14-4 ヘリコバクター・ピロリ感染と胃発がんに関する研究
 
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14-4 ヘリコバクター・ピロリ感染と胃発がんに関する研究

主任研究者 大分大学医学部 藤岡 利生


研究者氏名、所属および分担研究課題
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
藤岡 利生
大分大学医学部 教授
胃発癌機序の解明と除菌による予防法の確立
後藤田 卓志
国立がんセンター中央病院
前癌病変(胃腺腫)のH. pylori 除菌による変化
東 健
福井大学医学部 助教授
菌体−宿主相互反応
杉山 敏郎
北海道大学大学院医学研究科 助教授
H. pylori 感染と宿主反応
西園 晃
大分大学医学部 教授
ワクチンによるH. pylori 胃炎の制御とその作用機序の解明
福田 能啓
兵庫医科大学医学部 助教授
H. pylori 感染における消化管粘膜透過性と胃発癌の関連およびbacterial strain diversityを応用したワクチン療法の開発
鈴木 雅之
国立病院東京医療センター
ヘリコバクター・ピロリ除菌後における胃粘膜上皮細胞増殖能に関する研究


平成15年度研究報告 研究成果の要旨

日本型(東アジア型)H. pylori 株のCagAは欧米型株のCagAと比べて萎縮性胃炎の程度が強く、わが国を含む東アジアに胃癌が多発する原因と考えられた。胃生検材料を用いた検討ではH. pylori 感染後期の進展した萎縮性胃粘膜では増殖とアポトーシスのバランスが崩れ、Smad5を介したアポトーシスの低下による癌の発生が示唆された。除菌治療後最長7年におよぶ長期経過では、胃粘膜上皮細胞のHGF、Ki-67, p53,MDM2などの発癌関連の細胞周期関連遺伝子発現が減少した。胃生検材料からRNAを抽出し、GEArray assay(Cancer PathwayFinder Gene Array:96種類の遺伝子)を用いて遺伝子発現を検討し、除菌によって9種類のCancer Pathway Geneの減少が確認された。除菌後の長期経過観察で胃腺腫が消失する可能性が示唆された。アジュバントを要しない樹状細胞や精製ウレアーゼ結合nanosphereを用いたワクチン開発や除菌治療で小児期のH. pylori 感染の予防により胃発癌予防法の確立する必要がある。


平成14年〜15年度総合研究報告 研究成果の要旨

H. pylori 感染胃粘膜では、IV型分泌機構を用いて菌から宿主細胞へのCagAの注入、宿主細胞内でのCagAチロシンリン酸化が起こり、SHP-2と複合体を形成し、持続的な胃炎を惹起して胃炎から胃癌への発症に関与する。日本型(東アジア型)株のCagAは欧米型株のCagAと比べて萎縮性胃炎の程度が強く、わが国を含む東アジアに胃癌が多発する原因と考えられた。生検材料の検討では萎縮性胃粘膜のアポトーシスの低下にSmad5の関与が示唆された。除菌治療による最長7年間の介入試験では、胃粘膜上皮細胞のHGF、Ki-67, p53、MDM2などの発癌に関連する細胞周期関連遺伝子発現が減少した。胃生検粘膜から抽出したRNAをGEArray assay(Cancer PathwayFinder Gene Array:96種類の遺伝子)を用いて解析し、除菌によって9種類の遺伝子の変化が確認された。除菌後の長期経過観察で胃腺腫が消失することが示唆された。今後、樹状細胞やウレアーゼ結合nanosphere用いたアジュバントの不要な安全性の高いワクチンの開発が必要である。

平成14年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成15年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01