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5年生存率、10年生存率データ更新

グラフデータベースKapWebも更新全がん協加盟がん専門診療施設の診断治療症例について
5年生存率、10年生存率データ更新

2019年4月9日
国立研究開発法人国立がん研究センター

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、所在地:東京都中央区、略称:国がん)の研究開発費に基づく研究班「がん登録データと診療データとの連携による有効活用に関する研究班(班長:東 尚弘)」は、全国がんセンター協議会(会長:中釜 斉、以下、「全がん協」)の協力を得て、加盟施設(32施設)での診断治療症例について部位別5年生存率、10年生存率を集計し、全がん協ホームページで一般公開しました。
同研究班では、1999年診断症例より部位別臨床病期別5年生存率、1999年診断症例より施設別5年生存率を公開し、2012年からはグラフを描画する生存率解析システムKapWebを、さらにより長期にわたる生存率を把握するため10年生存率を公開するなど、先駆的な取り組みを行い諸問題の調査、研究に取り組んでいます。

今回の公表ポイント

  • 部位別5年生存率について、2008年から2010年に診断治療を行った140,675症例を集計。
  • 部位別10年生存率について、2002年から2005年に診断治療を行った70,285症例を集計。
  • がん種、病期、治療法など様々な条件設定で検索し、5年もしくは10年までの生存率年次推移をグラフでみることができるKapWebのデータも更新。
  • 部位別生存率において、相対生存率に加え、実測生存率も提示(従来はKapwebによる提示のみ)。

生存率の統計について

生存率の統計には、都道府県が行う地域がん登録で2006年から2008年に診断された約64万症例の5年相対生存率と、がん診療連携拠点病院が行う院内がん登録で2008年から2009年に診断された約50万症例による5年相対生存率が公開されていますが、10年生存率については実測生存率、相対生存率ともに公開されていません。また、2016年1月より開始された全国がん登録において同年診断症例の5年相対生存率が公開されるのは、2022年以降となります。

データベース概要

対象施設: 全国がんセンター協議会 32加盟施設 2019年4月現在)

北海道がんセンター、青森県立中央病院、岩手県立中央病院、宮城県立がんセンター、山形県立中央病院、茨城県立中央病院、栃木県立がんセンター、群馬県立がんセンター、埼玉県立がんセンター、国立がん研究センター東病院、千葉県がんセンター、国立がん研究センター中央病院、がん研有明病院、都立駒込病院、神奈川県立がんセンター、新潟県立がんセンター新潟病院、富山県立中央病院、石川県立中央病院、福井県立病院、静岡県立静岡がんセンター 、愛知県がんセンター、名古屋医療センター、滋賀県立総合病院、大阪医療センター、大阪国際がんセンター、兵庫県立がんセンター、呉医療センター・中国がんセンター、山口県立総合医療センター、四国がんセンター、九州がんセンター、佐賀県医療センター好生館 、大分県立病院

収集症例

1997年から2010年までに全がん協加盟32施設で診断治療を行った604,910症例

集計対象

5年生存率:

2008年から2010年に診断治療を行った症例のうち、以下の条件を満たした140,675症例

10年生存率:

2002年から2005年に診断治療を行った症例のうち、以下の条件を満たした70,285症例

集計基準

  • 5歳未満95歳以上は除外
  • 良性腫瘍・上皮内がん・0期・転移性腫瘍は除外
  • 解析対象は、自施設診断自施設治療、および他施設診断自施設治療症例(診断のみは解析対象外)
  • 下記の基準を満たした施設のデータのみを集計
    -    臨床病期判明率60%以上
    -    追跡率(予後判明率)90%以上

実測生存率、相対生存率とは

生存率には、実測生存率と相対生存率があります。実測生存率とは、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率で、この中にはがん以外の死因による死亡も含まれます。一方、相対生存率は、がん以外の死因による死亡などの影響を取り除いたもので、患者集団の実測生存率を、患者集団と同じ性・年齢構成の一般集団における生存率で割ることによって算出されます。

5年生存率(別紙表1参照)

  • 2008年から2010年に診断治療を行った32施設140,675症例について、全症例と手術症例の5年生存率を部位別に算出しました。
  • 算出した部位は、22種です。
  • 1997年から1999年の症例、1997年から2000年の症例、2001年から2003年の症例(全症例・手術症例)、2004年から2007年の症例(全症例・手術症例)、2007年から2009年の症例(全症例・手術症例)に続いての公開となります。

部位別算出

部位別臨床病期別に、全症例と手術症例の生存率および病期判明率、手術率、追跡率を算出し、一覧で表示しています。

相対生存率算出結果の概要

全部位全臨床病期の5年相対生存率は67.9%でした。1997年から1999年の62.3%から徐々に改善している傾向がみられます。これは、化学療法、放射線治療や早期発見技術の進歩が貢献していると考えられます。

  1. 90%以上 前立腺(100%)、乳(93.9%)、甲状腺(92.8%)
  2. 70%以上90%未満 子宮体(85.7%)、大腸(76.6%)、子宮頸(76.2%)、胃(74.9%)など
  3. 50%以上70%未満 卵巣(64.4%)
  4. 30%以上50%未満 肺(43.6%)、食道(45.9%)、肝(36.4%)
  5. 30%未満 胆のう胆道(28.0%)、膵(9.2%)

注意事項

初回(1997年から1999年)の公表と比較した場合、相対生存率は改善していますが、前回公表した相対生存率(2007年から2009年診断)と比較した場合、多くの部位で増加を認める一方、低下している部位も含めて、臨床的に意味のある変化は認めていません。

生存率算定における課題

がん登録がきちんと行われて初めて信頼に足る生存率が算定されます。今回の生存率算定でも追跡率が90%未満の施設が存在しています。これは、個人情報保護に対する対応の違いにより、住民票照会が困難な市区町村があることが一因と考えられます。今回の公表を通じて、正確な予後情報の活用への理解と関心がさらに高まり、正確な予後情報の確認調査ができる体制の充実が期待されます。

10年生存率(別紙表2参照)

  • 2002年から2005年に診断治療を行った20施設70,285症例について、全症例と手術症例の10年生存率を部位別に算出しました。
  • 算出した部位は、18種です。
  • 10年相対生存率の算出は、2001年から2004年に診断治療を行った20施設57,147症例に続き4回目の算出、公開です。
  • データ提出施設が限られるため、前回同様に施設別の算出は行っていません。

部位別算出

部位別臨床病期別に、全症例と手術症例の生存率および病期判明率、手術率、追跡率を算出し、一覧で表示しています。
5年生存率と10年生存率ではデータベースが違いますのでご注意ください。

データ提供施設(20施設)

青森県立中央病院、岩手県立中央病院、宮城県立がんセンター、山形県立中央病院、,栃木県立がんセンター、群馬県立がんセンター、埼玉県立がんセンター、千葉県がんセンター、がん研究会有明病院、神奈川県立がんセンター、新潟県立がんセンター新潟病院、福井県立病院、静岡県立静岡がんセンター、愛知県がんセンター中央病院、滋賀県立総合病院、国立病院機構大阪医療センター、兵庫県立がんセンター、呉医療センター・中国がんセンター、佐賀県医療センター好生館、大分県立病院

生存率算出結果の概要

全部位全臨床病期の10年相対生存率は56.3%でした。(前回集計2001年から2004年の全部位全臨床病期の10年相対生存率55.5%。同じデータベースの5年相対生存率は63.5%)。

  1. 90%以上
    前立腺(95.7%)
  2. 70%以上90%未満
    甲状腺(84.3%)、子宮体(80.0%)、乳(83.9%)など
  3. 50%以上70%未満
    大腸(66.3%)、胃(64.2%)、腎(63.3%)、子宮頸(69.0%)など
  4. 30%以上50%未満
    卵巣(45.0%)、肺(31.0%)、食道(30.3%)など
  5. 30%未満
    胆のう胆道(16.2%)、肝(14.6%)、膵(5.4%)など

注意事項

前回公表した生存率(2001年から2004年診断)と比較して、多くの部位で増加を認めますが、低下している部位も含めて、臨床的に意味のある変化は認めていません。

KapWeb

KapWeb(カップウェブ)は、がん種、病期、性別、年齢、初回治療など様々な組み合わせで5年相対生存率をみることができるデータベースで、2012年10月より一般公開しています。2016年1月からは10年相対生存率もみることができるようになりました。
今回新たに5年生存率算定のため、2010年に診断治療を行った32施設52,856症例の情報を追加しました。また10年生存率算定のため、2005年に診断治療を行った19施設26,635症例の情報を追加しました。

画像1

主な機能

  • 各種の条件で絞込が可能な生存率解析システム
  • 条件設定により生存率を算出
    生存率の年次推移をグラフと数値一覧表でみることができます。
  • がんサバイバー生存率の算出
    治療開始から一定期間生存した患者さんの生存率を集計(長く生存した患者さんほどその後の生存率の改善をみることができます。)
  • 英語表示
  • エデラーII法での生存率の算出 (くわしいデータ画面ではI法かII法の選択可)
    エデラーI法は患者集団の年齢分布が変化しないものとして生存率を計算し、エデラーII法は患者集団の年齢分布が変化するものとして生存率を計算しております。
    患者集団の年齢構成は死亡者が増えると変わるので、エデラーIIの方がより実態に即した生存率が計算できます。

活用方法

  • 患者さんの治療選択の参考情報
  • 引き続き再発に注意が必要か、再発の多い時期を乗り切ったのかなど見通しを得る。

データ提供への配慮

がん告知の直後など受容のための心の準備が整わない時期にある患者さんや、生存率についての情報を望まない方のために、説明と統計ページ回避画面を用意しています。

検索項目

  • 部位 全28種(一部重複あり)
    全部位、口唇・口腔・咽頭、舌、中咽頭、上咽頭、下咽頭、食道、胃、大腸(結腸・直腸)、結腸、直腸、肝、胆のう・胆管、膵臓、咽頭、肺(気管を含む)、骨、悪性黒色腫、皮膚、中皮腫、乳房、子宮、子宮頚部、子宮体部、卵巣、前立腺、腎・尿路(膀胱を除く)、膀胱、甲状腺
  • 臨床病期
  • 年齢
  • 性別
  • 手術(全症例、外科的、体腔鏡的(腹腔鏡、胸腔鏡)、内視鏡的(ポリープ切除など)、手術なし
  • 治療法(放射線治療、化学療法、免疫・BRM療法、内分泌療法)
  • 生存率(5年生存率、10年生存率)

報道関係からのお問い合わせ先

国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
郵便番号:104-0045
住所:東京都中央区築地5-1-1  
電話番号:03-3542-2511(代表)
ファクス:03-3542-2545
E-mail:ncc-admin@ncc.go.jp

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