臨床検査部 << 国立がん研究センター東病院

臨床検査部

1.血液検査室
2.生化学検査室
3.一般検査室
4.輸血検査室
5.病理検査室
6.細菌検査室
7.生理検査室

臨床検査部の紹介

臨床検査部は患者さんから採取された検体を取り扱う検体検査部門、病理組織・細胞診検査部門、細菌検査部門と患者さんのからだを直接検査する生理検査部門とがあります。

検体検査部門は通院治療センターに隣接しています。患者さんから採取された検体は、ワンフロアー化された検査室で大型自動分析機を使用して迅速且つ正確に分析され、電子カルテを介し、臨床に報告されます。また緊急検査に対応するため、24時間体制で取り組んでいます。

臨床検査部門は検査部長を筆頭に医師6名、技師18名で検体検査、病理検査、細菌検査、生理検査に携わっています。院内の連携を重視した取り組みには、臨床開発センターへの技師の派遣をはじめ、院内感染対策防止委員会、栄養サポートチーム、院内感染防止活動、治験業務などへも参画しております。

臨床現場のスペシャリストを目指し、これからの、がん医療・診療支援の一端を担っていけるようメンバー一丸となって取り組んでまいります。

1.血液検査室

血液検査
血液検査:血液の成分である赤血球、白血球、血小板の数や、ヘモグロビンの量を測定します。
貧血や白血球減少などの程度を調べます。
血液像検査
血液像検査:血液をスライドガラスに塗抹し染色を行い、顕微鏡で白血球分類や赤血球の形態などを観察します。
凝固検査
凝固検査:止血に必要な物質(因子)を測定します。また血栓予防薬(血液を固まりにくくする薬など)を服用している患者さんの薬の量のコントロールや血友病の診断などに利用されます。
骨髄検査:顕微鏡で骨髄中の細胞形態を観察し、白血病などの診断をします。

2.生化学検査室

生化学検
生化学検査:血液中の蛋白、糖、脂質、肝・腎機能などを最新鋭の自動分析装置で測定しています。
オンラインシステムで測定結果をリアルタイムに臨床へ報告し迅速検査を実現しています。
外来の診察前に結果を返し、円滑な診察に寄与しています。
血清検査
血清検査:主に悪性腫瘍などで血液中の濃度が上昇する腫瘍マーカーや感染症検査などをします。
バンキングシステム
バンキングシステム:(がん組織および患者検体の保管システム)
手術で摘出された、がんの組織や患者血液(血清)を−80℃のフリーザーで保存しています。保存された組織や血液は、がん治療の開発、研究に有効利用されます。

3.一般検査

一般検査室では尿検査、尿沈渣のほか、便検査、体腔液(胸水・腹水)、髄液検査も実施しています。

1)尿定性検査

一般検査室に隣接した採尿室で採取された尿は、同時に12項目 (蛋白、糖、潜血など)を測定できる自動分析装置で迅速に検査されます。 特定の腫瘍で産生される特殊蛋白(B-J蛋白)の検査も実施しています。

2)尿沈渣

尿の中には、さまざまな有形成分や細胞成分が存在しており、沈渣を顕微鏡で観察することは病気の診断に重要です。

尿沈渣

4.輸血検査

当院検査部では平成19年9月より、臨床検査に於ける血液製剤の一元管理を行っており、血液製剤管理のほか、安全使用を目的とし、副作用情報、追跡調査など情報の管理にも努めています。

輸血検査担当技師は2名で、検査業務はコンピューターによる輸血検査システムと検査技師によるダブルチェック体制で行っています。緊急検査時、夜間、休日も対応できる体制を組んでいます。

輸血業務には次のような項目があります。

1)血液型検査

ABO血液型、Rh血液型(D)の血液型判定を行います。

2)不規則抗体スクリーニング検査

ABO血液型以外の赤血球抗原に対する抗体検査です。
主に過去の輸血や妊娠によって産生された抗体であり、輸血の副作用の原因となる抗体を検出します。

不規則抗体スクリーニング検査
不規則抗体スクリーニング検査

3)交差適合試験

患者さんと輸血する血液をあわせて凝集や溶血などの異常がないか、 適合性をチェックする検査です。

4)自己血輸血

手術前に自己の血液を予め採血、保存しておく方法です。手術の当日まで血液を24時間温度管理のできる冷蔵庫にて、保管管理をしています。自己血輸血は副作用を回避するための最も安全な輸血療法です。

5.病理検査室の概要

病理検査室の業務は、病理組織検査、細胞診検査、病理解剖です。患者さんから採取した組織、細胞を臨床検査技師が染色標本の作製を行い、病理医が顕微鏡で観察し、最終診断をしています。当院病理検査室のスタッフは病理学会認定病理専門医4名、臨床検査技師5名(細胞検査士有資格者3名)です。またレジデント医師およびがん専門修練医の研修を積極的に受け入れており、病理医とのディスカッション、カンファランスでの発表が頻繁に行われています。

病理検査室 病理検査室
多人数によるディスカッション
乳腺カンファランスの模様

下表に最近5年間の検査件数の推移を示します。免疫組織化学の件数が増加しています。解剖数は減少傾向にあります。

表組み

1)病理組織検査

内視鏡検査、針生検などで採取された組織(生検材料)や手術で摘出された臓器(手術材料)をホルマリン溶液で固定します。手術材料の場合は、摘出した臓器の肉眼観察を行い、診断に必要な部分を切り出します。それぞれの材料はパラフィンで固めて約3/1000mmの薄さに切ります。その切片をスライドグラスに貼り付け、通常はヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を実施し標本を作製します。この標本を病理医が顕微鏡で観察し、組織構造および個々の細胞形態を評価し、病変の診断を行います。がんの摘出材料の場合は、がん病変の大きさ、広がり、リンパ節転移の有無などを確認し、がんの最終的な病理組織診断を行います。

左肺上葉切除標本 肺腺癌組織 B細胞性悪性リンパ腫
左肺上葉切除標本
肺腺癌組織
B細胞性悪性リンパ腫
(免疫組織化学標本)

2)免疫組織化学検査

がんには多くの種類(組織型)があるため、HE染色標本だけではがんの組織型が決定できないことがあります。このような場合に免疫組織化学検査を行います。未染色の切片に対し、さまざまな種類の抗体を反応させ、がん細胞の由来、性質を特定することで、がんの組織型を決定します。病理検査室では100種類以上の抗体が備えてあります。

3)細胞診検査

喀痰、尿、胸水、腹水、乳腺、子宮などから採取された細胞をスライドグラスに塗布後、エタノール溶液で固定を行い、通常はパパニコロウ染色(Pap染色)を実施し標本を作製します。この標本を細胞検査士の資格を有する臨床検査技師が顕微鏡で詳細に観察し、異常な細胞を探し出しマークをつけ、病理医が異常細胞を診断します。細胞診検査は組織検査に比べて身体への浸襲が少ない検査であり、検体採取が比較的容易なことから繰り返し検査を行いやすく、組織検査よりも早く結果がでる利点があります。

胸水中の腺癌細胞 肺小細胞癌 大腸腺癌細胞
胸水中の腺癌細胞
肺小細胞癌
大腸腺癌細胞

4)術中迅速検査

手術中に病理組織学的判断が必要になる場合に行います。がんの手術の場合は切除断端およびリンパ節のがん細胞の有無を診断することが、追加切除や手術の終了を決定するのに役立っています。摘出された病変は瞬間凍結し10分程度でHE染色標本を作製します。この標本を病理医が顕微鏡で観察し、速やかに診断結果を手術室に報告します。腹水などの細胞診検体も術中迅速検査として提出されます。10分程度でPap染色標本を作製し、細胞検査士2人と病理医が顕微鏡で観察し、速やかに診断結果を手術室に報告します。

5)病理解剖

不幸にも患者さんが亡くなられた場合、ご遺族の理解と承諾を得て、病理解剖を行っています。直接死因を解明し、病気の進行状況や治療効果の判定、臨床上の疑問点を明らかにすることを目的としています。「剖検症例検討会」を毎月1回開催し、今後の治療と診断に役立たせていただいております。

6.細菌検査室

細菌検査室では人から由来する排泄物や体液・血液などから病気の原因となる細菌を検査しています。

院内感染対策・ICT委員会にも積極的に参加し、院内の感染防止に重要な役割を果たしています。

細菌検査・薬剤感受性検査
細菌検査・薬剤感受性検査:生体材料から検出された細菌を検査し、菌種を同定します。細菌感染症に有効な薬剤を選択し、臨床に報告します。
血液培養検査
血液培養検査:血液を培養することによって、敗血症(体の中に細菌感染巣があり、そこから血液中に細菌が侵入する病態)などの重篤な感染症の原因微生物を検査します。
結核菌培養検査
結核菌培養検査:呼吸器感染による結核菌を培養する検査です。
細菌検査室では液体培養法を導入し迅速に結核菌を検出しています。また遺伝子検査(PCR法)を用いることによって確実な検査を行っています。

7.生理検査室

超音波検査などの画像検査を中心とし、心電図検査、呼吸機能検査、脳波検査などを行います。

1)心電図検査

心臓の不整脈や虚血性心疾患など心臓に異常がないか調べる検査です。 安静時心電図検査の他に、運動による負荷を与える負荷心電図検査、24時間連続して記録するホルター心電図検査も行っています。

心電図検査

2)肺機能検査

換気能力、肺活量などの呼吸機能をみる検査です。呼吸とガス交換がスムーズに行われているかどうかを調べる検査です。

肺機能検査

3)超音波(エコー)検査

超音波を利用して、肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓・子宮・卵巣・前立腺・膀胱・乳腺・甲状腺・心臓などの各臓器に異常がないかを調べる画像検査です。最新鋭の機器を導入し、超音波検査士の資格を持った臨床検査技師が検査を担当しています。超音波検査をはじめとする画像診断はがんの早期発見に最も有効な検査です。非侵襲的で痛みもまったくありません。

超音波(エコー)検査

4)脳波検査

脳波検査は、脳から生ずる電位変動を頭皮上の電極から記録するものです。脳腫瘍、脳損傷、てんかん、脳血管障害などの診断に際して必要な検査です。

脳波検査