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院内がん登録2021年全国集計 公表2021年の院内がん登録実施施設におけるがん診療の状況

2023年2月14日
国立研究開発法人国立がん研究センター

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)は、がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、都道府県推薦病院、任意参加病院(以下、院内がん登録実施施設)、870施設より、2021年1月1日から12月31日の1年間にがんと診断または治療された患者さんの院内がん登録データを収集し集計、報告書にまとめ、ウェブサイトで公表しました。

国立がん研究センター「がん情報サービス  がん統計」報告書ページ(外部サイトにリンクします)

結果のポイント

  • がん診療連携拠点病院等の院内がん登録実施施設、計870施設の通常集計と併せて、2018年から2021年に院内がん登録データの提出があった院内がん登録実施施設のうち、過去4年間を通してデータ提出のあった計786施設を対象に、2021年におけるがん診療の状況について特別集計を行い分析しました。
  • 2021年診断例の院内がん登録数を、2018-2019年診断例の2カ年平均登録数と比較したところ、2020年診断例は96.1%と登録数の減少がみられましたが、2021年診断例は101.1%と2カ年平均登録数と同程度でした。
  • 2020年1月から2021年12月までの診断月別登録数をみると、2020年4月から5月と7月から8月、2021年5月と7月に登録数が減少していました。初回の緊急事態宣言は登録数減少との関係が予測されますが、その後は緊急事態宣言の発出中や新型コロナウイルスの新規患者数増加時に登録数が減少していないため、新規がん登録数の減少は単一の原因ではなく、その時期の様々な原因が複合して影響していたと考えられます。
  • 検診発見例について2018-19年診断例の2カ年平均登録数と比較すると、2020年は86.7%、2021年は98.7%で、2018-19年診断例の2カ年平均登録数まで回復していないことから、検診受診率や精密検査受診率とあわせた評価が必要です。
  • 2020年は前年と比較し院内がん登録数が減少しましたが、2021年にその減少分が増加したと考えることは難しく、2022年以降も継続的に分析を行う必要があります。

院内がん登録2021年全国集計

概要

今回はがん診療連携拠点病院等の院内がん登録実施施設、計870施設の通常集計と併せて、2018年から2021年に院内がん登録データの提出があった院内がん登録実施施設のうち、過去4年間を通してデータ提出のあった計786施設を対象に、2021年におけるがん診療の状況について特別集計を行い分析しました。

院内がん登録2021年全国集計速報値では、新型コロナウイルス感染症流行下におけるがん診療の実態について国が推奨するがん検診の対象部位である、胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部を中心に分析した結果を報告しましたが、新規がん患者登録数推移など各集計の傾向は施設種別によらず同様であったため、各がん種における分析は「院内がん登録2021年全国集計速報値」をご確認ください。

参考資料

集計方法

収集対象

2022年6月時点のがん診療連携拠点病院(以下、拠点病院)453施設、小児がん拠点病院(以下、小児拠点)6施設、都道府県推薦病院(以下、推薦病院)371施設、任意参加を希望した病院(任意病院)74施設において、2021年1月1日から12月31日までの1年間にがんと診断または治療された症例

集計対象

<全国集計対象>
拠点病院453施設、小児拠点6施設、推薦病院340施設、任意病院71施設
計870施設 1,099,864症例

2022年9月2日までに院内がん登録データを提出した、拠点病院453施設、小児拠点6施設と、同年9月30日までに院内がん登録データを提出した、推薦病院340施設、任意病院71施設の計870施設1,099,864症例が集計対象

<特別集計対象>
拠点病院449施設、小児拠点6施設、推薦病院・任意病院331施設
計786施設 4,148,502症例

全国集計対象施設のうち、2018年から2021年の4年間を通して院内がん登録データの提出があった拠点病院449施設、小児拠点6施設、推薦病院・任意病院331施設の計786施設4,148,502症例が集計対象
なお、「院内がん登録2021年全国集計速報値」では、拠点病院449施設、小児拠点6施設 計455施設 806,589症例を集計対象とした。

集計と分析項目

  • 全国集計結果概要
  • 全国集計結果詳細(診断情報)
    上皮内癌等を含む/含まない、診断時住所、年齢、症例区分、来院経路、発見経緯、部位
  • 全国集計結果詳細(腫瘍情報)
    胃がん、大腸がん(結腸がん、直腸がん)、肝がん(肝細胞がん、肝内胆管がん)、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん)、乳がん、食道がん(扁平上皮癌、腺癌)、膵臓がん(膵高分化型神経内分泌腫瘍)、前立腺がん、子宮頸がん、子宮体がん(子宮肉腫)、膀胱がん、甲状腺がん(乳頭・濾胞癌、未分化癌、髄様癌)、胆嚢がん、喉頭がん、腎がん、腎盂・尿路がん、卵巣がん 計17部位
    病名の告知、症状緩和的治療
  • 全国集計:特別集計
  1. 症例区分別登録数の推移
  2. 診断月別登録数の推移
  3. 発見経緯別登録数の推移
  4. 治療月別治療方法登録数の推移

集計結果

  • 2009年から2021年までの院内がん登録数の推移を5部位(胃、大腸、肝臓、肺、前立腺または乳房)男女別にみると、2021年症例は男女ともに肝臓がんはほぼ横ばいであるのに対し、男性では前立腺がん、女性では乳がんが増加傾向だった。(報告書P16)
  • 部位ごとに、男女比、年齢分布、UICC TNM分類ステージ別登録数の割合、UICC TNM分類ステージ別治療方法の割合とその経年傾向等を集計、分析した結果、ほとんどの部位で2020年よりも登録数は増えているが、2019年と比較して極端な増加はみられなかった。(報告書P27からP112)
  • 2021年症例の院内がん登録数を、2018-2019年2カ年平均登録数と比較したところ、2020年症例は96.1%と登録数の減少がみられましたが、2021年症例は101.1%と2カ年平均登録数と同程度であった(図1)。(報告書P113)

<図1>2020年、2021年の登録数と2018-2019年2ヵ年平均登録数との比

図1

  • 診断月別の登録数を見ると、2020年4月から5月、2020年7月から8月、2021年5月と7月に登録数が減少していた。初回の緊急事態宣言は登録数の減少と関係が予測されるが、その後は必ずしも緊急事態宣言の発出中に登録数が減少してはいない。また、新型コロナウイルスの新規患者数増加と新規がん登録数減少は同時期に生じているようにもみえるが、2021年8月以降にそのような減少は認められなかった。新規がん登録数の減少は単一の原因ではなく、その時期によって様々な原因が複合し影響していたと考えられる(図2)。(報告書P115からP116)

<図2>2020-2021年の診断月別登録数の推移(2018-2019年2ヵ年平均登録数と比較)

図2

  • 全がんの自施設初回治療開始例を対象として、発見経緯別に検診発見例と非検診発見例月別登録数の推移を2018年から2021年診断例について集計した。2018-2019年2カ年平均登録数と比較して、検診発見例では2020年は117,714件で86.7%(18,003件減)、2021年は133,404件で98.7%(1,713件減)であった。一方、非検診発見例では2020 年は675,040件で97.8%(15,248件減)、2021年は704,277件で102.0%(13,989件増)であった。(報告書P117)
  • 治療月別治療方法登録数の推移を2019年の年間登録数と比較すると、2021年診断例通年では、外科的・鏡視下治療は411,225件で97.9%(8,729件減)、内視鏡的治療は122,355件で97.4%(3,209 件減)、放射線治療は96,639件で101.7%(1,621件増)、化学療法は255,492件で101.1% (2,800 件増)、内分泌療法は85,341件で102.3% (1,892件増)であった。(報告書P118からP120)

 

注1)発見経緯とは、何がきっかけで「がん」がみつかったかを登録する項目。今回は、がん検診・健康診断・人間ドックを検診発見例、自覚症状などを非検診発見例として集計

注2)治療方法とは、外科的治療+鏡視下治療(胸腔鏡治療または腹腔鏡治療)、内視鏡的治療、放射線治療、化学療法、内分泌療法を指す

報道関係からのお問い合わせ先

院内がん登録全国集計について

国立がん研究センターがん対策研究所
がん登録センター 院内がん登録分析室
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線1600) 
メールアドレスl:hbcr_analysis●ml.res.ncc.go.jp(●を@に置き換えください)

その他全般について

国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
担当:がん対策研究所 がん登録センター 院内がん登録室 高橋ユカ
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線 3548 担当:高橋)
電話番号:03-3542-2511(代表) 
メールアドレス:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に置き換えください)

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