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国立がん研究センター バイオバンク

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国立がん研究センター(National Cancer Center : NCC)バイオバンクについて

国立がん研究センター(NCC)バイオバンクの紹介

バイオバンク調整委員会委員長 真野 博行

世界では毎年800万人を超える人ががんで亡くなっています。日本だけでも毎年36万人以上の人ががんで命を落としており、人口の高齢化がすすむとこの数字はさらに増加することが予想されます。このような状況下にあって、国立がん研究センターにおいては、最新・最善の治療を行う一方、新しいがん診断法・治療法の開発や、新たながんの予防法を構築することが社会的使命と言えます。

がんゲノムの研究が急速に進歩した結果、がんの遺伝子異常は極めて多様性に富むことが明らかになりました。おなじ「肺がん」であっても人によって発がん原因遺伝子は異なっていることが多く、おなじ人のがんであっても例えば再発したがんは早期のがんとは異なる遺伝子異常が加わっていることがわかったのです。がんのこのような特性を理解し新しい治療法を開発するためには、実際の患者さんの生体試料を最新の技術で解析することが極めて重要といえます。この目的のためにNCCバイオバンクは設立され、ご協力頂ける患者さんから腫瘍・血液などが臨床情報と共に厳重な管理下で保存されてがん研究に用いられます。

病気になる前(健常人)と、病気になった後(患者さん)の協力に支えられる病気の克服

NCCバイオバンクの試料を用いた研究は、既に個別化医療の実現に向けたいくつかの成果をあげています。たとえば、肺がんの一部において特徴的な遺伝子の異常(RET融合遺伝子)を見いだし、この異常を有する肺がんに対して効果が期待される治療薬を用いた臨床試験が行われています。

詳細な診療情報や病理情報が付与された精度の高いバイオバンクの構築は、現在、有効な治療法がないがん種に対して効果的な治療薬の開発を可能とし、がん克服という人類共通の願いを実現するための重要な礎となります。今、我々が受けている医療も、過去の多くの患者さんの協力により、開発されてきたものです。

私たちの健康・医療は、過去の多くの人々からの贈り物

医療従事者と患者さんのみならず、ご家族の方々や国民全員が協働することにより、近い将来にがんが決して怖い病気ではなくなる時代を実現するために、国立がん研究センターの職員全員が一丸となり、他のナショナルセンターとも連携・協力しつつ、充実したNCCバイオバンクの構築に取り組んでまいります。みなさまのご理解とご協力をお願い致します。

バイオバンク調整委員会委員長 間野 博行
(研究所長)

バイオバンクとは?

バイオバンクとは、血液や組織などの試料(検体)とそれに付随する診療情報などを保管し、医学研究に活用する仕組みのことを言います。

国立がん研究センターでは、中央病院・東病院に受診された患者さんを対象に、検査に使われた血液や組織などや、手術などで摘出された組織の診療後の残りと研究用採血、それらに付随する診療情報、診療後の経過の情報の提供をお願いしています。ご提供いただいたこれらの試料と情報は、バイオバンクに整理して保管し、がんおよびがん以外の医学研究に使わせていただきます。

バイオバンクのイメージ

国立がん研究センターバイオバンクの試料と情報を研究に使うときの手続き

バイオバンクの試料と情報を利用する研究は、その一つ一つが当センターの研究倫理審査委員会で、倫理的に問題がないか、医学的に有用な研究であるかという観点から審査を受けます。その結果、許可された研究に対してのみ、バイオバンクの試料・情報が研究に使われます。研究に使われるときには、匿名化などの方法で個人情報は厳重に保護いたします。

国立がん研究センターバイオバンク試料を使った研究

バイオバンクの試料と情報は、国立がん研究センターで行う研究はもちろん、他の大学や研究機関、企業との共同研究に大切に使わせていただき、将来の医療に向けて新しい診断法、治療法、予防法の研究開発などを行います。研究の中には、「細胞株の樹立」と言って、ご提供いただいたあなたの血液や組織から細胞を取り出し、その細胞を試験管内で「培養」して増やすものや、「ゲノム解析」と言って、私達の体を構成している細胞から、一部あるいはすべてのDNA配列を調べるものも含みます。

国立がん研究センターバイオバンクを利用した研究については、関連ファイルの「包括的同意利用倫理審査承認課題一覧(PDF:539KB)」からご覧いただけます。

国立がん研究センターバイオバンクと6ナショナルセンター共同のバイオバンク

こうしたバイオバンクの取組みは、当センター以外の5つの国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)においても行われており、6つのナショナルセンターが協力し合い、共同でバイオバンクを構築しています(ナショナルセンター・バイオバンク・ネットワーク(NCBN)プロジェクト)。バイオバンクの試料と情報は、他の大学や研究機関、企業に提供される可能性もあります。

各部門について

NCCバイオバンク体制図

バイオバンク調整委員会

本委員会は、国立がん研究センターバイオバンクを適切に運営するための決定機関として、関係する実務担当者がメンバーとなって活動しています。バイオバンクの適切な運営のための調整業務の他、バイオバンク試料・臨床情報を有効活用するためのシステム開発、当センターを含む6つの国立高度専門医療研究センターが共同して構築しているナショナルセンター・バイオバンク・ネットワークプロジェクト推進に関するセンター内調整業務等を行っています。

試料管理・払出しワーキンググループ

バイオバンク試料 (病理凍結組織・病理ブロック・診療採血血液・研究採血血液)の管理を行います。
バイオバンクに同意してくださった患者さんの個人情報をしっかりと守るため、国の定めた「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」等を遵守して、試料の匿名化を適切に行なった後に、例えば血液検体から血漿という成分やDNAやRNAを取り出すというように、研究利用に適した形に試料を調整します。同時に、試料を管理するためのデータベースに、試料を登録します。

試料の品質は、研究の成果を左右します。そこで、 がん組織を液体窒素タンクに直ちに収納してマイナス190度程度まで冷却するというように、全ての試料が高い品質を維持できるよう、適切な環境にそれぞれ保管します。
バイオバンク試料を用いて研究を行おうとする研究者の求めがあれば、正規の手順を経た上で、 研究者に提供します。患者さんが提供してくださった貴重な試料を無駄なくなるべく多くの研究者で使わせて頂くため、研究終了後に残った試料の返納も受け付けます。このような払い出し・返納の記録も直ちにデータベースに入力し、試料の在庫管理をします。

こうして、患者さんの個人情報を守り、研究に役立つ高い質を維持して試料を調整・管理し、研究者の手に試料を届けるのがこのワーキンググループの役割です。

バイオバンク協力推進ワーキンググループ

バイオバンクについての説明を、患者さんへ個別に行い、ご協力への同意をいただくことを一番の責務としています。リサーチ・コンシェルジェという説明担当者が、中央病院、東病院に受診する患者さんに対して文書を用いてバイオバンクについての説明を行い、患者さんのご質問などにもお答えしています。また、センター職員向けに定期的にバイオバンクの説明会を開催し、センター全体でバイオバンクが機能するように取り組んでいます。バイオバンクについての研究計画書や、説明同意文書を変更するなどの場合は、研究倫理審査委員会へ提出する書類作成などを行います。実際にお会いする患者さんからの質問やご意見をいただきながら、よりよい窓口にしていこうと思っています。

統合データベース開発ワーキンググループ

バイオバンクを用いた研究は患者さんの検体だけあればよいわけではありません。その患者さんの病気が何か、どのくらいの広がりだったのか、どんな患者さんで、どのような治療を受けたのかという情報が必要です。さらにその治療の結果、効果があったのか、なかったのか、あるいは治療による副作用がどうであったのかを、がん組織の遺伝子や、患者さん個人の遺伝子と組み合わせて考えることで、新しい治療や予測方法につながります。そのような細やかな臨床情報があって初めて質の高い研究を行うことが可能になります。このワーキンググループでは、当センターに受診された数万人もの患者さんの臨床経過より必要な項目を抜粋し、個人情報管理室を通じて匿名化を行った上でデータベースへ入力を行っています。個人情報の保護に十分に配慮した上でよりよいシステムを構築することを目標としています。

個人情報管理室

バイオバンクの試料と情報を研究に使うときには、個人情報を保護することをお約束しています。そのための一つの方法として、ご提供いただいた研究用採血の血液や情報はバイオバンクに保管する際に、個人のお名前やカルテ番号を、別の記号や数字に置き換える作業を行います。この作業を「匿名化」といい、匿名化されることで研究者は誰の血液や情報かを特定できなくなります。この作業を行う場所が個人情報管理室です。「個人の名前やカルテ番号」がどのような記号や数字に置き換えた「匿名化番号」であるかを示した表(対応表)は、匿名化を行う担当者以外は閲覧できないようになっており、また担当者のみが入室可能な個人情報管理室内で更に鍵をかけて厳重に管理されます。

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