改善ヒントと解説
B. 職場の雰囲気・コミュニケーション
◆この領域で取り上げる視点
 職場の雰囲気が家族的であったり、コミュニケーションを普段からとっていると、社員が病や大きな問題を抱えたときに、職場や上司、人事労務担当者、経営者に相談しやすくなります。個々のケースに会社が寄り添い適切に支援をすることにより、たとえがんになったとしても治療しながら働けそうと社員が想像できると、生活の見通しが立てやすくなり、スムーズな復職と就労の継続につながります。常日頃から経営者が自らリーダーシップを取り、積極的にコミュニケーションをとりましょう。
1. 普段から、互いの健康状態について気軽に話せる

< なぜ重要か >

 体調不良になると、日常生活、仕事等に大きな影響がでるものです。私たちは生きている以上、誰にでも平等に年を取り、加齢に伴い有病率も上がります。治療しながら就労することは決して他人事ではないのです。
挨拶を交わしながら相手の体調を気遣いねぎらうことで、互いを尊重できるより良い人間関係の構築につながります。

< 改善ヒント(こんな取組みが役立ちます) >

・健康や病気のことについて日常的に話題に上げる
・経営者や人事労務担当者が、がんと診断された社員に対し「困りごとはないか」と声をかけ、話を聞く
・がん検診で二次検査を指示された社員に対し「きちんと精密検査を受けることが大切」と声をかける
・がんを持つ社員の闘病記を社内のイントラネットへ掲載する。(社員の病気の共通理解が深まる)
・がん検診の必要性についてセミナーを開き、社内で病気の予防や早期発見の理解を深める

2. 病気になった時、お互い支えあう雰囲気がある

< なぜ重要か >

 がんに限らず、病気になってから慌てて「病気の社員の治療と就労が両立できるよう助け合いましょう」と呼びかけてもすぐに上手くいくはずがありません。普段から相手を思いやり助け合う温かな雰囲気・風土を社内で醸成していくことが大切です。

< 改善ヒント(こんな取組みが役立ちます) >

・バーベキューや社員旅行などの社内イベントを行い、社員間の交流機会を増やす
・経営者や管理監督者が率先して、社員の体調・様子に関心を持ち、思いやりのある言葉をかける
・「ありがとうカード」などのしくみを取り入れ、互いの気持ちが伝わるように配慮する
・がんと診断された社員が、がん検診や精密検査受診の大切さについて、職場の仲間にアドバイスする

3. 普段から、社員一人ひとりを大切にするという雰囲気がある

< なぜ重要か >

 社員一人ひとりが会社の財産であるという雰囲気があると、社員は承認された感覚が高まり自信を持つので、仕事の満足感や労働意欲も上がり、生産性も向上します。社員に長く働いてもらうためにも、持てる能力を最大限に発揮してもらうためにも、社員を大切にする雰囲気づくりは会社にとって不可欠です。

< 改善ヒント(こんな取組みが役立ちます) >

・社内イベントでは、社員が発案したアイディアを活かして皆で楽しむ
・仕事においても社員の意見を取り入れ、頑張りを評価するなどして、達成感を感じられるよう配慮する
・経営者や上司が率先して、仕事面だけでなく個人生活面を含めて、個々の社員に思いやりのある声かけを行う

4. 家族が病気になった時も、相談できる雰囲気がある

< なぜ重要か >

 親の介護や家族の病気・障がいなどで困っているときも、社員が職場の同僚・上司に相談できる雰囲気があると、社員の安心感が増し早期の問題解決につながります。悩みが解決すると仕事に集中できるようになり、力になってくれた職場への帰属意識も増すでしょう。

< 改善ヒント(こんな取組みが役立ちます) >

・社員はもちろん、家族も元気でいるか気にかけていることを、折に触れて社員に伝える
・社員や家族が困っていることがあれば、いつでも相談してほしいと伝える
・何でもいつでも相談できる相談窓口を設置する
・家族が希望した場合、家族も健康診断やがん検診を受けられるようできる範囲の支援をする

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