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社会と健康研究センター

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センター長ごあいさつ

センター長 津金昌一郎

がん予防・検診研究センターは、平成28年1月1日付の組織改編により、社会と健康研究センターとして新たにスタートすることになりました。

2004年に開所して以来、がん予防・検診研究センターでは、「がんにならないこと、がんになっても命を落としたり生活の質を下げたりしないようにすること」を目標に、予防と検診に特化した研究を担い、その成果として、疫学研究によるエビデンスを構築し、科学的根拠に基づくガイドラインを作成すると共に、がん検診の精度管理などの政策提言を行ってまいりました。また、約1万4千人(延べ3万人)に対して、最新のがん検診を提供し、その有効性の検証などの研究を実施してまいりました。そして2016年1月、社会と健康という大きな枠組みの中で、予防と検診の研究に加えて、公衆衛生、健康科学および社会学などの関連研究を集約し強化する組織改編を実施いたしました。

社会と健康研究センターは、従来のがんの予防・早期発見(検診)に加え、がん患者・サバイバーへの支援、支持療法やがん対策などを組入れ、社会的、経済的、倫理的な諸問題などに関する研究を実施することにより、国民生活の質の向上、格差の解消と健康の維持・増進に資することを使命としています。これは、がんという病気がみせる多面性と私たちの社会に起こる様々な変化に速やかに対応するために打たれた布石でもあります。

がんの原因は1つではありません。喫煙、飲酒、食事や運動などの日々の生活習慣、肝炎ウイルスやヘリコバクター・ピロリなどの持続的な感染、ひとりひとりの遺伝的な背景などが複雑に絡み合って起こる多因子疾患です。近年では、心理社会的要因、胎児・成育時の環境、糖尿病など他の病態の関与などが示されています。

また、がんの罹患率は高齢になればなるほど高くなります。現在、日本人の2人に1人が一生に一度はがんを経験するものと推計されていますが、、今後、高齢化がさらに進み、がんになる人はますます増えるでしょう。従って、がんにならないことに重点を置きながら、がんに負けない、がんと生きる社会をめざす必要があり、そのための科学的根拠に基づいた施策が求められます。

さらに、現実的な問題として、多くの人にとって、がんという病気は、循環器疾患、糖尿病、感染症、精神・神経疾患、さらには老化などさまざまな健康問題の1つです。確かに、がんは大きな問題ではありますが、がんにならなければ良いということではなく、がんを予防するのであれば他の病気も予防し健康でなければ意味がないのです。また、がんを治癒やしたとしても、他の病気の予防や治療も気にかけなくてはいけません。こうした社会的ニーズの変化に対応するために、がんの予防や治療だけを見るのではなく、社会との関係を含め、広い視野でがんという病気をとらえ直し、リアルな研究目的を設定し、その成果を着実に社会に還元しなくてはなりません。

私たちは、新たな枠組みにおけるパラダイムシフトを踏まえ、より高い活動目標達成のために前進します。国民の皆さま方には引き続きご協力およびご督励を賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。なお、がん検診の提供は、中央病院検診センターに引き継がれますので、今後ともご利用いただきたくお願い申し上げます。

国立がん研究センター社会と健康研究センター
センター長 津金 昌一郎