消化器内視鏡/消化管内科
1.消化器内視鏡/消化管内科について
2.診療について
3.研究について
食道、頭頸部(主に咽頭・喉頭)、胃、大腸がんは、がんの進行の程度によって臨床病期で分類されます。臓器によって多少異なりますが、4段階に分かれており、ほとんどの患者さんの治療方針は臨床病期によって決まります。ごく早期のがんであれば内視鏡治療を行い、進行がんであっても他臓器に転移がなければ手術や化学放射線療法を行い、もし肝臓や肺、骨、腹膜といった他臓器に転移のみられるがんであれば、化学療法を行います。がんが発生してくるとき少しでも早い段階でみつけられないか、がんの発生はなぜおこるのか、少しでも体への負担の少ない治療はないか。といった目的をもって各医師が診療に望んでおります。できるだけ協力しあうことにより、無駄のない、患者さんに負担のかからない検査の組み立てや、治療の実施を目指しています。
当院の消化器内視鏡/消化管内科グループが専門とする分野
頭頸部がんの早期診断、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、化学療法、化学放射線療法
食道がんの早期診断、EMR、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、特殊な薬剤を使ったレーザー治療(photodynamic therapy; PDT)、食道拡張術、化学療法、化学放射線療法
・胃がんの早期診断、EMR、ESD、胃瘻造設術、化学療法
・大腸腺腫、大腸がんに対する拡大内視鏡を使用した診断およびEMR、ESD、化学療法
・十二指腸、小腸、肛門管がんに対する内視鏡診断および治療、化学療法
我々のグループでは、頭頸部、食道、胃、大腸といった消化管にがんをもつ患者さんの立場を重視した医療および患者さん中心の総合的なチーム診療をもとに、科学的根拠に基づく診療を目標としています。つまり、十分な説明(インフォームド・コンセント)によって、患者さんご自身がご自分の病気を良く理解されたうえで治療を開始することを念頭にしています。
さらに治療のみではなく、診断の面においても診断精度をあげるために、スタッフ一同日々努力をしております。内視鏡デジタルファイリングシステムも完備し、院内のコンピューターシステムに接続されたことにより内視鏡画像が院内のどこででもみることができます。個々の患者さんの治療方針を決めるために、内科、外科、放射線科の多数の医師が毎週定期的に集まり、症例検討会が開かれます。この際に、内視鏡デジタルファイリングシステムは有効に利用され、診療の効率をあげています。最近では、内視鏡のシステム自体に大きな発展があり、短波長や蛍光といった目に見えない光を内視鏡の先端から発することによって、今まで見えなかったがんの別の側面をとらえることができるようになりました。がんの内視鏡診断において大きな一歩を踏み出したといえます。当院で、Narrow band imaging (NBI) システムが開発され、現在では、世界に広がっています。もちろん当院でも毎日の診療に使用しており、主に早期がんの発見や治療前に正確ながんの範囲を決めるときに活用されています。
診療における国立がん研究センター東病院の特徴は、個々の患者さんの治療方針を決める過程にあります。外来でも入院でも担当医師個人が患者さんの治療方針を決めるのではなく、消化器内視鏡/消化管内科グループ、外科グループ、放射線治療グループに所属する多数の医師が集まって話し合い、総合的な判断によって個々の患者さんに合った治療を決めて行く方針をとっています(下図参照)。この方法によって、個人の偏った診断や部署毎の方針の違いがなくなり、現在最も良いと考える治療が患者さんに提供できるのです。この点は、当院が最も誇りとするところです。また、診療においては医師だけではなく、看護師、薬剤師を含むチーム医療を行っており、個々の患者さんにとって最適の治療を提供するために治療方針を総合的に検討し、入院の目的を明確にした治療計画を提示することに心掛けています。
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(2)特殊な薬剤を使ったレーザー治療(photodynamic therapy; PDT)
(3)食道拡張術
(4)胃瘻造設術
(4)大腸腺腫・早期大腸がんに対する内視鏡治療
診療について
化学療法の臨床研究について
- 食道がん -
食道がんに対しては非外科的治療でありながら根治が期待できる化学放射線療法を積極的に行っています。切除可能な食道がんに対する標準的な治療は外科手術ですが、外科手術を負担に感じる患者さんも少なくありません。化学放射線療法は抗がん剤と放射線治療を併用して治療します。体への負担が外科手術に比べて軽く食道の温存が期待できる治療方法です。
外科手術を希望される患者さんでもステージによっては術前に化学療法を行った方が生存率の向上が得られることが明らかになっており、当科では食道がんに対する術前化学療法も行っています。
当院では標準的な治療のみだけではなく、より進んだ治療の開発を目指して日本臨床腫瘍グループ(JCOG)に参加し、臨床試験を行っております。
- 胃がん -
切除不能進行・再発胃がん患者さんに対しては標準的な化学療法を積極的に行っています。現在よく使用されている薬剤は、5-FU系抗がん剤、シスプラチン、イリノテカン、タキサン系抗がん剤で、これらを単剤もしくは2剤併用で行っています。また、新規抗がん剤は多数出現しています。新薬の多くは分子標的薬ですが、日本で使用できる薬剤は限られており、最新の分子標的薬を用いた治験(臨床試験)を行っています。
ステージ2期と3期の胃がんの外科切除後の患者さんに対しては、再発の抑制を目的とした術後補助化学療法を行っています。
- 大腸がん -
1)切除不能・再発症例の場合
2)術後補助化学療法の場合
3)化学療法を受けるかどうかの自己決定
・アルコール代謝酵素と頭頚部・食道の多重がん発生の関連性に関する研究:若いころ飲酒したとき顔が赤くなる方は、日本人の約40%を占めます。この方達が毎日多量の飲酒をされると頭頸部や食道がんになる確率が高くなることがわかってきました。アルコール代謝酵素とその代謝産物(アセトアルデヒド)は頭頸部・食道の多重がん発生に関して強い関連があることが遺伝子解析の結果確かめられ、新しい概念を確立しつつあります。
・photodynamic therapy(PDT):食道がんに対して、内視鏡治療や放射線併用化学療法を行った患者さんで、局所再発がみられる方がいらっしゃいます。完全治癒を想定した追加の治療を選択する時の一つの方法として行われています。
・胃がんに対するESD:従来の内視鏡治療の適応を拡大するために、つまりより大きな早期がんに対して、外科手術をせずに胃の機能を温存する目的で、多施設共同の臨床試験を行っています。
・化学療法の治験については治験管理室、治験事務局の項を参照。
2.診療について
3.研究について
1.消化器内視鏡/消化管内科について
| 担当医師名 | 外来診察日 | 診療科 専門分野 |
| 大津 敦 (おおつ あつし) ![]() |
月・木 | 内科 化学療法 臨床開発センター長 |
| 土井 俊彦 (どい としひこ) ![]() |
月・木 | 内科 化学療法 医長 |
| 金子 和弘 (かねこ かずひろ) ![]() |
月 | 内科 内視鏡 医長 |
| 田原 信 (たはら まこと) ![]() |
月・水・木 | 内科 化学療法 医長 |
| 吉野 孝之 (よしの たかゆき) ![]() |
火・水・金 | 内科 化学療法 医員 |
| 大野 康寛 (おおの やすひろ) |
火 | 内科 内視鏡 医員 |
| 布施 望 (ふせ のぞむ) ![]() |
火・金 | 内科 化学療法 医員 |
| 小島 隆嗣 (こじま たかし) |
水 | 内科 内視鏡 医員 |
| 池松 弘朗 (いけまつ ひろあき) ![]() |
木 | 内科 内視鏡 医員 |
| 矢野 友規 (やの とものり) ![]() |
金 | 内科 内視鏡 医員 |
食道、頭頸部(主に咽頭・喉頭)、胃、大腸がんは、がんの進行の程度によって臨床病期で分類されます。臓器によって多少異なりますが、4段階に分かれており、ほとんどの患者さんの治療方針は臨床病期によって決まります。ごく早期のがんであれば内視鏡治療を行い、進行がんであっても他臓器に転移がなければ手術や化学放射線療法を行い、もし肝臓や肺、骨、腹膜といった他臓器に転移のみられるがんであれば、化学療法を行います。がんが発生してくるとき少しでも早い段階でみつけられないか、がんの発生はなぜおこるのか、少しでも体への負担の少ない治療はないか。といった目的をもって各医師が診療に望んでおります。できるだけ協力しあうことにより、無駄のない、患者さんに負担のかからない検査の組み立てや、治療の実施を目指しています。
当院の消化器内視鏡/消化管内科グループが専門とする分野
頭頸部がんの早期診断、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、化学療法、化学放射線療法
食道がんの早期診断、EMR、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、特殊な薬剤を使ったレーザー治療(photodynamic therapy; PDT)、食道拡張術、化学療法、化学放射線療法
・胃がんの早期診断、EMR、ESD、胃瘻造設術、化学療法
・大腸腺腫、大腸がんに対する拡大内視鏡を使用した診断およびEMR、ESD、化学療法
・十二指腸、小腸、肛門管がんに対する内視鏡診断および治療、化学療法
我々のグループでは、頭頸部、食道、胃、大腸といった消化管にがんをもつ患者さんの立場を重視した医療および患者さん中心の総合的なチーム診療をもとに、科学的根拠に基づく診療を目標としています。つまり、十分な説明(インフォームド・コンセント)によって、患者さんご自身がご自分の病気を良く理解されたうえで治療を開始することを念頭にしています。
2.診療について
消化器内視鏡スタッフ医師4名、消化管内科スタッフ医師5名を中心に、年間で約10,000件の内視鏡検査を行っています。内訳は6,000件の通常上部内視鏡検査、2,000件の通常下部内視鏡検査、さらに内視鏡治療を40件の咽頭・喉頭がん、150件の表在食道がん、200件の早期胃がん、600件の大腸腺腫・早期大腸がんに対して行っています。特に咽頭・喉頭、食道、胃、大腸の早期がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の件数は増加しています。ESDを受けられる患者さんの一部は、従来外科手術を受けられていましたが、適応が拡大されつつあるため内科的治療だけで完全にがんを切除できるようになったのです。また、内視鏡治療には食道拡張術、胃瘻造設術、特殊な薬剤を使ったレーザー治療(photodynamic therapy; PDT)も多数行われています。さらに治療のみではなく、診断の面においても診断精度をあげるために、スタッフ一同日々努力をしております。内視鏡デジタルファイリングシステムも完備し、院内のコンピューターシステムに接続されたことにより内視鏡画像が院内のどこででもみることができます。個々の患者さんの治療方針を決めるために、内科、外科、放射線科の多数の医師が毎週定期的に集まり、症例検討会が開かれます。この際に、内視鏡デジタルファイリングシステムは有効に利用され、診療の効率をあげています。最近では、内視鏡のシステム自体に大きな発展があり、短波長や蛍光といった目に見えない光を内視鏡の先端から発することによって、今まで見えなかったがんの別の側面をとらえることができるようになりました。がんの内視鏡診断において大きな一歩を踏み出したといえます。当院で、Narrow band imaging (NBI) システムが開発され、現在では、世界に広がっています。もちろん当院でも毎日の診療に使用しており、主に早期がんの発見や治療前に正確ながんの範囲を決めるときに活用されています。
診療における国立がん研究センター東病院の特徴は、個々の患者さんの治療方針を決める過程にあります。外来でも入院でも担当医師個人が患者さんの治療方針を決めるのではなく、消化器内視鏡/消化管内科グループ、外科グループ、放射線治療グループに所属する多数の医師が集まって話し合い、総合的な判断によって個々の患者さんに合った治療を決めて行く方針をとっています(下図参照)。この方法によって、個人の偏った診断や部署毎の方針の違いがなくなり、現在最も良いと考える治療が患者さんに提供できるのです。この点は、当院が最も誇りとするところです。また、診療においては医師だけではなく、看護師、薬剤師を含むチーム医療を行っており、個々の患者さんにとって最適の治療を提供するために治療方針を総合的に検討し、入院の目的を明確にした治療計画を提示することに心掛けています。
| 外来初診 |
| 各種検査 |
| 検討会による治療方針の決定 |
| 治療(内視鏡治療、外科治療、化学療法、放射線治療) |
| 治療結果および効果に関する解析 |
| 患者さんへのフィードバック |
1)内視鏡治療
(1)内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)わが国において、早期消化管がんに対する内視鏡切除は根治治療として広く普及してきています。この治療法は、体への負担が少なく、胃を切除しないため胃の機能は保たれ、優れた治療法です。ところが、従来の内視鏡切除法(EMR)では、技術的な理由によってがんを分割して切除するために、がん細胞を胃内に取り残してしまうことがあり、再発率が約20%といわれています。一方、技術の進歩と新たに開発された内視鏡機器により、ESDが行われるようになりました。この方法は大きな早期がんでも分割せずに一括で切除することができます。以前は、早期がんであっても外科手術を受けられていた患者さんに対しても適応されています。
(2)特殊な薬剤を使ったレーザー治療(photodynamic therapy; PDT)
PDTは、がんに選択的に集まる特殊な薬を注射した後に、がんの部分にレーザー光線をあてることによっておこる光化学反応を利用したレーザー治療です。消化器分野では胃がん、食道がんでの保険適応が認められている治療法で、内視鏡切除(EMRやESD)が難しいような早期がんに対して行われています。当科では、特に、食道がんに対して放射線併用化学療法で治療した後の局所再発に対するPDTを臨床試験として行っています。
(3)食道拡張術
食道がんの治療は、内視鏡治療、PDT、外科手術、化学放射線療法と多岐にわたっています。さまざまな治療によってがんが完全に治っても、一部の患者さんには食道に狭窄が残ってしまいます。すると、食事がスムーズに通らなくなったり、つかえ感が出現します。このような患者さんに対して、内視鏡下にバルーンと呼ばれている風船のような器具を使って、拡張を行います。定期的に繰り返すことにより、比較的スムーズに食事がとれるようになります。当院では、食道がん患者さんがとても多いため、拡張術は年間1,000件におよびます。
(4)胃瘻造設術
頭頸部や食道がん患者さんで、化学放射線療法を行う前に胃瘻を造設します。化学放射線療法により、口の中、のど、食道に炎症が起きて食事がとれなくなるため、腹壁と胃に管を通しておくことで流動食がとれるので栄養面での不安が少なくなります。治療が終わり管を抜いてしまうと自然に瘻孔は閉じるので心配はありません。当院では化学放射線療法を受ける頭頸部や食道がん患者さんが多いので、年間100名くらいの方に胃瘻造設術を行っています。
(4)大腸腺腫・早期大腸がんに対する内視鏡治療
大腸がんの発育過程は、多くが前がん病変である腺腫(ポリープ)から発育するとされています(腺腫-がん化説;詳しくはJapan
Polyp Studyのホームページ:www.jps21.jpを参照)。よって腺腫を内視鏡下に切除することで、大腸がんの予防ができるとされています。当院では全例に拡大内視鏡を使っており、大腸腺腫および早期大腸がんを的確に診断し、切除を行っています。大きな病変もしくは少し深く浸潤した病変以外は、診断と同時に切除するため、多くの患者さんは入院の必要がありません。
2)化学療法
- 頭頸部がん -診療について
頭頸部がんは、咽頭や喉頭などにできる悪性腫瘍のことで、その多くが扁平上皮がんといわれる組織型を呈します。発見された時はすでに60%以上の方が進行がんであるため、その治療として手術もしくは抗がん剤と放射線の併用療法(以下、化学放射線療法)が選ばれることが多いです。当院では、手術で'のど'の機能(声を出すこと)を温存する事が困難な場合や他臓器(肺、肝、骨なで)に転移はなくても手術で治療するのが困難な局所進行がんを対象に化学放射線療法を積極的に行っています。もし他臓器に転移があった場合には、その時点での患者さんの状態に応じて抗がん剤治療を検討しています。
化学療法の臨床研究について
現在行っている頭頸部がんの臨床研究としては、導入化学療法とよばれる化学放射線療法の前に行う抗がん剤治療の安全性や効果に関する検討や、頭頸部がんの手術後の再発予防を目的とした化学放射線療法の安全性に関する検討などが挙げられます。
当院は日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)に参加しています。JCOGでは、現在頭頸部がんの領域においても新たな化学放射線療法に関する多施設共同臨床試験を計画しており平成20年度中に開始される予定です。
また、頭頸部癌の領域においても近年注目されている分子標的治療薬に関する治験も今後行われる予定です。
当院は日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)に参加しています。JCOGでは、現在頭頸部がんの領域においても新たな化学放射線療法に関する多施設共同臨床試験を計画しており平成20年度中に開始される予定です。
また、頭頸部癌の領域においても近年注目されている分子標的治療薬に関する治験も今後行われる予定です。
- 食道がん -
食道がんに対しては非外科的治療でありながら根治が期待できる化学放射線療法を積極的に行っています。切除可能な食道がんに対する標準的な治療は外科手術ですが、外科手術を負担に感じる患者さんも少なくありません。化学放射線療法は抗がん剤と放射線治療を併用して治療します。体への負担が外科手術に比べて軽く食道の温存が期待できる治療方法です。
外科手術を希望される患者さんでもステージによっては術前に化学療法を行った方が生存率の向上が得られることが明らかになっており、当科では食道がんに対する術前化学療法も行っています。
当院では標準的な治療のみだけではなく、より進んだ治療の開発を目指して日本臨床腫瘍グループ(JCOG)に参加し、臨床試験を行っております。
- 胃がん -
切除不能進行・再発胃がん患者さんに対しては標準的な化学療法を積極的に行っています。現在よく使用されている薬剤は、5-FU系抗がん剤、シスプラチン、イリノテカン、タキサン系抗がん剤で、これらを単剤もしくは2剤併用で行っています。また、新規抗がん剤は多数出現しています。新薬の多くは分子標的薬ですが、日本で使用できる薬剤は限られており、最新の分子標的薬を用いた治験(臨床試験)を行っています。
ステージ2期と3期の胃がんの外科切除後の患者さんに対しては、再発の抑制を目的とした術後補助化学療法を行っています。
- 大腸がん -
1)切除不能・再発症例の場合
抗がん剤治療が無治療と比較して治療効果があるのかを検証した臨床試験、その後の抗がん剤治療の進歩により、現在の抗がん剤治療は無治療に比較して約4倍の生存期間が期待できるようになりました。この中には、一定期間の抗がん剤治療ののち手術可能となる方や、頻度は低いものの抗がん剤治療で腫瘍が消失する方も含まれます。
現在,日本にはオキサリプラチン、イリノテカン、5-FU系抗がん剤、分子標的治療薬であるベバシヅマブと計4種類の有効な抗がん剤があり、全身状態の良好な方には、最初の治療としてオキサリプラチン、5-FU系抗がん剤とベバシヅマブの併用療法(FOLFOX+ベバシヅマブ療法)またはイリノテカン、5-FU系抗がん剤とベバシヅマブの併用療法(FOLFIRI+ベバシヅマブ療法)が選択されます。FOLFOX+ベバシヅマブ療法とFOLFIRI+ベバシヅマブ療法の治療成績は同等です。さらにFOLFOX療法+ベバシヅマブとFOLFIRI+ベバシヅマブ療法の両方が上手に行われることが重要と考えられています。言ってみれば、最初にFOLFOX+ベバシヅマブ療法が導入された場合は次治療としてFOLFIRI療法が、最初にFOLFIRI+ベバシヅマブ療法が導入され場合は次にはFOLFOX療法が、適切なタイミング(効果が乏しい、重篤な副作用が出た、など)で変更されることが重要です。もうひとつ知っておきたいことは、総じて最初の治療期間は次治療より長いということです。したがってFOLFOX療法とFOLFIRI療法のどちらの治療も可能な方には、副作用の種類で決定します。
FOLFOX+ベバシヅマブ療法の代表的な副作用は末梢神経障害(手足のしびれ)、冷たいものに触ったときに惹起される瞬間的なしびれやアレルギー反応(皮疹など)です。一方、FOLFIRI+ベバシヅマブ療法の代表的な副作用は、下痢,倦怠感や脱毛です。両方の治療に共通した副作用は、好中球減少(白血球の中でばい菌を退治する主成分)や吐き気ですが、好中球減少は抗がん剤の減量で、吐き気は抗がん剤専用の吐き気止めの併用で治療の継続が可能になります。
具体的には、脱毛が気になる方や下痢症の方にはFOLFOX+ベバシヅマブ療法が、炊事や洗濯など冷たい水に触れる機会の多い方や繊細な指先の感覚が必要な職業の方にはFOLFIRI+ベバシヅマブ療法が適応となります。
また元気な高齢者には、若い方と同様にFOLFOXまたはFOLFOX+ベバシヅマブ療法が安全に施行できると報告されています。
一方、全身状態が不良な方、心疾患、腎不全や肝硬変などの重篤な合併症を治療中の方、全身状態の衰えた高齢な方には、5-FU系抗がん剤単独の適応となります。具体的にはUFT+ユーゼル療法、TS-1療法などの経口5-FU系抗がん剤療法または5-FU+アイソボリン療法です。オキサリプラチン、イリノテカンやベバシヅマブを含んだ併用療法を受ける場合には十分な副作用管理が必要となります。
現在,日本にはオキサリプラチン、イリノテカン、5-FU系抗がん剤、分子標的治療薬であるベバシヅマブと計4種類の有効な抗がん剤があり、全身状態の良好な方には、最初の治療としてオキサリプラチン、5-FU系抗がん剤とベバシヅマブの併用療法(FOLFOX+ベバシヅマブ療法)またはイリノテカン、5-FU系抗がん剤とベバシヅマブの併用療法(FOLFIRI+ベバシヅマブ療法)が選択されます。FOLFOX+ベバシヅマブ療法とFOLFIRI+ベバシヅマブ療法の治療成績は同等です。さらにFOLFOX療法+ベバシヅマブとFOLFIRI+ベバシヅマブ療法の両方が上手に行われることが重要と考えられています。言ってみれば、最初にFOLFOX+ベバシヅマブ療法が導入された場合は次治療としてFOLFIRI療法が、最初にFOLFIRI+ベバシヅマブ療法が導入され場合は次にはFOLFOX療法が、適切なタイミング(効果が乏しい、重篤な副作用が出た、など)で変更されることが重要です。もうひとつ知っておきたいことは、総じて最初の治療期間は次治療より長いということです。したがってFOLFOX療法とFOLFIRI療法のどちらの治療も可能な方には、副作用の種類で決定します。
FOLFOX+ベバシヅマブ療法の代表的な副作用は末梢神経障害(手足のしびれ)、冷たいものに触ったときに惹起される瞬間的なしびれやアレルギー反応(皮疹など)です。一方、FOLFIRI+ベバシヅマブ療法の代表的な副作用は、下痢,倦怠感や脱毛です。両方の治療に共通した副作用は、好中球減少(白血球の中でばい菌を退治する主成分)や吐き気ですが、好中球減少は抗がん剤の減量で、吐き気は抗がん剤専用の吐き気止めの併用で治療の継続が可能になります。
具体的には、脱毛が気になる方や下痢症の方にはFOLFOX+ベバシヅマブ療法が、炊事や洗濯など冷たい水に触れる機会の多い方や繊細な指先の感覚が必要な職業の方にはFOLFIRI+ベバシヅマブ療法が適応となります。
また元気な高齢者には、若い方と同様にFOLFOXまたはFOLFOX+ベバシヅマブ療法が安全に施行できると報告されています。
一方、全身状態が不良な方、心疾患、腎不全や肝硬変などの重篤な合併症を治療中の方、全身状態の衰えた高齢な方には、5-FU系抗がん剤単独の適応となります。具体的にはUFT+ユーゼル療法、TS-1療法などの経口5-FU系抗がん剤療法または5-FU+アイソボリン療法です。オキサリプラチン、イリノテカンやベバシヅマブを含んだ併用療法を受ける場合には十分な副作用管理が必要となります。
2)術後補助化学療法の場合
あなたは手術でがんを完全に取り除くことが出来ました。傷の痛みや食欲など日々改善していると思います。主治医から、『がんはすべて取り除くことができました』と声をかけられ、安心されたことと思います。しかし『がんは取り除いた』という言葉は、直ったと同じではありません。
日本における大腸癌手術症例の5年生存率、つまり手術後5年の時点で患者さんが生きている確率は80%程度です。もう少し踏み込んで説明を加えると、リンパ節転移のない結腸がんと直腸がん(ステージ2期)の5年生存率は、80%、75%ですし、リンパ節転移のある結腸がん、直腸がん(ステージ3期)のそれは66%、 53%です。
『がんは取り除いた』とは、直る可能性があるという意味です。さきほど記載しましたがステージ2期と3期で5年生存率が違うのは、再発の頻度の違いによります。ステージ3期は、2期に比べ再発が多く、そのため3期に術後補助化学療法が行われています。術後補助化学療法は再発率が高い病期の方に有効であり、細胞レベルで残っているがんをたたいて再発を予防する目的で行われます。平易な言葉で表現すれば、術後抗がん剤を行うことなく経過観察したら再発していた方が、再発しないで直る、このような方が術後補助化学療法を施行した方に含まれるということです。裏返せば、抗がん剤治療を行っても再発する方はいますし、治療をしなくても再発しないで直る方もいるということです。もちろん抗がん剤で再発が予防できる方のみを選択して治療するのが理想ですが、選択する手法が十分に確立されていないため、再発率の高いステージ3期全員に治療が行われると理解してください。
日本では術後補助化学療法として、5-FU+アイソボリン療法やUFT+ユーゼル療法を6ヶ月間行うのが一般的です。しかし欧米では5-FU+アイソボリン療法やUFT+ユーゼル療法より治療効果の高いFOLFOX療法が一般的です。日本では術後補助化学療法としてオキサリプラチンが未承認のため保険診療で行うことができません。
日本における大腸癌手術症例の5年生存率、つまり手術後5年の時点で患者さんが生きている確率は80%程度です。もう少し踏み込んで説明を加えると、リンパ節転移のない結腸がんと直腸がん(ステージ2期)の5年生存率は、80%、75%ですし、リンパ節転移のある結腸がん、直腸がん(ステージ3期)のそれは66%、 53%です。
『がんは取り除いた』とは、直る可能性があるという意味です。さきほど記載しましたがステージ2期と3期で5年生存率が違うのは、再発の頻度の違いによります。ステージ3期は、2期に比べ再発が多く、そのため3期に術後補助化学療法が行われています。術後補助化学療法は再発率が高い病期の方に有効であり、細胞レベルで残っているがんをたたいて再発を予防する目的で行われます。平易な言葉で表現すれば、術後抗がん剤を行うことなく経過観察したら再発していた方が、再発しないで直る、このような方が術後補助化学療法を施行した方に含まれるということです。裏返せば、抗がん剤治療を行っても再発する方はいますし、治療をしなくても再発しないで直る方もいるということです。もちろん抗がん剤で再発が予防できる方のみを選択して治療するのが理想ですが、選択する手法が十分に確立されていないため、再発率の高いステージ3期全員に治療が行われると理解してください。
日本では術後補助化学療法として、5-FU+アイソボリン療法やUFT+ユーゼル療法を6ヶ月間行うのが一般的です。しかし欧米では5-FU+アイソボリン療法やUFT+ユーゼル療法より治療効果の高いFOLFOX療法が一般的です。日本では術後補助化学療法としてオキサリプラチンが未承認のため保険診療で行うことができません。
3)化学療法を受けるかどうかの自己決定
切除不能・再発の方と術後補助化学療法の方で、治療の意味合いが違うことが理解できたと思います。ご自身の全身状態や年齢、がんの広がりまたは再発率から、抗がん剤治療の適応を見定めてください。効果と副作用のバランス、職業なども十分考慮して治療計画を立てることが重要でしょう。しかし、すべての患者さんで計画通りにうまくいくとは限りません。中には抗がん剤の副作用で命を縮めてしまうこともあると思います。忘れないで欲しいことは、あなたには無治療を選択する権利もあるということです。どうしても迷いがあるようでしたら、積極的にセカンドオピニオンなどを活用して専門家の意見を聞くのもよいでしょう。以上の治療方針に対し当院では全面的なサポートをいたします。
3.研究について
・大腸内視鏡:Narrow band image(NBI)システムの導入により、大腸内視鏡検査では、NBI観察による腫瘍・非腫瘍の鑑別診断や通常観察とNBI観察による病変の発見率に関する研究が行われています。さらに、大腸内視鏡による腺腫や早期がんを切除した後に、どのくらいの間隔で次の検査を行えば、大腸がんの予防が可能かを検討するため、適切な検査間隔を決定する臨床試験、Japan Polyp Study (ホームページ:www.jps21.jp)が多施設共同の班研究として行われています。・アルコール代謝酵素と頭頚部・食道の多重がん発生の関連性に関する研究:若いころ飲酒したとき顔が赤くなる方は、日本人の約40%を占めます。この方達が毎日多量の飲酒をされると頭頸部や食道がんになる確率が高くなることがわかってきました。アルコール代謝酵素とその代謝産物(アセトアルデヒド)は頭頸部・食道の多重がん発生に関して強い関連があることが遺伝子解析の結果確かめられ、新しい概念を確立しつつあります。
・photodynamic therapy(PDT):食道がんに対して、内視鏡治療や放射線併用化学療法を行った患者さんで、局所再発がみられる方がいらっしゃいます。完全治癒を想定した追加の治療を選択する時の一つの方法として行われています。
・胃がんに対するESD:従来の内視鏡治療の適応を拡大するために、つまりより大きな早期がんに対して、外科手術をせずに胃の機能を温存する目的で、多施設共同の臨床試験を行っています。
・化学療法の治験については治験管理室、治験事務局の項を参照。







