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肉腫(サルコーマ)(にくしゅ(さるこーま))

更新日 : 2023年8月15日

公開日:2014年4月28日 

お知らせ

第8回 骨軟部腫瘍の病理診断 国立がん研究センター×九州大学 「オンライン 希少がん Meet the Expert」

(収録日:2023年2月3日)

「オンライン 希少がん Meet the Expert」【第8回 骨軟部腫瘍の病理診断 国立がん研究センター✖九州大学】を一部動画公開しました。

「オンライン 希少がん Meet the Expert」【第4回 肉腫(サルコーマ)とともに生きる 国立がん研究センター✖九州大学】を一部動画公開しました。

「オンライン 希少がん Meet the Expert」【第1回 子宮肉腫の診断と外科治療】を一部動画公開しました。

種類別の肉腫

肉腫が発生する部位や小児などの種類別に詳しく解説しています。

肉腫(サルコーマ)とは

全身の骨や軟部組織(筋肉、脂肪、神経など)から発生する腫瘍を骨軟部腫瘍と言い、悪性の骨軟部腫瘍を肉腫(英語ではSarcomaサルコーマ)と言います。骨の肉腫には代表的なものとして、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫などが、軟部組織の肉腫には代表的なものとして、脂肪肉腫、未分化多形細胞肉腫、粘液線維肉腫、滑膜肉腫、平滑筋肉腫などがあります(表1、2)。肉腫の腫瘍としての特徴は、その希少性(発生頻度が低いこと)と多様性(組織型が多種多様なこと)にあります。胃がんや肺がんなどの上皮性悪性腫瘍に比べて肉腫の発生頻度は極めて低く、悪性腫瘍全体に占める肉腫の割合は約1%に過ぎません。

表1 代表的な悪性骨腫瘍(骨の肉腫)の全国登録数

肉腫表1.png

日本整形外科学会 全国骨・軟部腫瘍登録(2017年、2018年、2019年)より

 

表2 代表的な悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)の全国登録数

肉腫表2
日本整形外科学会 全国骨・軟部腫瘍登録(2017年、2018年、2019年)より

このようにまれな腫瘍であるにも関わらず、肉腫は若年者から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんの全身のさまざまな部位・組織から生じるため、その症状や必要とされる治療、治療効果もさまざまです(図1)。

図1 さまざまな部位に生じた肉腫(サルコーマ)

肉腫図1

したがって、肉腫に対して良好な治療成績を得るためには、整形外科、内科、外科、小児科、放射線科、病理科など、肉腫の診断と治療に精通した専門家が、診療科の枠を越えて緊密に連携し、各々の患者さんの病態に最も適した集学的治療を行うことが極めて重要です。そのため、世界的に主要ながんセンターには、肉腫(サルコーマ)センターが設置され、診断や初期治療から進行期の治療まで専門家チームが一貫した診療を行うことにより、優れた治療成績が得られるようになっています(図2、表3)。

図2 当院における骨肉腫の治療成績の変遷

 肉腫図2

表3 骨肉腫の患肢温存率

肉腫表3

 

肉腫の周知と専門施設での早期治療を

以上のような肉腫の希少性、多様性という特徴から、専門施設でない場合、しばしばその診断や治療に難渋し適切な治療を行うことが困難なことも少なくありません。また、不適切な治療を受けた後に専門施設に紹介される患者さんも少なくありません。

そこで、近年、毎年7月は『肉腫啓発月間』として、黄色いリボンをシンボルに、この希少がんの認知度向上に向け、全世界で様々な啓発活動や研究支援・治療法開発のための活動が行われています。

さらに、治療症例数の多い、いわゆる”high volume center”で治療を行うことでより良好な治療成績が得られることはすでにいくつかの論文でも示されており、表1-表3、肉腫は患者さんの専門施設への集約化が、より良い治療成績を得るためには重要な疾患の一つと考えられています。

 希少がんリーフレット

肉腫

啓発ポスター 

7月 は肉腫(サルコーマ)啓発月間

7月は肉腫(サルコーマ)啓発月間

患者会支援団体の皆さんとの連携・協働を通して作成した
「7月は肉腫(サルコーマ)啓発月間」ポスター

国立がん研究センターにおける肉腫(サルコーマ)グループ

国立がん研究センターは、肉腫(サルコーマ)患者さんを治療する施設として、各診療科が積極的に診療に努め治療成績の向上に努めてきました。さらに成績を向上させ、すべての肉腫患者さんに、より良い医療を提供することを目的として、希少がんセンターの中に肉腫(サルコーマ)グループが組織されました。

肉腫(サルコーマ)グループでは、国立がん研究センターの2つの病院(中央病院、東病院)の肉腫専門家が、さまざまながんの専門スタッフと連携して、肉腫の診断から治療まで一貫した医療を提供します。PETやMRIなどの画像診断技術と遺伝子診断を含む詳細な病理学的検討に基づく正確な診断を行い、治療方針を決めます。十分な根治性を確保しながら、より機能障害を少なくすることを目指した外科手術、標準治療から新規治験薬まである薬のラインアップの中から、各々の患者さんに最適な薬剤を選んで行う化学療法、陽子線をはじめとする高精度な機器を活用した放射線治療など、高度かつ先駆的な医療を駆使して、患者さんひとりひとりに合った治療を行います。

また、希少がんである肉腫に対して、基礎研究からトランスレーショナル研究、国際共同治験まで、研究から治療開発を、病院と研究所が一体となって推進しています。その成果はいち早く患者さんに還元するとともに、肉腫研究の国際的拠点として、国内外に広く情報を発信します。そして、これらの診療や研究の実施を通して、肉腫の医療・研究を担う良質な人材を育成します。

 

肉腫(サルコーマ)カンファレンス

肉腫(サルコーマ)グループでは、肉腫の診断と治療に精通した各領域の専門家が、診療科の枠を越えて緊密に連携し、それぞれの患者さんの病態に最も適した集学的治療を行います。そのための検討の場として、肉腫(サルコーマ)グループの医師がすべて参加する肉腫(サルコーマ)カンファレンスが定期的に開催され、ひとりひとりの患者さんの治療法について多角的な検討が行われます。

カンファレンス風景

肉腫(サルコーマ)グループにおける臨床試験・治験

国立がん研究センターの肉腫(サルコーマ)グループは、希少がんである肉腫に対して、わが国で最も多くの臨床試験・新規薬剤の治験を実施しています。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)、骨軟部肉腫治療研究会(JMOG)、日本ユーイング肉腫研究グループ(JESS)、日本横紋筋肉腫研究グループ(JRSG)などの中心メンバーとして、肉腫に対する多施設共同臨床研究に参加するとともに、国立がん研究センターの早期・探索臨床研究センター(EPOC)、企業などと協力した国内・国際共同治験、医師主導治験を積極的に推進し、肉腫に対する新たな治療法・医薬品・医療機器を開発しています。

これまでに国立がん研究センターの肉腫(サルコーマ)グループが中心となって開発に携わった抗がん剤としてはパゾパニブ(®ヴォトリエント;GlaxoSmithKline)、エリブリン(®ハラヴェン;Eisai)、トラベクテジン(大鵬薬品工業)などがあります。 

文献

  1. Gutierrez JC, et al. Ann Surg. 2007;245(6):952-8.
  2. Ogura K, et al. J Bone Joint Surg Am. 2013;95(18):1684-91
  3. Bagaria SP, et al. Sarcoma. 2018;2018/3056562.

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執筆協力者

川井 章
  • 川井 章(かわい あきら)
  • 希少がんセンター長
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科
小倉 浩一(おぐら こういち)
  • 小倉 浩一(おぐら こういち)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科