下腹部外科
1.下腹部外科(大腸骨盤外科)について
2.診療について
3.研究について
大腸がんの年間手術件数は約350例におよび、特に直腸がんの比率が高いのが当科の特徴です。その主な理由は、直腸がんに対する新たな肛門温存術を日本でいち早く取り入れ、その機能温存治療を求めて来院する患者さんが年々増えてきたことによります。この手術は従来の方法では、永久人工肛門を余儀なくされてきた肛門に近い直腸がんに対して、括約筋の一部を温存し肛門を温存しながら、がんを取り除く手術(この手術を内肛門括約筋切除術といいます。図1参照)を行います。当科ではこの手術をこれまでに日本で最も多く行ってきた実績があり、今なお症例は増加傾向にあります。内肛門括約筋切除術による肛門温存率は約95%におよびます。しかし本治療方法はいまだ標準治療とは言えない段階でその治療成績や残存排便機能については今後のさらなる評価を要する段階であります。
当科では2008年3月までに約200人の患者さんに内肛門括約筋切除術を行い、その臨床成績を学会および論文等で広く報告してきました。今後ともこのような機能温存手術におけるオピニオンリーダーとしての役割を自覚し、患者さんの高い満足の得られるような手術の安全な普及に向けて積極的に取り組んでいこうと考えています。
また当科の二つ目の特徴は、腹腔鏡手術の症例を多く手がけてきたことです。腹腔鏡手術は進行がんに対して安全性が十分確立された治療ではないため、日本では従来の傷の大きい開腹手術との比較を行う臨床試験が現在行われています。一方で海外からの報告の結果では、腹腔鏡手術は傷が小さく術後の痛みも少ないばかりでなく、開腹手術と同等の治療成績が示されてきました。日本での臨床試験の結果を待つべきではありますが、この手術方法の将来性は非常に有望であり、この手術を希望される患者さんには積極的に行ってまいりました。最近ではより高度な腹腔鏡手術の技術改良とその習熟によって、対象疾患は直腸がんに及ぶようになり、当科における良好な治療成績をさまざまな学会や論文で発表してきました。
当科の三つ目の特徴は、治療メニューが豊富である点であります。手術治療だけでなく、放射線治療、化学療法などを加えた集学的治療を各専門医との連携をとりながら行っています。
直腸癌手術後の病期別生存


結腸癌手術後の病期別生存率

我々の治療方針に関して相談したい方は、セカンドオピニオン外来もございますので気軽にご相談ください。
大腸骨盤外科では、次世代の標準治療となりうる新しい治療を目指すための先進的な臨床研究を数多く行っています。
以下にその代表的な研究内容を列記します。
2.診療について
3.研究について
1.下腹部外科(大腸骨盤外科)について
| 担当医師名 | 外来診察日 | 診療科 専門分野 |
| 小林 昭広 (こばやし あきひろ) ![]() |
月 | 大腸骨盤外科 医員 |
| 齋藤 典男 (さいとう のりお) ![]() |
火 | 大腸骨盤外科 病棟部長 |
| 伊藤 雅昭 (いとう まさあき) ![]() |
水 | 大腸骨盤外科 消化器科医長 臨床開発センター機能再生室(先端医療開発プロジェクト)併任 |
| 杉藤 正典 (すぎとう まさのり) ![]() |
木 | 大腸骨盤外科 病棟医長 |
| 西澤 雄介 (にしざわ ゆうすけ) ![]() |
金 | 大腸骨盤外科 医員 |
2.診療について
我々下腹部外科(大腸骨盤外科)は、主に大腸がんの外科治療を担っています。当科は泌尿器科と一緒のグループで診療にあたり、下腹部の腫瘍性病変全般に対する外科的治療に対応できるようになっています。我々の専門分野は特に排便機能、排尿機能、および性機能といったさまざまな機能に関連する病気であり、また肛門や膀胱を失う可能性のある手術に強く関与しています。このような術後機能障害に対してはできる限り、最先端の外科的研究を駆使した機能温存あるいは臓器温存を心がけています。大腸がんの年間手術件数は約350例におよび、特に直腸がんの比率が高いのが当科の特徴です。その主な理由は、直腸がんに対する新たな肛門温存術を日本でいち早く取り入れ、その機能温存治療を求めて来院する患者さんが年々増えてきたことによります。この手術は従来の方法では、永久人工肛門を余儀なくされてきた肛門に近い直腸がんに対して、括約筋の一部を温存し肛門を温存しながら、がんを取り除く手術(この手術を内肛門括約筋切除術といいます。図1参照)を行います。当科ではこの手術をこれまでに日本で最も多く行ってきた実績があり、今なお症例は増加傾向にあります。内肛門括約筋切除術による肛門温存率は約95%におよびます。しかし本治療方法はいまだ標準治療とは言えない段階でその治療成績や残存排便機能については今後のさらなる評価を要する段階であります。

当科では2008年3月までに約200人の患者さんに内肛門括約筋切除術を行い、その臨床成績を学会および論文等で広く報告してきました。今後ともこのような機能温存手術におけるオピニオンリーダーとしての役割を自覚し、患者さんの高い満足の得られるような手術の安全な普及に向けて積極的に取り組んでいこうと考えています。
また当科の二つ目の特徴は、腹腔鏡手術の症例を多く手がけてきたことです。腹腔鏡手術は進行がんに対して安全性が十分確立された治療ではないため、日本では従来の傷の大きい開腹手術との比較を行う臨床試験が現在行われています。一方で海外からの報告の結果では、腹腔鏡手術は傷が小さく術後の痛みも少ないばかりでなく、開腹手術と同等の治療成績が示されてきました。日本での臨床試験の結果を待つべきではありますが、この手術方法の将来性は非常に有望であり、この手術を希望される患者さんには積極的に行ってまいりました。最近ではより高度な腹腔鏡手術の技術改良とその習熟によって、対象疾患は直腸がんに及ぶようになり、当科における良好な治療成績をさまざまな学会や論文で発表してきました。
当科の三つ目の特徴は、治療メニューが豊富である点であります。手術治療だけでなく、放射線治療、化学療法などを加えた集学的治療を各専門医との連携をとりながら行っています。
直腸癌手術後の病期別生存


結腸癌手術後の病期別生存率

我々の治療方針に関して相談したい方は、セカンドオピニオン外来もございますので気軽にご相談ください。
3.研究について
我々国立がん研究センターは、がん患者さんへの良質な治療を提供することが一番重要な仕事だと考えていますが、他にも後継医師の人材教育や将来に向けての最先端医療を積極的に開発、取り入れていく使命もあると考えています。大腸骨盤外科では、次世代の標準治療となりうる新しい治療を目指すための先進的な臨床研究を数多く行っています。
以下にその代表的な研究内容を列記します。
- 直腸がんに対する新たな肛門温存手術(内肛門括約筋切除術)の妥当性を検証する臨床試験(厚生労働省がん研究助成金研究)
- 大腸がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の臨床比較研究(JCOG0404)
- 直腸がんに対する腹腔鏡手術の妥当性を検証する研究 (Lap RC)
- 直腸がんの側方リンパ節郭清に関する研究(JCOG0212)
- 術後フォローアップの標準化に向けた多施設共同研究(厚生労働省がん研究助成金研究)
- 大腸がんに対するPET/CTの診断能を評価する研究
- 大腸がん肝転移術後の補助療法に関する研究(JCOG0603)




