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男性乳がん(だんせいにゅうがん)

更新日 : 2021年4月8日

公開日:2021年1月19日

男性乳がんとは

乳がんは一般的に女性に多い疾患ですが、男性の乳房に発生すること(男性乳がん)もあり、乳がん全体の約1%を占めるといわれています。米国のデータでは、女性が生涯を通じて、8人に1人乳がんに罹患するのに対して、男性では生涯を通じて1000人に1人が乳がんに罹患するとされています。あらゆる年齢の男性に発生しますが、発症者が多いのは60~70代の年代です。自覚症状としては、乳輪の後部に痛みを伴わないしこり(腫瘤)の出現、乳頭からの出血、皮膚潰瘍、触知可能な腋のしこり(腋窩リンパ節腫脹)などがあります。女性の乳がん(女性乳がん)と比べ、診断された時点で既に進行している場合が多いのですが、同じ進行度であれば、女性と男性で治療成績に大きな違いはありません。

危険因子

乳がんになったことがある近親者(性別問わない)が1人以上いる男性では、そうではない男性と比較して、乳がんを発症する危険性は2倍になります。また、胸部や乳房に放射線療法を受けたことがあることや、何らかの理由で体内の女性ホルモンの量が多いこと(クラインフェルター症候群・肝硬変など)も危険因子となります。その他、遺伝性乳がんの最も頻度の多い原因遺伝子とされているBRCA1およびBRCA2という遺伝子異常については、海外のデータによると、男性乳がんの0~4%にBRCA1変異があり、4~16%にBRCA2変異があることがわかっています。

男性乳がんの危険因子

患者背景
  • 加齢
  • 黒人
  • 乳がんの家族歴
遺伝子異常
  • BRCA2
  • BRCA1
  • CHEK2
  • PALB2
環境要因
  • 放射線被ばく
ホルモン関連の要因
  • 血清エストラジオールの増加
  • クラインフェルター症候群
  • 女性化乳房
  • 肝疾患
  • 肥満
  • 精巣異常

検査と診断について

乳がんを疑うような症状を認めた場合は、必要に応じて乳房の画像検査を行います。 例えば、触知不可能な腫瘤を有する25歳未満の男性の場合、最初の検査として超音波検査がよく行われます。また、25歳以上の男性や身体診察で疑わしい所見がある場合は最初の診断検査としてマンモグラフィが推奨され、次に超音波検査でより詳しい検査を行います。それらの検査で異常を指摘された場合は、正確な病理診断を確定するために、針で刺してがん組織を採取する、生検検査を行います。こうして採取したがん組織を検査する病理診断では、乳がんの診断確定だけでなく、治療法を検討する上で重要な情報となるがんのホルモン受容体やHER2というタンパクの過剰発現についても調べます。その他、病気の広がりの程度を調べるために、CT検査やFDG-PET検査などの画像検査を行うこともあります。

治療

男性乳がんに対する治療の考え方は基本的に女性乳がんと同じです。乳がんの病期に準じて、治療法を選択します。
完全切除が可能な病期であれば、外科手術を行うことが優先され、さらに病状に応じて術前又は術後の薬物療法(抗がん剤やホルモン治療など)、放射線治療などを組み合わせて治療を行います。
一方で、完全切除の手術が難しい病気の広がりの場合には、病気と付き合っていく治療として、病状に応じて薬物療法(抗がん剤やホルモン治療など)や緩和ケアを行っていくことを検討します。
ホルモン治療については、男性と女性では体内でのホルモン産生の仕組みが異なるため、男性乳がんの場合は、女性乳がんとは治療選択肢が異なる場合があります。

執筆協力者

米盛 勧(よねもり かん)
  • 希少がんセンター 成人の薬物療法担当 米盛 勧(よねもり かん)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科 先端医療科
下井 辰徳(しもい たつのり)
  • 希少がんセンター 成人の薬物療法担当 下井 辰徳(しもい たつのり)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科
須藤 一起(すどう かずき)
  • 希少がんセンター 成人の薬物療法担当 須藤 一起(すどう かずき)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科 先端医療科
小島 勇貴(こじま ゆうき)
  • 小島 勇貴(こじま ゆうき)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科 
新垣 誉子(あらがき もとこ)
  • 新垣 誉子(あらがき もとこ)
  • 国立がん研究センター中央病院 レジデント



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