12-3 乳がん、大腸がんの家族内集積性に関する研究
 
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12-3 乳がん、大腸がんの家族内集積性に関する研究

主任研究者 大阪大学大学院医学系研究科 三好 康雄


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
三好 康雄
大阪大学大学院医学系研究科 助手
乳がん・大腸がんに関する易罹患性の遺伝子診断
福富 隆志
国立がんセンター中央病院 医長
乳がん・大腸がんの家族内集積性に関する研究
佐伯 俊昭
*1 国立がんセンター東病院 医長
*2 国立病院四国がんセンター 臨床研究部長
乳がん・大腸がんの家族内集積性に関する研究
青儀 健二郎*3
国立病院四国がんセンター 医員
乳がん患者における遺伝子検索システムと遺伝子相談の方法論について
岩瀬 弘敬
名古屋市立大学大学院医学系研究科 助教授
乳がんの易罹患性と遺伝子多型(平成12〜14年度)
乳癌組織におけるアロマターゼ蛋白発現とmRNA発現の臨床的意義(平成15年度)
高田 穣
*4 京都大学大学院医学系研究科 助教授
*5 川崎医科大学 教授
がん患者で発見されたBRCA2遺伝子変異の機能解析
清水 弘之*6
岐阜大学医学部 教授
乳がんのリスク診断をめざした疫学研究
永田 知里*7
岐阜大学医学部 助教授
乳がんのリスク診断をめざした疫学研究
三嶋 秀行*8
国立大阪病院 外科医員
遺伝性大腸癌の家系調査と分子生物学的解析(平成12年度)
遺伝性非ポリポーシス大腸癌に対する標準的なサーベイランスや標準術式の確立に関する研究(平成14年度)
中園 光一*9
国立熊本病院 医長
乳がん、大腸癌の家族内集積性に関する研究
田中屋 宏爾*10
国立岩国病院 外科医員
遺伝性非ポリポーシス大腸がんの関連がんとサーベイランス
多田 隆士*10
財団法人癌研究会附属病院 乳腺外科医員
家族性乳がん家系の集積とその臨床的特徴の研究
*1:平成12年4月1日−平成13年8月31日
*2:平成13年9月1日−平成15年3月31日
*3:平成15年4月1日−平成16年3月30日
*4:平成12年4月1日−平成12年6月30日
*5:平成12年7月1日−平成16年3月31日
*6:平成12年4月1日−平成14年3月31日
*7:平成14年4月1日−平成16年3月31日
*8:平成12年4月1日−平成13年3月31日
   平成14年4月1日−平成15年3月31日
*9:平成12年4月1日−平成13年3月31日
*10:平成14年4月1日−平成15年3月31日


平成15年度研究報告 研究成果の要旨

家族性乳がんと散発性乳がんを対象に臨床病理学的特徴を比較した結果、家族性乳がんでは多中心性の発生が多く、さらに閉経前乳がんでは非がん部乳腺組織の増殖性変化が強く、閉経後乳がんでは予後が良好であることが明らかとなった。遺伝子多型と散発性乳がんの易罹患性をケースコントロール解析で検討した結果、エストロゲン代謝酵素CYP19のイントロン4の(TTTA)繰り返し多型、CYP1A1の6235CあるいはTの多型、およびがん抑制遺伝子p53のコドン72の遺伝子多型(ArgあるいはPro)に関して、ER陽性乳がんの易罹患性と有意な相関が認められた。さらに、血清エストロン値の高い女性はER陽性乳がんの、また、脂肪細胞から分泌され肥満に伴って血中レベルが低下するアディポネクチンの血清レベルの低い女性は、ER陽性乳がん、ER陰性乳がんの罹患性が有意に上昇することが明らかとなった。これらの遺伝子多型および血清のバイオマーカーは、疫学的なリスクファクターとは独立して乳がんの易罹患性と相関していたことから、新規リスクファクターとして散発性乳がんのリスク診断に有用であると考えられた。


平成14年〜15年度総合研究報告 研究成果の要旨

日本人の家族性乳がんの臨床病理学的特徴は、発症年齢が若く、両側性および同側多発乳がんが高頻度であり、また、閉経前乳がんでは非がん部乳腺組織の増殖性変化が強く、閉経後乳がんでは予後が良好であった。医療関係の女性、乳がん患者およびその家族を対象に、家族性乳がん家系で母親にBRCA1変異が見つかった設定でアンケート調査を行なった。その結果、80%以上の女性は遺伝子診断を希望し、変異保因者であった場合、21-27%の女性がtamoxifenによる化学予防を希望した。予防的乳房切除術は医療関係の女性、乳がん患者の約20%が希望したのに対し、家族では5%と有意に低率であった。遺伝子多型と散発性乳がんの易罹患性をケースコントロール解析で検討した結果、エストロゲン代謝酵素CYP19のイントロン4の(TTTA)繰り返し多型、CYP1A1の6235CあるいはTの多型、およびがん抑制遺伝子p53のコドン72の遺伝子多型(ArgあるいはPro)が、ER陽性乳がんの易罹患性と有意に相関した。さらに、血清エストロン値はER陽性乳がんの、血清アディポネクチン値は、ER陽性乳がん、ER陰性乳がんの罹患性と有意に相関した。これらの遺伝子多型および血清のバイオマーカーは、疫学的なリスクファクターとは独立して乳がんの易罹患性と相関していたことから、新規リスクファクターとして散発性乳がんのリスク診断に有用であると考えられた。

平成14年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成15年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01