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小児がん、AYA世代のがんの10年生存率をがん種別に初集計

院内がん登録2011年10年生存率集計 公表
小児がん、AYA世代のがんの10年生存率をがん種別に初集計

2024年1月25日
国立研究開発法人国立がん研究センター

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)は、国が指定するがん診療連携拠点病院等(以下、がん診療連携拠点病院等)を含む院内がん登録実施施設から収集した院内がん登録情報を用いて、2011年診断例の10年生存率集計結果を報告書にまとめ公表しました。

国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」報告書ページ

結果のポイント

  • がんによってはその特性上、性別、年齢、ステージ、手術の有無により、生存率に違いがあり、その解釈には留意が必要です。

院内がん登録2011年10年生存率集計

  • 341施設363,521例(前回316施設341,335例)の院内がん登録データを用いて10年生存率を集計した結果、全がんのネット・サバイバルは53.5%(前回53.3%)でした。
  • 10年という期間の経過をみるため、がんによっては年齢階級別の実測生存率とネット・サバイバルに大きな差がみられました。これは年齢が高くなるほど、がん以外の原因で亡くなる確率が高くなることが影響していると考えられました。

小児がん、AYA世代のがんの10年生存率集計

  • 国際分類による小児がん、AYA世代のがんの10年生存率を初めて集計しました。
  • 小児がんにおける白血病は5年実測生存率88.4%、10年実測生存率86.2%で、脳腫瘍は5年実測生存率73.5%、10年実測生存率71.5%と、5年から10年での生存率の低下はあまりみられませんでした。
  • AYA世代のがんにおける脳・脊髄腫瘍は5年実測生存率83.5%、10年実測生存率77.8%で、子宮頸部・子宮癌は5年実測生存率88.6%、10年実測生存率87.2%と、がん種によって5年から10年での生存率の低下は様々でした。
  • 小児がん、AYA世代のがんに関する予後情報は限られており、今後の小児がん、AYA世代のがん対策を考える上で基礎的な資料の1つになることを期待します。

生存率の種類

生存率には、その算出の仕方によって大きく「実測生存率」、「疾病特異的生存率」、「相対生存率」、「ネット・サバイバル(Net Survival,純生存率)」にわけられます。本報告では、実測生存率とネット・サバイバルを用いて算出しています。

実測生存率

死因に関係なく、全ての死亡を計算に含めた生存率で、診断例に対する何年後の生存患者の割合で示されます。計算方法は複数存在するが、Kaplan-Meier法による実測生存率であることが多く、本報告においてもKaplan-Meier法を用いて実測生存率を算出しています。

疾病特異的生存率

がん以外の死因による死亡を「打ち切り」として計算するため、正確に推定するためには、死因ががんであったかを把握する必要があります。がん以外の死因も含めるか否かで集計結果が変わるため、死因の把握が困難な日本において、この計算方法を用いることは現状難しいと言えます。

相対生存率

実測生存率を対象と同じ性・年齢、診断年(歴年)の一般の日本人集団で「がんではなかった場合の生存率」という考えによる期待生存率を算出し、それで実測生存率を割って算出する方法です。疾患特異的生存率のように個々の死因を把握する必要がないため、これまで院内がん登録生存率集計でも用いてきました。一方で、生存率の高いがん種では理論上100%以上となるなど課題も多いことが知られています。

ネット・サバイバル(Net Survival,純生存率)

期待生存率を算出することなく純粋に「がんのみが死因となる状況」を仮定して計算する純生存率(Net Survival, ネット・サバイバル)を計算する方法がPohar-Perme 法です。この方法は国際的にも広く採用されている方法であり、本報告においてもネット・サバイバルを採用しました。

院内がん登録2011年10年生存率集計

本集計の概要

がん診療連携拠点病院等をはじめとする院内がん登録実施施設の院内がん登録データを用いて、5回目となる10年生存率を算出し報告書にまとめました。

収集対象

2023 年4 月1 日時点のがん診療連携拠点病院等456施設、成人の拠点病院に指定されていない小児がん拠点病院6施設、及び2011年診断例の院内がん登録全国集計時にがん診療連携拠点病院であった28施設と都道府県推薦病院121 施設を加えた合計611施設に対して、10年予後情報付きの登録情報(以下、10年予後情報付腫瘍データ)の提供を依頼しました。

集計方法

集計対象 341施設363,521例

調査依頼した611施設のうち、449施設から10年予後情報付腫瘍データ578,906例が提供され、以下の条件を満たすデータ341施設363,521例を集計対象とした。

  • 「自施設診断・自施設初回治療」、「他施設診断・自施設初回治療」の自施設初回治療例
  • 悪性新生物<腫瘍>(新生物<腫瘍>の性状コード3)
  • 0歳から99歳
  • 全がんの生存状況把握割合90%以上

生存率の公表基準

院内がん登録生存率の公表は、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会において、以下のように決定しています。

  • 全がんの生存状況把握割合が90%以上の施設
  • 集計対象が原則30例以上
  • 集計対象が30例未満の場合、生存率は非公開

集計結果

  • 2011年の全がんの実測生存率は46.0%、ネット・サバイバルは53.5%でした。(報告書P27)
  • 10年という期間の経過をみるため、がんによっては年齢階級別の実測生存率とネット・サバイバルに大きな差がみられました。これは年齢が高くなるほど、がん以外の原因で亡くなる確率が高くなることが影響していると考えられました。
  • これまで治癒の目安として、5年生存率が用いられることが多かったのですが、乳がん(女性)III期や子宮頸・子宮体がんIII期、甲状腺がん(乳頭濾胞癌)IV期など、がんや病期によっては5年以降も長期的フォローアップが必要なことがわかりました。
  • 院内がん登録開始初期(2007年より開始)のデータであるため、登録精度に課題はあるが、今後データが蓄積されることで、より詳細な集計ができるようになると期待されます。

特別集計 小児AYAがんの生存率集計

本集計の概要

院内がん登録2018-2019年小児AYA集計報告書で用いた分類である、国際小児がん分類(ICCC第3版/WHO2008改訂版)とAYAがん分類(AYA Site Recode/WHO2008改訂版)の主分類別にそれぞれ10年生存率を算出し、特別集計として報告書にまとめました。

集計結果

  • 小児がんにおける白血病は5年実測生存率88.4%、10年実測生存率86.2%で、脳腫瘍は5年実測生存率73.5%、10年実測生存率71.5%と、5年から10年にかけての生存率の低下はあまりみられませんでした。
  • AYA世代のがんにおける脳・脊髄腫瘍は5年実測生存率83.5%、10年実測生存率77.8%で、子宮頸部・子宮癌は5年実測生存率88.6%、10年実測生存率87.2%と、がん種によって5年から10年にかけての生存率の低下の程度は様々でした。
  • 多くの小児がんでは5年から10年にかけての生存率低下の程度は少なく、多くの小児がんは治療後の予後は良好であり、がんサバイバーとして長期合併症などに対する調査や支援が必要であると考えられます。
  • AYA世代のがんではがん種によって5年から10年にかけての生存率低下の程度は様々ですが、白血病などよりも多くの癌腫では生存率が低下しており、がん種ごとにあわせたフォローアップなどの対応が必要である可能性が示唆されました。
  • 小児がん、AYA世代のがんに関する予後情報は限られており、今後の小児がん、AYA世代のがん対策を考える上での基礎的な資料の1つとなることを期待しています。

報道関係からのお問い合わせ先

院内がん登録生存率集計について

国立研究開発法人 国立がん研究センター
がん対策研究所 がん登録センター 院内がん登録分析室
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線1600) E-mail:hbcr_analysis●ml.res.ncc.go.jp(●を@に置き換えてください)

その他全般について

国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
担当:がん対策研究所 がん登録センター 院内がん登録室
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
ダイヤルイン:03-3547-5201(内線 3548)
TEL:03-3542-2511(代表) E-mail:ncc-admin●ncc.go.jp(●を@に置き換えてください)

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