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遺伝子診療部門


1.遺伝子診療部門について
2.遺伝子診療部門の構成
3.遺伝子検査(解析)について
4.家族性腫瘍外来について

1.遺伝子診療部門について

国立がん研究センター東病院遺伝子診療部門は、東病院で実施される遺伝および遺伝子診療に対応するため、関連する多部門多職種から構成される共通部門です。

本部門が取り扱う内容には
1) 遺伝カウンセリングに関する事項
2) 遺伝子検査に関する事項
3) 遺伝子診療に係る倫理的問題の適正な処理に関する事項
4) 遺伝子診療に係る教育と研修に関する事項
5) 遺伝子診療の情報の管理に関する事項
6)その他、臨床遺伝(子)診療に関する事項
があり、それぞれが管理され、かつ円滑に運営されるために必要な対応を行います。またその対象としては診療に加え柏キャンパスで実施される研究も含みます。

2.遺伝子診療部門の構成

構成図

2017年6月現在の構成者は以下の通りです。
部門長 桑田 健(病理・臨床検査科)
診療担当副部門長 土井俊彦(副院長、先端医療科)
診療担当 原野謙一(乳腺腫瘍内科)
遺伝カウンセリング担当 古川孝弘(乳腺腫瘍内科)
検査・解析担当副部門長 土原一哉(先端医療開発センターTR分野)
臨床検査担当 説田愛弓(病理・臨床検査科併任)
研究解析担当 松本慎吾(呼吸器内科併任)
三牧幸代

3.遺伝子検査(解析)について

遺伝子検査は、ヒトの体を構成する設計図ともいわれるゲノム(DNA)の配列を調べる検査です。がん診療で実施される遺伝子検査には2つのタイプがあります。

一つはがん細胞でのみ生じている遺伝子変異(体細胞変異検査と呼ばれます)を調べる検査で、もう一方は生まれつき持っている遺伝子の配列(生殖細胞系列遺伝子バリアントと呼ばれています)を調べる検査を調べる検査です。
前者はたとえば生まれた後に細胞ががん化する過程で生じたDNAの変化によるもので、たとえば肺腺がんと呼ばれるタイプのがんで見られるEGFRと呼ばれる遺伝子変異などがあります。最近では、そのようながん細胞特異的に生じている遺伝子変異に対した治療薬(分子標的治療薬と呼ばれるタイプの抗がん剤)が開発されており、そのような分子標的治療薬の適応を決めるために遺伝子検査が実施されることが多くなっています。
後者はヒトが生まれながらに持っている遺伝子の配列で、ヒトの体のすべての細胞で認められるものです。この遺伝子配列情報は生涯に特定のがんを発症するリスク判定のために利用されることがあります。このタイプの遺伝子としては、遺伝性乳がん卵巣がん症候群に関するBRCA遺伝子やLynch症候群と呼ばれる大腸癌や子宮内膜癌のリスクにかかわる遺伝子などがあります。また、このような遺伝子の配列(バリアント)は親から子に50%の確率で伝わるため、家系内で共有されている可能性が高くなります。

このため、このような情報は有効的にがんを早期発見するための指標にしたり、最近では予防的治療や分子標的治療薬の対照とすることも検討されています。一方で、このような生殖細胞系列遺伝子バリアントに関する情報は、個人や家族の同定にもつながる個人情報と考えられるようになってきており、その検査や結果の意味を十分理解していただいた上で検査を受けていただく必要があります。このような説明を行う専門外来として家族性腫瘍外来があります。

4.家族性腫瘍外来について

父親や母親、兄弟・姉妹、おじ・おばなどの血縁者(家系内)に「がん」あるいは「腫瘍」の患者が多くみられる疾患を、家族性腫瘍(家族性の「がん」)と呼んでいます。

このようなご家族では、「うちはがん家系だ」などと言われることもありますが、長寿国の日本では2人に1人が「がん」になるため、必ずしも遺伝が関係して「がん」が起きているとは限りません。がんの種類や発生した臓器によりその頻度は異なりますが、遺伝が大きく関与する家族性の「がん」の頻度はがん全体の約5%と考えられています。
診断や治療技術の進歩により、家族歴や必要に応じた遺伝子検査の結果に基づき、家族性腫瘍と診断し、家族性腫瘍に特徴的な多発がんや重複がんの予防、早期発見・早期治療の支援を行なうことが可能になってきました。
一方で、情報量が膨大となりときに情報の質に幅があるため悩みを抱えている方の不安が大きくなる例も見られています。また、家族関係、結婚、出産、就職、保険などに関する悩みが出てくることも少なくありません。

このような遺伝的なご相談に対応するために専門外来である家族性腫瘍外来を開設し、遺伝に関するご相談に対応するための遺伝カウンセリングを実施しています。