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国立がん研究センター 東病院

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ARCADアジア(Aide et Recherche en Cancérologie Digestive Asia:アルカドアジア)とは

  • アジアを中心として行われた過去の治験・臨床試験データを収集・統合し、医薬品の研究開発等への利活用を行うこと目的としたデータシェアリング事業です。
  • ARCADアジアでは、製薬企業やアカデミア臨床研究グループの協力のもと、過去の治験・臨床試験を国立がん研究センター内に設置するデータセンター(ARCADアジアデータセンター)に収集し、データベースを構築します。
  • データベースに格納されている過去のさまざまな治験・臨床試験結果を利活用することで、単一の研究では解析できないような統合解析を行うことが可能となり、研究への幅広いアプローチが行えるようになります。また、医薬品の研究開発活動の効率化などが可能となり、より良い医療をより早く、患者さんに届けられることが期待されます。

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東病院内に「ARCADアジアデータセンター」を設置し、国立がん研究センターと各製薬企業等との間でデータ提供に関する共同研究契約を結び、コンソーシアム内におけるデータシェアリング体制を構築します。対象とする治験・臨床試験データは、製薬企業やアカデミア研究グループから契約下で提供をうけ、データセンターにて統合データベースを構築します。コンソーシアム参加者やアカデミアより統合データベースの利活用の希望がある際は、医学的な重要性・妥当性等を踏まえ、アカデミアグループにて十分検討の上、ARCADアジアデータセンターにて解析を行い、その解析結果を利活用の希望者に提供します。

本プロジェクトでは、まず切除不能進行再発(ステージ4)大腸がんの治験・臨床試験データを対象にシェアリングを開始します。ステージ4は製薬企業が医薬品の研究開発を優先的に行う領域のため、新薬開発についても利活用が期待できます。特に近年、ステージ4におけるアジア圏内の臨床開発が多数行われていることから、日本が先駆けて基盤構築に取り組むことで、アジアのデータシェアリング環境を主導することを目指します。

データシェアリングの意義と必要性

「データシェアリング」とは、それぞれの企業等が保有する臨床試験等のデータについて、個人を特定するような個人情報は削除したうえで1か所に集め、データベースとして構築したものを、アカデミア等で共有・利活用する試みです。

通常、治験や臨床試験の実施のために収集する患者さんの貴重なデータは、各試験が目的とする結果を導くために使用されたあとは、それぞれの試験実施企業などのもとで保管されたままになっています。

一方、治験や臨床試験を実施するには、患者さんの多大な負担・協力を要することはもちろんのこと、企業等においても長い年月や多くの金額を必要とすることから、近年、その眠っている貴重なデータを最大限利用しようとする動き、「データシェアリング」の在り方が模索されてきました。

欧米では先んじてデータシェアリング基盤が構築されており、医薬品研究開発の効率化や各種研究に対してデータ利活用を行い、成果をあげています。

ARCADアジアで収集する試験について

アジアが中心となって実施した切除不能大腸がんの治験・臨床試験から事業を開始します。
その後、がん種を拡大し、また、アジア諸国とも協調することで、日本にアジアのデータセンターを構築していきます。

注:試験の進捗については、随時本HPでお知らせいたします

ARCADアジアデータベースにより可能となる解析の例

  • 代替エンドポイント(客観的な評価や治験の期間内で効果を評価するのが難しい場合、その代わりとして用いられる、より容易に効果を評価するための指標)の開発
  • 新たな病期分類の構築(本質的な予後因子の再構築)
  • 高齢者や若年患者など希少な対象に対する検討 等

今後の展望

アジア圏のデータシェアリング環境を構築し、大腸がんを中心とした既存の治験・臨床試験および今後実施される臨床試験を統合したデータベースを構築し、そのデータベースを用いた各種解析により、レギュラトリーサイエンス上の課題を体系的に評価していきます。また、その結果に基づいて、臨床試験および薬事承認プロセスにおけるエンドポイントに関する提言を行うことで、医薬品の研究開発のコスト削減・効率化、ひいては患者さんのベネフィットの最大化につなげていきます。

さらに、本プロジェクトの基盤を生かし、将来的には欧米のデータベースとも統合し、世界的ながん臨床試験データベースの構築と豊富なデータを用いた各種解析による世界規模でのエビデンス創出と治療開発を促進します。