13-10 抗悪性腫瘍薬の至適投与法確立のための薬理学的指標に関する研究
 
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13-10 抗悪性腫瘍薬の至適投与法確立のための薬理学的指標に関する研究

主任研究者 埼玉医科大学 佐々木 康綱


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
稲治 英生
*1 国立がんセンター東病院 医長
*2 埼玉医科大学 教授
抗がん剤ファーマコダイナミックパラメーターとしてのバイマーカーの検討
鎌滝 哲也
北海道大学大学院薬学研究科 教授
最適ながん化学療法の確立に分子的基盤を与える薬物代謝酵素の遺伝的多型に関する研究
下方 薫
名古屋大学大学院医学研究科 教授
薬物代謝関連酵素の遺伝子多型解析と個別化学療法
杉山 雄一
東京大学大学院薬学研究科 教授
トランスポーターが関与する抗がん剤の体内動態特性のin vitro からの予測に関する研究
田村 友秀
国立がんセンター中央病院 医長
至適投与設計のための薬理作用マーカーと個体差の評価
谷川原 祐介
慶應義塾大学医学部 教授
フルオロウラシル系抗がん剤TS-1のPopulation PK/PD解析
安宅 信二
国立療養所近畿中央病院 医長
進行非小細胞肺がんにおけるUFT、Gemcitabine(GEM)、Vinorelbine(VNR)併用化学療法の臨床第 I ・ II 相試験および薬物動態の検討
*1:平成13年4月1日−平成14年5月31日
*2:平成14年6月1日−平成15年3月31日



平成14年度研究報告 研究成果の要旨

抗癌剤MTXの組織分布に占める還元型葉酸トランスポーターと有機アニオントランスポーターの寄与率を評価した。TegafurのAUCが高値を示した患者は,CYP2A6*4Cをヘテロ接合体で有していた.S-1の臨床薬物動態および副作用発現について、Population PK/PD解析を行い、下痢についてGrade 2以上の症例は、日本人では3症例(3%)のみであったのに対し、欧米人では22症例(35%)と顕著に多かった。UGT1A1遺伝子多型をもった症例では、CPT-11の副作用を起こしやすいことが示唆された。コルチゾル投与後の尿中代謝物測定によるCYP3A4活性予測に基づくDTXLの個別化投与量設定法を用いて従来の体表面積による投与量設定に比べて薬剤暴露の個体差を明らかに減少させ、好中球減少のばらつきも抑えることが示された。分子標的抗悪性腫瘍薬の評価法としてPETの意義が示唆された。


平成13年〜14年度総合研究報告 研究成果の要旨

基礎研究では、薬物相互作用について、methotrexateを例として組織分布に占める還元型葉酸トランスポーターと有機アニオントランスポーターの寄与率を評価した。マウスモデルによりirinotecanが投与量依存性にDPD活性の日内変動に影響を与えることを明らかにした。遺伝薬理学的手法を用いてtegafurから5-fluorouracilへの代謝に関わるCYP2A6の日本人における遺伝変異型を見いだした。臨床研究では、population pharmacokinetics解析によりS-1投与後、血中gimeracil濃度が5-FUの血中濃度を決定する主要因となることを発見した。プラチナ製剤を含む併用化学療法が貧血の大きな要因であることを明らかにした。probe drugを用いたCYP3A4活性予測に基づくdocetaxelの個別化投与量設定法を用いて従来の体表面積による投与量設定に比べて薬剤暴露の個体差を明らかに減少させ、好中球減少のばらつきも抑得ることを示した。分子標的抗悪性腫瘍薬の評価法としてPETの意義が示唆された。

平成13年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成14年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01