コンテンツにジャンプ
希少がんセンター

トップページ > さまざまな希少がんの解説 > 特殊型乳がん

特殊型乳がん

更新日 : 2021年4月8日

公開日:2021年1月6日

特殊型乳がんについて

乳房に発生した腫瘍のことを乳腺腫瘍といい、そのうち悪性の上皮性腫瘍を乳がんといいます。がん細胞が乳管や小葉内だけで増える場合を非浸潤癌といい、乳管や小葉の膜を破って外に出ている場合を浸潤がんと呼びます。浸潤がんはさらに組織型に応じて浸潤性乳管がんと特殊型に分類され、特殊型は浸潤がんの約10%と報告されています。特殊型は更に組織型に応じて、浸潤性小葉がん、管状がん、篩状がん、粘液がん、髄様がん、アポクリンがん、化生がん、浸潤性微小乳頭がん、分泌がん、腺様嚢胞がんなどに分類されます。特殊型では、組織型の特性に基づいて薬物療法を選択することが望ましいとされていますが、患者数が少ないためランダム化比較試験はほとんどなく、確立された治療法はありません。以下、特殊型の中でも主な組織型について解説します。

尚、結合織および上皮性混合腫瘍と考えられる乳腺悪性葉状腫瘍は別途解説しています。

浸潤性小葉がん

浸潤性小葉癌の発生頻度は乳癌全体の約5%で、50歳以降で好発します。浸潤性乳管がんと比べて予後は比較的良好とされていますが、晩期の再発症例が多いとも言われています。ホルモン治療や化学療法などの薬物治療は、通常の浸潤性乳がんに準じて行うことが推奨されています。

粘液がん

粘液がんの発生頻度は乳がん全体の約3%です。粘液産生を特徴とし、ほぼ腫瘍全体が粘液状の病巣で占められるものをいいます。粘液がんはリンパ節への転移が少ないことから比較的予後は良好とされていますが、リンパ節転移例では他の癌と同様で必ずしも予後が良いとはいえません。ホルモン受容体陽性の場合はリンパ節転移の有無に応じて内分泌療法±化学療法を行い、ホルモン受容体陰性の場合は浸潤性乳管癌に準じた薬物療法が推奨されています。

アポクリンがん

アポクリンがんの発生頻度は乳がん全体の約1%です。予後は通常型の浸潤性乳管がんとあまり変わらないとする報告が多く、薬物療法は通常の浸潤性乳管がんに準じて行うことが多いです。

髄様がん

髄様がんの発生頻度は乳癌全体の約0.3% です。ホルモン受容体陰性、HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブ乳癌が多く、薬物療法が浸潤性乳管がんに準じて行うことが多いです。

管状がん

管状がんの発生頻度は乳がん全体の約0.2%です。ホルモン受容体陽性でかつ腋窩リンパ節転移陰性では予後良好であり、術後の薬物療法を行わないこともあります。ホルモン受容体陰性の場合は通常の浸潤性乳管がんに準じた薬物療法が推奨されます。

腺様嚢胞がん

腺様嚢胞がんの発生頻度は乳癌全体の約0.1%です。ホルモン受容体陰性、HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブ乳がんの所見を示す症例が多いにも関わらず、10年生存率は約95%と極めて予後良好であることが特徴です。そのため、リンパ節転移が陰性であれば薬物療法を行わないこともあります。

 

執筆協力者

米盛 勧(よねもり かん)
  • 希少がんセンター 成人の薬物療法担当 米盛 勧(よねもり かん)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科 先端医療科
下井 辰徳(しもい たつのり)
  • 希少がんセンター 成人の薬物療法担当 下井 辰徳(しもい たつのり)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科
須藤 一起(すどう かずき)
  • 希少がんセンター 成人の薬物療法担当 須藤 一起(すどう かずき)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科 先端医療科
小島 勇貴(こじま ゆうき)
  • 小島 勇貴(こじま ゆうき)
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 腫瘍内科 
新垣 誉子(あらがき もとこ)
  • 新垣 誉子(あらがき もとこ)
  • 国立がん研究センター中央病院 レジデント


 

希少がんホットラインカード