国立がん研究センター研究者2名が「Highly Cited Researchers 2025」(高被引用論文著者)に選出されました
更新日 : 2025年12月2日
クラリベイト(Clarivate)より、世界最高峰の研究者を選出した「Highly Cited Researchers 2025」 (高被引用論文著者)が発表され、当センターより研究所 腫瘍免疫研究分野長/先端医療開発センター 免疫トランスレーショナルリサーチ分野長の西川博嘉、東病院 消化管内科 科長・先端医療科/先端医療開発センター新薬臨床開発分野の設楽紘平の2名が選出されました。
西川博嘉分野長は2020年から6年連続、設楽紘平科長は2022年から4年連続となります。

「Highly Cited Researchers」は、クラリベイトが10年以上にわたり絶え間なく高い評価を得ている影響力のある研究者を引用分析により特定しているもので、特定出版年・特定分野における世界の全論文のうち引用された回数が上位1%に入る論文著者であり、後続の研究に大きな影響を与えている科学者や社会科学者が選出されます。「Highly Cited Researchers 2025」では世界から約6,800名の研究者が選出されています。
参考:https://clarivate.com/highly-cited-researchers/(外部サイトにリンクします)
西川 博嘉

西川 博嘉(にしかわ ひろよし)
受賞カテゴリー:Immunology
所属:研究所 腫瘍免疫研究分野長/先端医療開発センター 免疫トランスレーショナルリサーチ分野長
西川分野長は、がん免疫において抗腫瘍免疫応答が抑制される機構の解明を進めてきました。特にCD4陽性制御性T細胞をはじめとした免疫抑制ネットワークの構築にがん細胞自身が持つ遺伝子変異が重要な役割を果たしていることを発見して「免疫ゲノムがん進展説」を提唱し、免疫ゲノムプレシジョン医療の実現に取り組んでいます。また、抗腫瘍免疫応答に重要なCD8陽性キラーT細胞が制御性T細胞による免疫抑制により免疫寛容に陥る機構がT細胞の認識する抗原の性質の違い(自己vs 非自己)により異なることを明らかにしました。さらに近年、腸管に存在する細菌(腸内細菌)がどのように遠方の臓器のがんの免疫応答に影響を与えるかの機序も解明しました。これらの知見は、がん免疫のみならず、自己免疫、アレルギー、感染症、移植などの様々な免疫応答の理解にも極めて重要と考えられます。
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設楽 絋平

設楽 紘平(したら こうへい)
受賞カテゴリー:Clinical Medicine
所属:東病院 消化管内科 科長・先端医療科/先端医療開発センター 新薬臨床開発分野
設楽科長は、消化管がんに対する新規治療開発のための臨床研究を精力的に行ってきました。特に胃がんに対する新薬の臨床試験の結果を筆頭著者・責任著者としてThe New England Journal of Medicine (NEJM), The Lancet, Nature, Nature Medicine, Lancet Oncology誌等に報告し、4つの新薬 (trastuzumab deruxtecan, nivolumab, FTD/TPI, zolbetuximab) の承認に結び付きました。2025年にもHER2陽性胃癌に対するtrastuzumab deruxtecanの生存延長効果を示したglobal phase 3試験(DESTINY-Gastric 04)の結果をNEJM誌に報告し、また医師主導治験を基に実施したglobal phase 3試験であるLEAP-15試験の結果をJournal of Clinical Oncology誌に報告しました。これらを含む新規治療の治験10試験以上を国際調整医師 (global PI, study chair)として主導しています。また、新規薬剤の早期試験や新規併用療法などを検討するための数多くの医師主導治験を主導し、さらには施設内外の研究所と共同して、多くのトランスレーショナルリサーチにも携わっています。
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