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生存率集計結果閲覧システムの拡充(10年生存率追加)
特別集計 小児とAYA世代のがんの5年生存率集計とサバイバー生存率(初集計)

院内がん登録2009年10年生存率、2013-14年5年生存率集計公表
生存率集計結果閲覧システムの拡充(10年生存率追加)
特別集計 小児とAYA世代のがんの5年生存率集計とサバイバー生存率(初集計)

2021年12月 24日

国立研究開発法人国立がん研究センター

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)は、国が指定するがん診療連携拠点病院等(以下、がん診療連携拠点病院等という)を含む院内がん登録実施施設から収集した院内がん登録情報を用いて、2009年診断例の10年生存率、2013から2014年診断例(2 カ年)の5年生存率集計結果を公表しました。さらに従来の3年、5年生存率に加え10 年生存率についても簡易に結果を閲覧できるよう「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」を改修し、公開しました。

国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」統計ページ(外部サイトにリンクします)

院内がん登録生存率集計(報告書)(外部サイトにリンクします)

院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(外部サイトにリンクします)

本リリースのポイント

2009年院内がん登録10年生存率集計

前回より多い281施設約29万例のデータを用いて、長期予後の集計を実施しました(前回240施設、約24万例)。院内がん登録開始初期のデータであり、登録精度には依然課題がありますが、がんや病期によって5年目以降も長期的なフォローアップが必要となることが再確認されました。

10 年生存率を院内がん登録生存率集計結果閲覧システムで初公開

本システムは、全国のがん診療連携拠点病院等を含む院内がん登録実施施設の予後情報付院内がん情報を用いて集計した生存率を閲覧することができるシステムです。従来は、3年・5年生存率のみ閲覧が可能でしたが、10年生存率の結果も検索可能となりました。がんの種類・性別・病期・年齢・手術の有無といった条件別に、生存率を検索し比較することができます。

2013-2014年院内がん登録5年生存率集計

2013-2014年5年生存率は、437施設約88万例を用いて集計を実施しました(前回413施設約 83万例)。調査にご協力いただいた施設が増加し、より安定した推定値の算出に繋がったと考えられます。

特別集計 小児とAYA世代のがんの5年生存率集計

国際分類に基づき小児とAYA世代のがんの5年生存率を集計しました。0から15歳未満の小児の白血病が実測生存率87.9%、相対生存率88.0%、脳腫瘍が実測生存率74.5%、相対生存率74.6%でした。注1)AYAとは、Adolescent and Young Adult (思春期・若年成人)のこと

特別集計 サバイバー生存率

診断から年数が経過して生存している方(サバイバー)の、その後の生存率を示すものです。例えば、非小細胞肺がんの診断から診断1年後までの生存率は73.7%ですが、診断1年後から診断2年後までの生存率は83.4%と、長期生存するほどその先の生存率は上昇していくことがわかりました。

2009 年院内がん登録 10 年生存率集計

概要

がん診療連携拠点病院等をはじめとする施設の院内がん情報を用いて、3回目となる10年生存率報告書をまとめました。前回と同様に、全がんに加え、各部位に発生した主に上皮性のがんを対象に集計を行いました。2009年10年生存率では、喉頭がん、胆嚢がん、腎がん、腎盂尿管がん、甲状腺乳頭・濾胞がん、甲状腺未分化がん、甲状腺髄様がん(注2)、卵巣がんを新たに集計しました。今回初めて、院内がん登録生存率集計結果閲覧システムにおいて10年生存率を検索し閲覧できるようにシステムの拡充を行いました。

(注2)集計対象が30例未満のため生存率は非公表

集計対象

生存状況把握割合が90%以上の281施設293,860例

2021年4月時点のがん診療連携拠点病院等451施設、小児がん拠点病院6施設、都道府県推薦病院274施設、及び当時の全国集計時のがん診療拠点病院20施設の合計751施設で初回治療を開始したがんの診断例を調査対象としました。そのうち、全がんにおける生存状況把握割合が90%以上であった281施設293,860例を集計対象としました。既存の公開されている10年生存率集計としては、最も大規模かつ最新の調査です。

集計結果

  • 2009年の全がんの10年実測生存率は46.2%、10年相対生存率は60.2%でした。前回より 41施設約5万6千件増加し、より安定した生存率の推定値となりました。(前回2008年10 年240施設237,892件実測生存率45.7%、相対生存率59.4%)
  • 初めて院内がん登録生存率集計結果閲覧システムで10年生存率を検索して閲覧できるようになりました。年齢や手術の有無などの条件別に、より詳細な10年生存率を知ることができます。
  • 院内がん登録開始初期のデータであるため、登録精度には課題がありますが、今後、さらにデータが蓄積されることでより詳細な集計ができるようになると期待されます。

公表基準

都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会 がん登録部会において決定されています。全がんの生存状況把握割合が90%以上の施設で、集計対象が原則30例以上。

解説

実測生存率とは

実際に診療した患者さんの生存割合で、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率です。施設で初回治療を受けた患者さんを対象としており、疾患の経過についての一つの見通しとなります。

相対生存率とは

がん以外の死因による死亡の影響を取り除くために、患者集団の実測生存率を、患者集団と同じ性・年齢構成の一般集団における期待生存率で割ることによって算出する生存率です。がん対策の評価において、主に全国がん登録を用いて、がんによる影響を見たいときに用いられます。

院内がん登録生存率集計結果閲覧システムの拡充(10 年生存率)

本システムは、院内がん登録情報を用いて集計した生存率を閲覧することができるシステムです。胃がん、大腸がん(結腸がん・直腸がん)、肝がん(肝細胞がん・肝内胆管がん)、肺がん(小細胞肺がん・非小細胞肺がん)、乳がん、食道がん、膵臓がん、前立腺がん、子宮頸がん、子宮体がん、膀胱がん、甲状腺乳頭・濾胞がん、甲状腺未分化がん、甲状腺髄様がん、胆嚢がん、喉頭がん、腎がん、腎盂尿管がん、卵巣がん(25 種、カッコ内含)について、がんの種類、性別、病期、年齢、手術の有無といった条件別に、生存率を検索することができます。今回初めて10年生存率の検索と閲覧が可能になりました。残念ながら治療が難しいがんもあります。しかし、日々医療技術は進歩していますので、あくまでも過去にがんと診断された方々の経験からの参考値としてご覧ください。

国立がん研究センターがん情報サービス 「がん登録・統計」 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(外部サイトにリンクします)

図 1. 10 年相対生存率検索結果

グラフ

 例えば、大腸がんはいずれの病期も5年以降は相対生存率がほぼ横ばい傾向になりますが、乳がんのIII期とIV期においては、5年以降も相対生存率が下がり続けているのがわかります。したがって、乳がんのIII期とIV期では5年以降もフォローアップが重要であると考えられます。

2013から14年院内がん登録5年生存率集計

概要

5年生存率は、2007年診断例より集計をしています。本報告書では、前回と同様に、全がんと合わせて、各部位に発生した主に上皮性のがん別に集計を行いました。さらに、特別集計として、院内がん登録としては初めてとなる小児とAYA世代のがんの5年生存率とサバイバー生存率を算出しました。

集計対象

生存状況把握割合が90%以上の437施設875,381例

調査対象は、2009年10年生存率と同様です。2014年診断例の予後付データが提供された524 施設の中で、全がんにおける生存状況把握割合が90%以上であった415施設(がん診療連携拠点病院等345施設、都道府県推薦病院70施設)を集計対象としました。さらに、2013年診断例で同様に生存状況把握割合が90%以上であった22施設を合わせて、合計437施設875,381例(2013年診断例と2014年診断例の合計)を集計対象としました。

集計結果

全がんの5年実測生存率59.7%、5年相対生存率は67.5%(前回実測生存率59.5%、相対生存率67.3%)。

小児とAYA世代のがんの5年生存率

小児がんは、血液、骨、筋肉、神経といった、血液組織や軟部組織などにできるがんが多いのが特徴です。小児AYA世代がんの分類に用いられる国際がん分類(小児がん11種、AYA世代のがん23種)に基づき小児AYA世代のがんの5年生存率を集計しました。0~15歳未満の小児の白血病の実測生存率87.9%、相対生存率88.0%、脳腫瘍の実測生存率74.5%、相対生存率74.6%でした(図2)。

図2

サバイバー生存率

残念ながら症状が重いなどがんと診断されてから早い段階で亡くなる方が含まれる相対生存率に対し、サバイバー生存率は、診断から年数が経過して生存している方(サバイバー)の、その後の生存率を示すものです。例えば3年サバイバーの次の1年生存率は、診断後3年生存した方の、その後の1年(診断後4年)までを生存する確率を示します。

一般的に、サバイバー生存率は、相対生存率とは逆に、診断されてからの年数が経過するにつれ上昇していく傾向があります(図 3)。例えば、非小細胞肺がんの診断からの1年生存率は 73.7%ですが、1 年サバイバー(診断後1年生存した方)の次の1年生存率は83.4%、2年サバイバーの次の1年生存率は89.1%と、長期生存するほどサバイバー生存率は高くなっていました。このように、サバイバー生存率を知ることは、患者さんにとって生きる「希望」につながるのではないかと期待されます。

図3

既存生存率集計との比較

既存集計は、いずれも施設や地域が限定的であること、また対象数が少ないなどの課題があります。

地域がん登録(注:現在の全国がん登録の前身)

地域の実態把握のため都道府県が実施するもので、最新の全がんの5年相対生存率は64.1%で、登録精度の高い22府県の3年分(2009年から2011年)約59万例のデータを元に算出されています。

2016年以降の診断例は、全国がん登録として全数登録されているため、今後はより正確な生存率が算出できることが期待されています(2016年診断例の5年生存率の算出は2023年以降の予定)。

全国がんセンター協議会(全がん協)

全国がんセンター協議会(全がん協)の5年、10年生存率は、本集計と同様に院内がん登録をベースとしたものです。最新の全がんの10年相対生存率は58.9%で、同協議会に加盟するがん専門診療施設32施設の2005年から2008年診断例約12万例のデータを基に算出されています。同様に、最新の全がん5年相対生存率は68.9%で、32施設の2011年から2013年診断例約15万例のデータを元に算出されています。良性腫瘍・上皮内癌および病期0期を除き、年齢では15歳未満と95歳以上を除外した上で、自施設で初回治療を開始した例のみを集計対象としています。

お問い合わせ先

院内がん登録生存率集計報告について

国立研究開発法人 国立がん研究センター

がん対策研究所 がん登録センター院内がん登録分析室

〒104-0045 東京都中央区築地 5-1-1

TEL: 03-3542-2511(代表) 内線 1600 E-mail: hbcr_analysis●ml.res.ncc.go.jp(@を●に差し替えてください)

取材申し込み等

国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室

〒104-0045 東京都中央区築地 5-1-1

TEL:03-3542-2511(代表) E-mail:ncc-admin●ncc.go(@を●に差し替えてください)