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国立がん研究センター

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リンパ腫の検査・診断について

最終更新日:2023年10月17日

前回の動画▷リンパ腫の病気について

検査について

リンパ腫の診断や病型を確定するためのもっとも重要な検査として、リンパ節生検や腫瘍生検があります。その他、病気の広がりや全身の状態を詳しく調べるために、血液検査、X線検査、超音波(エコー)検査、CT、PET/CT検査などの画像検査、骨髄検査(骨髄穿刺・骨髄生検)などが行われます。

リンパ節生検・腫瘍生検

腫れているリンパ節、あるいは腫瘍(病変)の一部または全体を切り取って、採取した組織を顕微鏡で観察して、診断を確定します。
適切な診断を行うため、組織は染色体検査や遺伝子検査にも使用されることがあります。

(参考)国立がん研究センターがん情報サービス「リンパ節生検査

血液検査

白血球、赤血球、血小板などの数値や、肝臓や腎臓などの機能を調べます。リンパ腫では、LDH(乳酸脱水素酵素)の上昇を伴うことがあります。最近、sIL2₋R(可溶性インターロイキン2受容体)の上昇が悪性リンパ腫の腫瘍マーカー*として有用であることが分かってきました。しかし、リンパ腫でもsIL2₋Rの値が変化しないことが多く、逆にリンパ腫以外の原因で変化することもあります。

* 腫瘍マーカー:がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質のことで、がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られる。がんの診断の補助や、診断後の経過や治療の効果をみるための指標として用いられる。
(参考)国立がん研究センターがん情報サービス「腫瘍マーカー検査

画像診断(X線、超音波(エコー)CT、MRI、PET検査)

  • 胸部X線検査:もっとも一般的な画像検査で、胸(むね)のリンパ節の腫れや、肺の病変の有無が分かります。
  • 腹部超音波(エコー)検査:超音波の反響を治療して、おなかの中のリンパ節の腫れや、肝臓、腎臓などの臓器の異常などを調べます。患者さんの体格によっては分かりにくいことがあります。
  • CT検査:X線を使用して、体の断面を画像にして病変の大きさや広がりを調べます。しばしばヨード造影剤を注射して行います。
  • MRI検査:磁気を発生させ、体の内部をさまざまな方向から画像にして観察します。放射線による被ばくの心配はありません。
  • PET検査:放射性物質を含むブドウ糖によく似た薬剤を注射し、全身各臓器への薬剤の取り込みを調べる検査です。がんの広がりを把握して病期の診断に用いるほか、治療効果の判定や再発の確認などにも用いられることがあります。

(参考)国立がん研究センターがん情報サービス「X線検査」「超音波(エコー)検査」「CT検査」「MRI検査」「PET検査

骨髄検査(骨髄穿刺、骨髄生検)

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骨髄は、白血球、赤血球、血小板などの血液細胞をつくる場ですが、患者さんによっては骨髄にリンパ腫の細胞が及んでいることがあります。これを調べるために行います。骨髄が主な病変である場合には、骨髄検査によってリンパ腫の診断や病型の確定が可能となります。

骨髄検査では、腸骨(腰の骨)などから骨髄液を採取(骨髄穿刺)、もしくは骨髄組織を採取(骨髄生検)して、そこに異常細胞がいないかどうかを調べます。顕微鏡での観察の他、細胞の表面に出ているマーカー(腫瘍の存在や特徴をあらわす目印)やリンパ腫細胞の染色体の異常を調べる染色体検査などを行うこともあります。これらは病型を決める際に重要な情報となります。

(参考)国立がん研究センターがん情報サービス「骨髄検査

病期(ステージ)について

悪性リンパ腫の分類としては、世界保健機関(WHO)の分類が広く用いられています。この分類では、悪性リンパ腫を、B細胞リンパ腫、T/NK細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫の3種に大別しています。ホジキンリンパ腫は、ホジキン細胞などの特徴的な細胞が認められます。一方、非ホジキンリンパ腫は、特徴的な組織像を持たないリンパ腫で、どの細胞ががん化したかによって、B細胞リンパ腫かT/NK細胞リンパ腫かに分類されます。日本人の悪性リンパ腫の9割以上は、非ホジキンリンパ腫であるといわれています。非ホジキンリンパ腫は、病気の進行の速さや激しさ(悪性度)によって、3つに分類されます。 
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がんの進行度を示す病期(ステージ)分類では、他の固形がんではTNM分類と呼ばれる病期分類を用いるのに対し、悪性リンパ腫で固有の病期分類が用いられています。これまで使用されていたAnn-Arbor分類に対し、近年ではAnn-Arborの修正版(Lugano分類: PET-CTを使って病期分類を行います)が広く使用されています。進行度によって、I期、II期、III期、IV期の4つに分類されます。病期によって、治療法を選択したり、予後を予測したりするため、検査によって正確な病期を判定することが重要です。
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