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国立がん研究センター

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国立がん研究センターとアストラゼネカ質量分析イメージング法による新規抗がん剤の局在解析に関する共同研究契約を締結

2015年11月16日
国立研究開発法人国立がん研究センター
アストラゼネカ株式会社

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:堀田 知光、以下、国立がん研究センター)とアストラゼネカ(CEO:パスカル・ソリオ、以下、アストラゼネカ)は、新規抗がん剤に関する臨床開発と非臨床研究の推進を目的とする包括共同研究契約をそれぞれ2011年、2012年に締結し、数多くの臨床並びに非臨床共同研究を実施しております。

この度、これらの成果に基づいて新たに、国立がん研究センターが開発中の質量分析イメージング法(Mass Spectrometry Imaging: 以下、MSI)を用いて、アストラゼネカの新規抗がん剤の腫瘍組織への局在を解析する非臨床共同研究契約を2015年9月10日に締結いたしましたのでお知らせします。

国立がん研究センターにおいて開発中のMSIは、同センター 先端医療開発センター 臨床薬理トランスレーショナルリサーチ分野分野長の濱田哲暢主導により、創薬研究への応用を検討されており、その空間解像能により世界をリードする高度先駆的医療技術として注目されています。

MSIは、腫瘍組織で起こる抗がん剤の複雑な相互作用を放射性同位体を使用せずに直接分析できる技術です。本共同研究の目的は、坦がん動物モデルを用いて、新規抗がん剤の腫瘍組織分布を解析するMSI技法を開発・確立することです。すなわち、国立がん研究センターとアストラゼネカは、坦がん動物モデルにおいて採取された腫瘍組織への抗がん剤分布の解析結果と治療効果を比較し、人を対象とする臨床試験における生体腫瘍組織検査に応用し、抗がん剤の腫瘍組織分布を解析・評価する“橋渡し研究”(Translational study)としてMSIの応用を計画しています。

本共同研究の成果は、今後、新規抗がん剤を用いた早期臨床試験(第I相臨床試験)において、生体組織検査により腫瘍組織中の薬物分布濃度と効果との関連を評価し、投与量の設定、作用の評価に役立てます。本技術を用いて最適な投与量を速やかに決定することにより、臨床試験の時間の短縮も可能にすると期待されています。また、がん治療分野だけでなく、生体組織検査を行う他の治療分野における当該薬剤の組織中の薬物分布濃度と効果との関連を評価することにも応用できる可能性もあります。

国立がん研究センターは、日本のみならず世界への貢献ならびに、世界をリードすることをめざしています。本契約により、アストラゼネカの抗がん剤候補を用いての共同研究を進めることで、高度先駆的医療技術の臨床試験への応用を積極的に進めてまいります。一方、アストラゼネカは、日本のがん研究の最先端にある医療機関と連携することで、これまでに築きあげた基盤を更に発展させ、日本における臨床開発を世界水準にまで引き上げることが可能になります。両者が共働することで、優れた抗がん剤を迅速に開発し、一日も早く患者さんに提供するという使命を共有しており、有望な抗がん剤の開発が、今後質的にも時間的にも大きく前進することを確信しています。

国立がん研究センターの企画戦略局長の藤原康弘は次のように述べています。「質量分析イメージング技術は、平成24年度より厚生労働省 革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業(総括研究代表者:藤原康弘)の支援を受けて開発された新技術であり、これまで判らなかった腫瘍組織・細胞への抗がん剤集積を画像として確認することができるようになってきました。今後、新技術を応用した日本発の医薬品開発が促進されることを期待しています」。

アストラゼネカのVice PresidentでありiMedのOncology HeadであるSusan Galbraithは次のように述べています。「アストラゼネカの目標はがん患者さんの人生を変え、がんによる死亡をなくすことにあります。今回、国立がん研究センター、ならびに濱田哲暢先生とチームの皆さんとの協働を拡大し、腫瘍を的確に標的とする医薬品を開発すると同時に、毒性を極力少なくし、ひいては臨床試験のプロセスを加速できるよう、この世界最先端の技術基盤を駆使してサイエンスの限界に挑戦できることを嬉しく思います」。

国立研究開発法人 国立がん研究センターについて

国立がん研究センターは、1962年にわが国のがん医療の拠点となる国立機関として創設されました。以来、がん研究・がん医療における国立の中核機関としてがんの病態解明とこれに基づく治療開発に向けた先端的な研究や医療の均てん化を牽引してきました。治験の実施件数も国内トップクラスで、第1相試験や医師主導治験も積極的に実施しています。
また中央病院と東病院は、日本発の革新的医薬品・医療機器・医療技術の開発等に必要となる質の高い臨床研究や治験を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的な役割を担う病院として、本年、医療法に基づく臨床研究中核病院に承認されました。

アストラゼネカ株式会社について

アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細はこちらでご覧ください。

日本においては、主にがん、循環器、消化器、呼吸器、糖尿病、ニューロサイエンスを重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはこちらでご覧ください。

プレスリリース

  • 国立がん研究センターとアストラゼネカ 質量分析イメージング法による新規抗がん剤の局在解析に関する共同研究契約を締結

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お問い合わせ先

  • 国立研究開発法人 国立がん研究センター
    企画戦略局 広報企画室
    郵便番号:104-0045 東京都中央区築地5-1-1
    電話番号:03-3542-2511(代表)
    ファクス番号:03-3542-2545
    Eメール: ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に置き換えください)
  • アストラゼネカ株式会社
    東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館
    コーポレート・アフェアーズ統括部 三井
    E-メール:JPN.Ex.Comm●astrazeneca.com(●を@に置き換えください)
    電話番号:03-6268-2800/080-9652-2251

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