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がんゲノム情報管理センター(C-CAT)の役割

国は、がんゲノム医療の実装に向けて、全国どこにいてもがんゲノム医療が受けられるように、がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院(注)からなるがんゲノム医療診療体制の整備を進めています。そして、これらの医療機関で行われる、患者さんお一人おひとりのゲノム解析の結果得られる配列情報および診療情報を集約・保管し、利活用するための機関として、国は2018年6月に「がんゲノム情報管理センター」を国立がん研究センター内に設置しました。がんゲノム情報管理センターは、その英語名Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics の頭文字から、略称で「C-CAT(シー・キャット)」とも呼ばれています。

注:患者さん・ご家族向けリンク集(A)がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院を参照ください。
 

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出典:「がん遺伝子パネル検査(PDF:1.52MB)」を検討する方にご理解いただきたいこと

 

2019年6月に、2種類の「がん遺伝子パネル検査」の保険診療が開始され、検査の際にC-CATへのデータ登録に同意をいただいた患者さんの検査データや診療データの登録が始まっています。C-CATでは、患者さんのお名前を記号に置き換え、直接個人を特定できない形に変換された検査データ(配列情報)や診療情報を受け取り、日本のがん医療のマスターデータベースとなる「がんゲノム情報レポジトリー」を構築し、法令に基づいて安全に管理・運営しています。C-CATではさらに、ゲノム変化の解釈・臨床的意義付けを行うための「がんゲノム知識データベース」を構築し、臨床的な意義づけのされた遺伝子変化の情報に加えて、治験・臨床試験(注)の情報も記載されたC-CAT調査結果をがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院に返却します。がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院では、個々の患者さんに対する治療方針を議論する専門家会議(エキスパートパネル)を設置して、検査会社から返却される検査報告書に加えてC-CAT調査結果を参照しながら、適切な薬剤選択や遺伝性腫瘍の可能性と対応などが検討されます。そして担当医はエキスパートパネルの意見をもとに治療方針を決定します。このように、個々の患者さんの「がん」の診療を支援することが、C-CATの重要な役割です。C-CATへのデータ登録に同意されない場合は、C-CAT調査結果を作成することはできませんが、「がん遺伝子パネル検査」を受けることはできます。

注:患者さん・ご家族向けリンク集(F)臨床試験・治験を参照ください。

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出典:「がん遺伝子パネル検査(PDF:1.52MB)」を検討する方にご理解いただきたいことを改変 

 

C-CAT のもう一つの重要な役割は、C-CATに登録されたデータの一部を、利用を希望する国内外の大学等の研究機関や製薬会社などの企業に提供して、がんについての新たな知見の創出や新規医薬品などの開発を強力に後押しすることです。提供されるデータは予め提供に同意されている患者さんのデータに限られますし、利用目的は医療の発展・向上に貢献する可能性のあるものに限られます。専門の審査会が、利用目的の妥当性、十分な研究や開発の実績・能力を有していること、情報の保管・廃棄などの管理体制等を審査して、提供の可否について判断します。