動画で分かる! シチュエーション別 Q&A
あなたが「がん」
だと診断されたら?
あなたが「がん」だと診断された場合に気になる3つの疑問にお答えします。
家族が「遺伝性のがん」
だと診断されたら?
あなたの家族が「遺伝性のがん」だと診断された場合に気になる3つの疑問にお答えします。
「がん」と「遺伝」にまつわる 6つのギモン
がんってどうしてできるの?
「遺伝性のがん」って?
日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんにかかる、と言われているように、がんは身近な病気の一つです。がんを発症した人の一部では、生まれつきがんになりやすい体質をもっている場合があります。これを、「遺伝性のがん(遺伝性腫瘍)」とよび、がん全体のおよそ5%と考えられています。
詳しくはこちら(外部サイト)
家族ががんになったらわたしもなるの?
がんそのものは親から子に伝わることはありませんが、「生まれつき(遺伝的に)がんになりやすい体質」は血のつながったご家族で共有することがあります。
「生まれつき(遺伝的に)がんになりやすい体質」とは、生まれつき「特定のがんのリスクと関係のある遺伝子」が変化していることをさします。このような遺伝子に変化をもっている方は、そうでない方に比べてがんを発症しやすい体質であると言えます。ただし、かならずしもがんを発症するとは限りません。
詳しくはこちら
一方で、がんの発症にはさまざまな要因が関わっています。たとえば生活習慣などは家族で似ていることも多く、家族にがん罹患者が多い方でも必ずしも遺伝的な要因があるとは限りません。また、家族にがんの方がいなくてもこのような遺伝子に変化をもっている場合もあります。
詳しくはこちら(外部サイト)
遺伝性のがんってどうやったら調べられますか?
「生まれつき特定のがんのリスクと関係のある遺伝子」の変化をもっているかどうかを知るには、血液を採取して、血液の中の細胞を用いて遺伝子を調べます。これは、がん組織を用いて遺伝子を調べる検査とは異なります。
詳しくはこちら
▶ 検査について詳しく知りたい方は、
「もっと教えて!遺伝子の検査」をご覧ください。
生まれつきもっている遺伝子の変化は治せますか?
生まれもった遺伝子の変化は現在の技術では治すことはできません。ただし、がんは早くみつけるほど治りやすい病気です。特定のがんになりやすい体質がわかった場合、該当する臓器に対する早期発見のための検診を受けることができます。
たとえば、「遺伝性乳がん卵巣がん」の体質と診断された方の場合、がんを発症する可能性が高い臓器として、乳房、卵巣、前立腺などがあります。適切な検診方法や検診時期が提示されており、臓器によっては予防的な手術が考慮される場合もあります。
※特定のがんになりやすい体質が分かった場合でも、必ずしも効果的な検診方法が確立されていない場合もあります。
遺伝性のがんとわかったら周りにどう伝えたらいい?
特定のがんになりやすい体質が分かった場合、その情報はご本人の今後の健康管理やご家族にも役立つ情報となる可能性があります。
一方で、将来についての情報を今は知りたくない、と考える場合もあるでしょう。自分の体質を知ることで不安や心配がふえてしまう方もいます。「知らないでいる」という選択も個人個人の守られるべき権利です。血のつながったご家族に生まれもった遺伝子の変化について伝える際には、さまざまな配慮が必要です。
生まれもった遺伝子の情報を伝えるかどうか、どう伝えたらいいのか、悩んだときには、遺伝カウンセリングを利用することができます。遺伝カウンセリングでは、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー®などの専門のスタッフが、遺伝に関する疑問やご相談にお応えします。
もっと教えて! 遺伝子の検査
遺伝子検査って何?
医療機関で行われるがんに関連した遺伝子検査には、⼤きく分けて2つの検査のタイプがあります。一つはがんなど病気の組織の遺伝⼦を調べる検査(体細胞遺伝⼦検査)、もう一つは⽣まれもった遺伝情報を調べる検査(⽣殖細胞系列遺伝⼦検査∕遺伝学的検査)です。
詳しくはこちら
遺伝子検査はどうやって行うの?
生まれもった遺伝情報を調べる検査(遺伝学的検査)は一般的に血液を用いて行います。多くのがん専門病院や大学病院等では検査体制が整備されています。詳しくは各医療機関にお問合せください。
遺伝子検査でどんなことが分かるの?
遺伝子検査の結果報告書には遺伝子配列の変化の種類やその解釈(意味づけ)について記載されています。生まれもった遺伝情報は原則として一生涯変わらないという特徴があります。また、生まれつきがんの発症と関連する遺伝子の変化をもっていることが分かった場合でも、かならずしもがんを発症するわけではありません。
インターネットや店舗などで購入できる遺伝子検査と
医療機関で実施される検査の違いは?
最近では、医療機関を介さずに購入できる遺伝子検査が販売されています(消費者向け(DTC)遺伝子検査)。DTC遺伝子検査は、複数の遺伝子や環境などの要因が複雑にからみあって発症する疾患・体質について「予測」する検査です。一方、遺伝学的検査は、病気との関連が極めて高いことが分かっている遺伝子について調べ、診断につなげることを目的とした検査です。
「遺伝学的検査」と「DTC遺伝子検査」は、どちらも病気のリスクに関わる遺伝情報を調べますが、遺伝性のがんの「診断」にかかわる「遺伝学的検査」は医療機関でのみ実施できます。
遺伝子検査って受けたほうがいいの?
遺伝子検査を受けることで、健康管理上のメリットがある場合がありますが、一方で、結果を知ることによる心理的な影響は個人差がありさまざまです。ご自身やご家族の体質に関して「遺伝なのだろうか…」といった思いを抱えていた方にとって、検査結果を知ることで納得感が得られることもあります。生まれもった体質が分かり、不安や心配が増えてしまう方もいます。
遺伝子検査の結果はご家族の中でも結果が異なることがあります。遺伝子検査を受ける前には、もし遺伝性のがんの体質と分かったらどうか、逆にそうでないと分かったらどうか、ご自身に当てはめて考えてみることが大切です。
遺伝カウンセリングって何?
遺伝子検査を受けるかどうか悩んでいる、遺伝性のがんと言われたので詳しい話を聞きたい、というときには遺伝カウンセリングを利用することができます。
遺伝カウンセリングでは一人ひとりの病歴や家族構成を伺い、遺伝が関係する病気についてお話ししながら、どのような選択肢があるのかを一緒に考えていきます。ご家族と一緒に遺伝についての話をきくこともできます。
▶ 遺伝カウンセリングを受けられる医療機関は、こちら(外部サイト)をご覧ください。
国立がん研究センター東病院のとりくみ
がんの遺伝子検査の結果から遺伝性のがんの可能性があると言われた方、あるいはご家族が遺伝性のがんの体質と診断された方を対象とした臨床研究(BRANCH研究)を実施しています。国立がん研究センター東病院が中心となり、全国44施設(2023年3月現在)で実施されています。
日本において、遺伝性のがんの可能性があるといわれた方やそのご家族が生まれつきの体質について調べる検査体制はまだ十分とはいえません。
本研究では、がんの遺伝子検査などをきっかけとして、患者さんやその血縁者ががんを発症しやすい体質かどうかを調べ、がんの早期診断や予防などに役立てることを考えていきます。そのために必要な体制についても、検討していきます。