12-8 造血器腫瘍における染色体転座関連遺伝子の基礎的・臨床的研究
 
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12-8 造血器腫瘍における染色体転座関連遺伝子の基礎的・臨床的研究

主任研究者 東京大学医学部 平井 久丸


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
平井 久丸
東京大学医学部 助教授
AML1/Evi-1による白血病発症機構の解明
大木 操
国立がんセンター 部長
AML1/MTG8融合遺伝子産物による白血病発症機構の解明
伊藤 嘉明
京都大学ウイルス研究所 教授
PEBP2の構造異常による白血病発症機構
三谷 絹子
獨協医科大学 教授
転座型造血器腫瘍の分子生物学的解析
佐竹 正延
東北大学加齢医学研究所 教授
PEBP2β-SMMHCキメラ遺伝子産物による白血病発症機構の解析
奥田 司
京都府立医科大学 講師
AML1遺伝子機能の基礎的・臨床的研究


平成13年度研究報告 研究成果の要旨

AMl1は造血細胞の維持と白血病発症に重要な役割を果たす遺伝子である。T細胞特異的にAML1を欠失するマウスを作製したところ、DN3からDN4への分化、DPでの負の選択、CD4 SP細胞の成熟・増殖などが障害されており、AML1が個体のT細胞系に必須の役割を果たすことが判明した。またAML1b、AML1c、AML1ΔNのみ発現されるマウスを作成し、これらのアイソフォームのみで個体の生物作用を担いうることを示した。家族性白血病におけるAML1点突然変異体の機能解析を行い、ドミナントネガテイブ効果を持つ変異体があることを見い出した。(8;21)転座型白血病で形成されるAML1-MTG8がGATA-2やTIS11bの発現を変化させることによって骨髄球の分化を撹乱することを明らかにした。AML1のサブユニットであるPEBP2βの細胞質内局在の振り分けにフィラミンが関与することを見いだした。白血病関連転写因子TELが赤芽球分化を促進することを示し、そのHLH領域で転写抑制因子mSin3Aと複合体を形成することを明らかとした。


平成12年〜13年度総合研究報告 研究成果の要旨

AML1の機能制御機構として、AML1がPEBP2βとの結合依存性にユビキチン化を受けること、MOZがAML1の転写活性化因子であること、PEBP2βの細胞内局在にフィラミンAが関与することを見いだした。AML1の生理的機能の解析として、AML1アイソフォームの発現と正常造血との関連を明らかにし、T細胞特異的にAML1を欠失するマウスを作製してAML1がT細胞系に果たす役割を明らかにした。一方でAML1遺伝子の変異がMDSの発症に関与すること、家族性白血病でのAML1変異体がドミナントネガテイブ効果を持つこと、さらにAML1-MTG8がGATA-2やTIS11bの発現変化を通して骨髄球分化を撹乱することを見い出し、AML1が白血病発症に果たす役割を明らかにした。さらにAML1の転座相手遺伝子であるEvi-1がCtBPと結合してTGFβシグナルを抑制すること、TELがmSin3Aと結合して赤芽球分化を促進することを明らかとした。

平成12年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成13年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01