食道外科
2.診療について
3.研究について
1.食道外科について
| 担当医師名 | 外来診察日 | 診療科 専門分野 |
| 大幸 宏幸 (だいこう ひろゆき)
|
木 | 食道外科(頭頸部外科) 医長 グループ責任者 |
食道がんに対し集学的治療(手術、抗がん剤、放射線治療の組み合わせ)が主体となった今日、消化器内科、放射線治療部・診断部と密な医療連携のもと、食道から発生する悪性腫瘍に対して進行度と患者の状態に応じた外科治療をおこなうため、術前補助療法と手術技術に重点を置いた研究と開発をしています。
化学放射線療法後の救済食道切除も積極的に行っており、現在までに100例以上の救済食道切除を経験しています。また、頸部食道から発生する悪性腫瘍は頭頸部外科と共同で治療を行っています。2010年度の手術件数は胸腹部食道がん119件、頸部食道がん11例でした。
胸部食道がんに対する手術の年度別症例数

2.診療について
胸部食道がん(胸腹部食道がん)
[ 診断 ]
がんの進行度診断
上部消化管バリウム造影、上部消化管内視鏡、頸胸腹部CT scan、頸部超音波検査を行い、毎週火曜日に行われる食道外科、消化器内科、放射線治療部及び診断部が参加する食道カンファレンスですべての症例の進行度が診断分類されます。
臨床病期は以下の3因子によりにより4段階に分類されます。
・ T因子:がんの深達度
・ N因子:リンパ節転移
・ M因子:遠隔リンパ節転移又は臓器転移
耐術性の評価
・ 併存及び既往疾患の状態把握と治療
・ 耐術性の評価(特に耐開胸性):全身状態の評価、呼吸機能、心臓機能、腎機能
[ 治療方針:集学的治療法 ]
手術は、内視鏡的切除が不可能で他臓器への浸潤と転移のない完全切除可能な症例が適応となります。従って、臨床病期I(T1b以上の腫瘍)からIV(遠隔臓器転移症例は適応外)までが適応となります。
・ 臨床病期I :手術(病理学的にリンパ節転移を認めれば術後抗がん剤)
・ 臨床病期II以上 :術前補助療法 → 手術
当院も参加している日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が行った「術前抗がん剤投与と術後抗がん剤投与の有効性の比較試験」より、術前に抗がん剤を投与して手術を行った方が生存率が高いことが判りました。このことより、術前抗がん剤としてシスプラチン+5Fuを投与後に手術を行うことが標準的手術治療法となりました。当院では、更なる手術治療成績の向上を目指して術前補助療法の開発を行い、以下のように進行度に応じて術前抗がん剤を使用しています。
・ 臨床病期II :シスプラチン+5Fu
・ 臨床病期III以上 :シスプラチン+5Fu+ドセタキセル
現在、術前に化学放射線療法を行う臨床試験が進行中です。
[ 手術術式 ]
食道がんに対する手術術式は、頸部・胸部・腹部の3領域に及ぶリンパ節郭清を行い、食道を切除する術式を標準手術としています。当院の特色として、食道がんに対する手術をがん切除と再建に分け、がんの進行度に応じた手術治療の個別化を行っています。更に、耐開胸性がない症例や80歳以上の超高齢者に対しても術式を工夫し手術を行っています。
がん切除
−右開胸アプローチ:胸部リンパ節に転移を認める症例 or 救済食道切除*
−完全胸腔鏡アプローチ:胸部リンパ節に転移を認めない症例
−非開胸アプローチ**:耐開胸性はないが開腹に耐えられる症例
再建術
−開腹アプローチ:腹部リンパ節に転移を認める症例
−腹腔鏡アプローチ:腹部リンパ節に転移を認めない症例
*救済食道切除:根治的化学放射線療法後の遺残と再発症例に対しては、標準術式に工夫を加え救済手術を行っています。
**非開胸アプローチ:耐開胸性はないが耐開腹性がある症例や80歳以上の超高齢者に対しては、非開胸アプローチで開腹食道切除に腹部から中下縦隔、頸部から上縦隔リンパ節を可能な限り郭清し、根治性を高めた手術を積極的に行っています。

頸部食道がん
[ 診断 ]
咽頭・上部消化管バリウム造影、上部消化管内視鏡、頭頸部NBI内視鏡、頸胸腹部CT scan、頸部超音波検査を行い、食道と頭頸部の合同カンファレンスで進行度を診断分類しています。臨床病期は以下の3因子によりにより4段階に分類されます。
・ T因子:がんの深達度
・ N因子:リンパ節転移
・ M因子:遠隔リンパ節転移又は臓器転移
[ 治療方法 ]
他臓器転移のない切除可能な症例は、外科医から手術、内科・放射線医から化学放射線療法の方法とその効果について説明を受け、患者自身に治療法を選択して頂いています。
[ 手術術式 ]
術式は咽頭喉頭頸部食道切除、両側頸部リンパ節郭清、上縦隔リンパ節郭清、遊離小腸移植再建術を標準術式としていますが、可能な限り喉頭を温存するよう努めています。
[ 補助療法 ]
予後不良因子を有する症例に対しては、術後に化学放射線療法を行っています。
3.研究について
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)による大規模多施設共同研究に積極的に参加しています。現在は下記の臨床試験が進行中です。- 臨床病期 I (clinical-T1N0M0)食道癌に対する食道切除術と化学放射線療法同時併用療法(CDDP+5FU+RT)のランダム化比較試験
- 臨床病期 II / III 期(T4を除く)胸部食道癌に対するドセタキセル+シスプラチン+5Fu (DCF)の併用療法による術前補助化学療法の実施可能試験
- 臨床病期 II / III 期(T4を除く)胸部食道癌に対するシスプラチン+5Fuと放射線同時併用療法による術前補助化学放射線療法の実施可能試験