金沢大学大学院医学系研究科 教授
肝細胞がん発生の予防と治療に関する研究
井廻 道夫
自治医科大学大宮医療センター 教授
細胞性免疫機構制御の解明による肝発がん予防
清澤 研道
信州大学医学部 教授
肝細胞がんに対する細胞周期の制御とアポトーシス誘導
杉山 和夫
国立がんセンター 研究員
C型肝炎ウイルス増殖システムの開発
村上 清史
金沢大学がん研究所 教授
C型肝炎ウイルスNS5Bの構造と機能
林 紀夫
大阪大学大学院医学系研究科 教授
肝細胞がんにおけるMAP kinase super-familyの検討
阿部 賢治*1
国立感染症研究所 主任研究員 
肝炎ウイルスによる肝細胞がん発生の感染病理学的研究
多羅尾 和郎
神奈川県立がんセンター 副院長 
C型肝硬変症からの長期(10年以上)肝発がん防止を目指した抗炎症療法施行例の解析
*1:平成12年4月1日−平成13年3月31日


平成13年度研究報告 研究成果の要旨

肝炎ウイルス感染による肝細胞がん発生の抑制に関して基礎的及び臨床的検討を行った。基礎的検討としてC型肝炎ウイルス(HCV)のウイルス複製酵素(NS5B)の機能解析を行い、NS5Bがオリゴマーとして存在し活性を示すことを明らかにした。またHCVの蛋白翻訳制御に関して、インターフェロン(IFN)が宿主の蛋白翻訳以上に特異的にHCVの蛋白翻訳を抑制することを明らかにした。HCVのコア蛋白がサイトカインの細胞内情報伝達に与える影響について検討し、コア蛋白がIFN-γやインターロイキン6のシグナル伝達に影響していることを明らかにした。また、肝細胞免疫機構の検討では免疫抑制性IL-10を産生するTr1細胞の検討を行い、C型慢性肝炎例では肝浸潤単核球にHCV特異的IL-10産生細胞が多数存在し、HCV感染の持続化と比較的軽度の炎症の病態に関与している可能性を示した。臨床的検討としてC型肝硬変症例に対し、多剤併用により積極的にトランスアミナーゼ値を低下させることにより、有意に肝細胞がんの発生を低下させることを示した。


平成12年〜13年度総合研究報告 研究成果の要旨

肝炎ウイルス感染による肝細胞がん発生の抑制に関して基礎的及び臨床的検討を行った。基礎的検討としてC型肝炎ウイルス(HCV)の複製に関連して、インターフェロン(IFN)によるHCVの蛋白翻訳抑制機構を解析した。またウイルス複製酵素(NS5B)の活性中心を構造モデルと共に詳細に検討した。肝細胞がん発生の分子機構の解明を目的としストレス応答性のMAPKの肝細胞がんにおける役割を明らかにした。さらに、多数の臨床検体を用いて、cDNAマイクロアレイによる慢性肝炎、肝細胞がん組織における遺伝子発現異常の解析を行い、包括的遺伝子解析により病態の解明を行った。一方、肝細胞免疫機構の検討では免疫抑制性IL-10を産生するTr1細胞の検討を行い、C型慢性肝組織においてHCV特異的IL-10産生細胞が多数存在し、HCV感染の持続化と比較的軽度の炎症の病態に関与している可能性を示した。臨床的検討においてはC型肝硬変症例に対し、多剤併用により積極的にトランスアミナーゼ値を低下させることにより、有意に肝細胞がんの発生率を低下させることを示した。

平成12年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成13年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01