14-11 発がんにおける炎症の役割と発がん予防に関する研究
 
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14-11 発がんにおける炎症の役割と発がん予防に関する研究

主任研究者 熊本大学大学院医学薬学研究部 赤池 孝章


研究者氏名、所属および分担研究課題 
研究者氏名
所属施設 地位
分担研究課題名
赤池 孝章
熊本大学大学院医学薬学研究部 助教授
感染炎症における遺伝子損傷機構の解析
小倉 勤
国立がんセンター研究所支所 室長
動物発がんモデルでのNOの腫瘍原性作用の解析とその抑制に関する研究
高橋 真美
国立がんセンター研究所 研究員
発がんにおけるプロスタノイド及び一酸化窒素の役割に関する研究
岡田 太
北海道大学遺伝子病制御研究所 助手
ヒト大腸発がん・プログレッションにおける一酸化窒素の役割に関する研究
傳田 阿由美
奈良県立医科大学附属・がんセンター 講師
NOのヒト発がん機構と予防に関する研究
村上 明
京都大学大学院農学研究科 助手
繊維化を伴う肝発がんモデルにおける発がん機構の研究
多羅尾 和郎(班友)*1
神奈川県立がんセンター 副院長
抗炎症性発がん抑制食品成分の究明とその作用特性の解析
*1:平成15年7月24日−平成16年3月31日


平成15年度研究報告 研究成果の要旨

各種感染・炎症モデルにおいてNOによる損傷塩基である8-ニトログアノシンの生体内生成を証明した。また、8-ニトログアノシンそのものが、高いレドックス活性を有しており、NOが8-ニトログアノシン生成を介して、ウイルスのRNAゲノムや培養細胞(AS52細胞)のDNAに変異原性を発揮することがわかった。さらに、NOや8-ニトログアノシンが肝臓がん由来細胞株HepG2細胞のグルコース飢餓により誘導される細胞死を強力に抑制し、NOによる生存シグナルの担い手であるという興味ある知見を得た。ヒト大腸がん培養細胞において、EP1 及びEP2の発現上昇とともに、EP3の発現低下が重要であり、EP3の低下はDNAメチル化によることが示唆された。ヒト大腸腺腫細胞の慢性炎症およびNOによる発がんに伴う変化として、type IX collagen alpha-3 (COL 9A3)の発現増加を見出した。以上より、NO・プロスタノイドなどの一連の炎症性活性分子種が、核酸塩基修飾(特に、8-ニトログアノシン生成)を介して変異原性を誘導し、さらに、細胞死・細胞増殖や組織構築に関わる遺伝子の発現調節異常をもたらし、がんのプログレッション及びがんの浸潤・進展に深く関わることが示された。


平成14年〜15年度総合研究報告 研究成果の要旨

NO・活性酸素・プロスタノイドなどの炎症性活性分子種の発がんにおける役割について基盤的研究を行った。各種感染・炎症モデルにおいてNOによる損傷塩基である8-ニトログアノシンの生体内生成を証明した。また、8-ニトログアノシンそのものが、高いレドックス活性を有しており、NOが8-ニトログアノシン生成を介して、ウイルスのRNAゲノムや培養細胞(AS52細胞)のDNAに変異原性を発揮することがわかった。さらに、NOや8-ニトログアノシンが肝臓がん由来細胞株HepG2細胞のグルコース飢餓により誘導される細胞死を強力に抑制し、NOによる生存シグナルの担い手であるという興味ある知見を得た。ベンズピレン皮下投与腫瘍形成モデルにおいて、NOが、AMP-活性化蛋白質リン酸化酵素を誘導し、がん細胞の栄養飢餓耐性と浸潤・転移能に関与することがわかった。大腸発がんにおいてEP1 及びEP2の発現上昇とともに、EP3の発現低下が重要であり、EP3の低下はDNAメチル化によることが示唆された。NOによりヒト大腸腺腫細胞のがん化が進展され、ヒト大腸腺腫細胞の慢性炎症およびNOによる発がんに伴う変化として、type IX collagen alpha-3 (COL 9A3)の発現増加を見出した。ヌードマウスにおける炎症−発がんモデルにおいて食物由来の化合物であるaurapteneが極めて強い発がん予防効果を示した。

平成14年度研究成果の要旨

本ページは、研究成果の要旨のみを掲載しております。
詳しい研究報告をご覧になりたい方は、「厚生労働省がん研究助成金による研究報告集 平成15年度」を全国の医学部・医科大学図書館に配布しておりますので、そちらをご利用下さい。



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更新日:2004/12/01