12-7 ヒト放射線誘発がんを中心とした分子機構の解明と試料のバンク化
 
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12-7 ヒト放射線誘発がんを中心とした分子機構の解明と試料のバンク化

主任研究者 東北大学加齢医学研究所 福本 学


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
福本 学
東北大学加齢医学研究所 教授
α線内部被ばくによる遺伝子変異の解析
安井 明
東北大学加齢医学研究所 教授
DNA切断修復の欠損による発がんの分子機構
石川 雄一
財団法人癌研究会癌研究所 主任研究員
トロトラスト被注入患者における肺癌、および線量評価
明石 真言
放射線医学総合研究所 医長
放射線により産生されるフリーラディカルによる抗酸化酵素等の発現・癌化の機構
松本 康男
新潟大学医学部 助手
悪性腫瘍放射線治療後の二次癌に関する臨床的及び基礎的研究
内藤 愼二 (班友)*
国立嬉野病院 医長
放射線曝露の発がんに及ぼす影響とその分子機構の研究
*:平成13年4月1日−平成14年3月31日


平成13年度研究報告 研究成果の要旨

第二次大戦中に血管造影剤として投与されたトロトラスト(ト)は、自然α線源であり、肝癌を発症する。ト沈着量が少ない程、発癌までの潜伏期間が長く、多重癌が発生しやすいこと、ト症肝内胆管癌(ICC)にみられたマイクロサテライト不安定性は、突然変異と修復遺伝子の不活性化の両者の結果であることが明らかとなった。非ト症肝細胞癌とICCの包括的LOH解析から、ト症肝癌の特徴を分子レベルで解析するための基礎データが得られた。放射線二次癌の調査結果から、二次癌の発生までの潜伏期間は高齢者群と化学療法併用例に有意に短かった。腫瘍細胞の運動能は細胞内に発生した活性酸素を介しており、細胞膜分子であるcaveolin-1の発現低下が放射線被ばく特徴的であることが示唆された。活性酸素で生じる損傷塩基チミングリコールの除去に関わる分子種を同定した。また、ヌクレオチド修復にクロマチン構造の変化が関与していることを明らかにした。


平成12年〜13年度総合研究報告 研究成果の要旨

第二次大戦中に血管造影剤として投与されたトロトラスト(ト)は、自然α線源であり、肝内胆管癌(ICC)を発症する。ト症ICCのp53変異は非ト症に比して高く、transitionであった。ト症癌にマイクロサテライト不安定性が多かったが、修復遺伝子の不活性化の関与が示唆された。非ト症肝癌の包括的LOH解析から、ト症肝癌を解析するための基礎データを得た。放射線二次癌のアンケート調査から、二次癌発生までの潜伏期間は高齢者群と化学療法併用例に有意に短かった。活性酸素(ROS)は放射線によって発生するが、癌遺伝子と協調して細胞の形質転換に関わること、細胞の運動能に関与していること、細胞膜分子、caveolin-1の発現低下が放射線被ばくに特徴的であることが示唆された。DNA損傷の修復分子、グリコシラーゼは核、ミトコンドリア双方の遺伝子修復に関与すること、ヌクレオチド修復にクロマチン構造の変化が関与していることを明らかにした。

平成12年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成13年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01