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国立がんセンタートップ > 東病院 > 診療内容と診療実績のご案内 > 精神腫瘍科

精神腫瘍科

1.精神腫瘍科について
2.診療について
3.研究について


1.精神腫瘍科について

担当医師名 外来診察日 診療科 専門分野
小川 朝生
(おがわ あさお)
月・金 精神腫瘍科
医員
内富 庸介
(うちとみ ようすけ)
内富 庸介 (うちとみ ようすけ)
火・木 精神腫瘍科
精神腫瘍学開発部長
藤澤 大介
(ふじさわ だいすけ)
藤澤 大介 (ふじさわ だいすけ)
火・木 精神腫瘍科
医員

「精神腫瘍科」という部門名は、あまり聞きなれないことと思われます。この部門はがんの告知が一般的になった1970年代ごろから発展してきた比較的新しいものです。精神腫瘍科は、あらゆる時期のがん患者さん、ご家族の方々に最適の心のケアを提供し、自分らしくがんと取り組む方法を見出せるようお手伝いすることを目的とした部門です。

2人の常勤スタッフ医師(臨床開発センターと兼任)を中心に、非常勤医師、がん専門修練医、レジデントの精神科医、心療内科医など心の支援を専門とする医師と心理士がチームを組んで診療を行っています。また、体のつらさと心のつらさを切り離して考えることはできませんので、緩和ケア医、がん専門看護師、薬剤師、栄養士、医療ソーシャルワーカーなどと定期的なカンファレンスなどを通じて連携してチーム医療を行っています。


2.診療について

患者さんの気持ちのつらさに対する支援

患者さんはがんの疑い、検査、診断、治療の経過中など、がんの経過のあらゆる時期に気持ちのつらさを経験します。がん患者さんが経験する気持ちのつらさの症状には、気持ちの落ち込みや、不安などがあります。近年の調査では、がんの経過どの時期をとっても2〜3割がうつ病や適応障害など精神医学的な診断に相当するつらさを経験していることが明らかになっています。そのような状態は患者さんご自身、そしてご家族にとっても負担になるだけではなく、時にがん治療の妨げとなる場合もあるため、早めにつらさを和らげる治療を受ける必要があります。精神腫瘍科の利用者数と精神医学的診断の内訳のグラフを以下にお示しします。
精神腫瘍科の利用者数と精神医学的診断の内訳のグラフ

精神腫瘍科は入院中、外来通院中いずれの場合でも受診することができます。入院中で動けない場合は担当者が病棟やベッドまでうかがいます。診療の内容としては、それぞれの患者さんの状態とご要望に応じ、つらさの内容をお話しいただきともに解決を考えるカウンセリングや、心と体の緊張を和らげるためのリラクセーション、不安や不眠、気持ちの落ち込みを軽減するための薬物療法などを行います。

当院でがん治療を受けていない場合でも、精神的ケアのためだけに受診することもできます。


ご家族の気持ちのつらさに対する支援

患者さんの常に一緒に過ごされているのはご家族です。医療者からも患者さんからも、患者さんを常に支えることを期待されるため、ご家族の気持ちのつらさも大きなものになることがあります。気持ちのつらさという面では、患者さんとほぼ等しく負担を抱えておられます。精神腫瘍科ではがん患者さんのご家族の気持ちのつらさに対する外来治療も行っています(一般の保険診療として行っております)。

患者さんが当院でがん治療を受けておられない場合でも、受診することができます。また、がんでご家族を亡くされたつらさに対するケアも行っております。


受診方法

●外来の場合(患者さん、ご家族いずれも):
外来受付にて精神腫瘍科の受診手続きを行い、外来を受診して下さい。
また通院治療センターで治療を受けられている方には、「つらさと支障の寒暖計」のアンケートにより、つらさの強い方には精神腫瘍科での相談をお勧めしています。受診をご希望の際は担当者にお伝えください。

●入院中の場合:
担当の医師、看護師に心のケアを受けたい旨をお伝えください。スタッフが病棟までうかがいます。


3.研究について

1)患者さんを支援するためのプログラムの開発受診方法

1.厚生労働科学研究費補助金 第3次対がん総合戦略研究事業
(1)QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発に関する研究(H19-3次がん)
わが国におけるがん患者さんのQOL(生活の質)の概念を明らかにし、QOL向上のためのさまざまな患者さんを支援するプログラムを開発することをすすめています。(内富班スライド・報告書へのリンク

QOL向上のための各種患者支援プログラムの開発に関する研究

(2)がん医療に携わる医師のための悪い知らせを伝える際のコミュニケーション技術プロトコールの開発
がんの診断を告知することや治療の中止を決定するなどの悪い知らせ(Bad News)は、受け手の患者にとっても伝える医療者側にとっても心理的な苦痛を生じます。適切に伝えてお互いの理解をすすめるためには、良好なコミュニケーションが必要です。しかし、コミュニケーションをすすめるためには、医療者が臨床経験を重ねるだけでは向上しません。

そこで、がん医療に携わる医療者へコミュニケーション技術を向上させるための教育プログラムが望まれました。欧米ではすでにがん専門医向けのコミュニケーションスキルトレーニングが開発されていました。

私たちは日本の患者さんが医療者に対してどのようなコミュニケーションを希望しているのかを調査し、その意向を踏まえて、日本の医療現場にあったコミュニケーション・スキル・トレーニング SHAREプログラムを開発し、がん専門医を対象に研修プログラムを開催しています。

現在では、厚生労働省の委託事業として、(財)医療研修推進財団が主催し、日本サイコオンコロジー学会の協力のもと全国で講習会が開催されています。

悪い知らせを伝える際のコミュニケーション技術プロトコール

風景画像


2.厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業
がん患者に対するリエゾン的介入や認知行動療法的アプローチ等の精神医学的な介入の有用性に関する研究
がん患者さんのなかにはさまざまな苦痛を経験される中で、気分がすぐれずに落ち込んだり、やる気をなくしたりする気持ちのつらさを経験される方がおられます。このようなつらさは、患者さんご自身がつらく苦しまれるだけではなく、見守るご家族の方にとっても苦しく悩まれることになります。ひどい場合には体の治療にもひびくことがありますので、できるだけ早くつらさを発見し、適切な治療を受けていただくことが大切です。そこで私たちは、患者さんの負担が少なく、つらさを見つけるための方法を開発し実践しています。また、患者さん・ご家族の方のつらさを少しでも軽くするための治療方法や、サポートする技術を開発しています。

図1がん患者の抑うつの1ヶ月有病率

つらさと支障の寒暖計


2)地域で患者さんを支援するための研究

1.厚生労働科学研究費補助金 第3次対がん総合戦略研究事業
緩和ケアプログラムによる地域介入研究
わが国の緩和ケアは次第に整備されてきておりますが、まだ十分ではありません。そこで、国からの援助を得て、地域と連携しながら患者さんや家族の方の苦痛を和らげる緩和ケアの質を向上させるためのモデル事業をおこなっています。柏市・我孫子市・流山市の3市が、長崎や浜松と並んでモデル地区に指定されています。

第3次対がん総合戦略研究事業

2.厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業
地域に根ざしたがん医療システムの展開に関する研究(H18-がん臨床)
外来化学療法の導入により、入院期間が短縮し、がん治療を家で過ごしながら支えるようになってきましたが、現在の医療システムはこの要請に十分に応えていません。そこで、地域のがん治療従事者、在宅医療従事者、介護員、行政の保健福祉担当者、患者の代表などによるワーキンググループを組織するとともに、地域医療者を対象としたアンケート調査を実施し、がん患者・家族が地域で一貫した医療・福祉サービスを受けられるためのシステムを構築するための研究をおこなっています。

がんになっても安心して暮らせるまちづくり