12-6 環境中の新しい変異原・発がん物質の検索とその生物活性
 
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12-6 環境中の新しい変異原・発がん物質の検索とその生物活性

主任研究者 静岡県立大学薬学部 糠谷 東雄


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
糠谷 東雄
静岡県立大学薬学部 助教授
環境中の新しい変異原・がん原物質の分離同定
木苗 直秀
静岡県立大学食品栄養科学部 教授
水中の新しい変異原物質の検索と毒性検定
澤西 啓之
北陸大学薬学部 教授
新しい変異原・発がん物質の構造証明と発生メカニズムの解明
大江 武
京都女子大学家政学部 教授
PBTAタイプ変異原の分布とSCEからみた生物活性
多田 敦子*1
国立がんセンター研究所 研究員
環境中の新しい変異原・発がん物質の生物活性
藤田 健一
北海道大学大学院薬学研究科 助手
環境中の新規な変異原物質のヒトにおける変異原性の予測
高村 岳樹*2
国立がんセンター研究所 研究員
環境中から同定された新変異原物質の生物活性
*1:平成12年4月1日−平成13年3月31日
*2:平成13年4月1日−平成14年3月31日


平成13年度研究報告 研究成果の要旨

新規のPBTA化合物2種が福井県の足羽川及び狐川で確認され、京都の下水処理場付近での濃度は最大 3.7 ng/L、変異原性の寄与率は1〜4%であった。和歌川の変異原物質として3,3'-dichlorobenzidine誘導体を明らかにし、それらは変異原性と共に、ヒトAhRへの強い結合性が示され、coplanar PCBとして約6000 ng/Lの含量であった。PBTA分子が平面構造をとることを分子軌道計算により求め、平面性が変異原活性に相関することを示唆した。PBTA類はヒトCYP1A1の発現を転写レベルで誘導し、PBTA類自身が生体内で自らを活性化するCYP1A1の発現を誘導する可能性が示唆され、ヒトにおける毒性が予測された。 たばこ煙中に含まれるN-ニトロソアミン類の活性化にCYP2A6が関与することを見いだした。ヒトが曝露する変異原物質の一つとしてMaillard反応生成物を想定し、常温下での反応液からMeIQx及び PhIPを、生体内Maillard反応を想定した系から数種の変異原物質の存在を確認し、2種の構造を決定した。


平成12年〜13年度総合研究報告 研究成果の要旨

新規のPBTA化合物2種を福井県の足羽川と狐川および京都の下水処理場付近で検出し、PBTA類の濃度と変異原性の寄与率、水環境への排出量が試算された。和歌川の変異原物質としてbiphenyl誘導体と3,3'-dichlorobenzidine誘導体を明らかにし、それらが変異原性と共にヒトAhRへの強い結合性を持つことが示され、それらの河川水中の含量はcoplanar PCBとして合計で約6000ng/Lであった。PBTA分子は平面構造をとり、平面性が変異原活性に相関することが示唆された。PBTA-1及び-2のSCE誘発能は有意な値を示した。全てのPBTA誘導体がヒトCYP1A1によりほぼ特異的に代謝的に活性化され、PBTA類自身がヒトCYP1A1の発現を転写レベルで誘導し、生体内で自らを活性化する可能性が示唆され、ヒトにおける毒性が予測された。5-ヒドロキシトリプタミンとL-システインを亜硝酸処理した反応液から、新規の変異原物質(2HDIE)を分離した。生体内のMaillard反応を想定したモデル系に数種の新しい変異原物質の存在を認め、2種の構造を明らかにした。

平成12年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成13年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01