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逆相タンパク質アレイを用いたバイオマーカーの開発
個別医療に有用なバイオマーカーの開発
がん克服のために必要とされる「治療の個別化」目的として、分子標的治療薬の効果予測マーカーの開発およびがんの病態把握と治療法の開発を行っている。
現在進行中の研究プロジェクト
- 個別医療に必要とされるコンパニオンマーカーの開発(PDF:328KB)
タンパク質のリン酸化は細胞内のシグナル伝達機能を制御し正常細胞の恒常性を維持しているが、がん細胞では正常な分化や増殖に必要なシグナル伝達制御機構が破たんしている。
よって、シグナルタンパク質のリン酸化の状態を正確に検出できれば、がん化に関わる分子経路の活性化を含め、個々のがんの特性を把握することができる(1-2)。
我々は、細胞抽出液をスライドガラスにマイクロアレイ化(3,072 spots/slide)し、リン酸化特異抗体を用いて数百から数千の試料における約200個のシグナル伝達のキーとなるタンパク質のリン酸化状態を把握できる逆相タンパクアレイ(Reverse Phase Protein Array:RPPA)基盤を独自に確立し(図1)(1-3)、更に本基盤を用いて、マルチキナーゼ阻害剤ソラフェニブ(ネクサバール)の肝がんにおける効果予測マーカー候補としてリン酸化RPS6 S235/236を同定している(3)。
RPPA法は針生検や穿刺吸引細胞診等ごく微量検においてシグナルプロファイリングを正確かつ迅速に行うことのできるプロテオーム技術であり(1-2, 4-5)、現在、分子標的治療薬に対する反応性や、個々のがんの病態把握を目的とした臨床診断への本基盤の応用を目指し基盤の改善が進行中である。
2011年に始まったRPPA Global Workshopにおいて、本研究グループの山田・西塚・増田は中核メンバーとして参加し、海外の研究機関と情報交換を行っている(1-2)。
一方、我々が開発を行っているTNIKキナーゼを標的とした大腸がん幹細胞治療薬についても本基盤を用いたコンパニオンマーカーの開発が進行中である(6-10)。
参考論文
- Masuda M. et al. Expert Rev Proteomics. in press. [PubMed](外部リンク)
- Masuda M. et al. Biochim Biophys Acta. 1854(6)651-7, 2015. [PubMed](外部リンク)
- Masuda M. et al. Mol Cell Proteomics. 13:1429-38, 2014. [PubMed](外部リンク)
- 増田万里、他。 病理と臨床, 33(2)191-7, 2015. (外部リンク)
- 増田万里、他。 257-261,2015. 遺伝子医学MOOK, (外部リンク)
- Yamada T. et al. Cancer Sci. 108(5):818-823. 2017[PubMed](外部リンク)
- Masuda M. et al. Expert Opin Ther Targets. 21(4):353-355. 2017[PubMed](外部リンク)
- Masuda M. et al. Nat Commun. 26;7:12586. 2016[PubMed](外部リンク)
- Sawa M. et al. Expert Opin Ther Targets. 20(4):419-29. 2016[PubMed](外部リンク)
- Masuda M. et al. Pharmacol Ther. 156:1-9.2015 [PubMed](外部リンク)
所属分野・部門・病院
細胞情報学分野(連携研究室)