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口腔がん(含 舌がん)(こうくうがん)

更新日 : 2021年4月6日

公開日:2019年8月8日

口腔がんとは

口腔(こうくう)がんとは、頭頸部がん(鎖骨より上部に発生するがんで、脳と眼球の腫瘍を除いたがんの総称)の一部で、口(口腔)に発生するがんの総称です。口腔がんも口の中の部位によって舌がん(写真1)、口腔底(口底)がん、頬粘膜がん(写真2)、下歯肉(下顎歯肉)がん(写真3)、上歯肉(上顎歯肉)がん(写真4)、硬口蓋がん、に細かく分類されます。(http://www.jshnc.umin.ne.jp/general/section_01.html)(1)
病理組織型のほとんどは扁平上皮がんです。また、病気の進行により首のリンパ節に転移することが知られています。 

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 (写真1)             (写真2)

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 (写真3)             (写真4)                     

主な発生要因と症状

発生要因としては習慣的な喫煙や飲酒、齲歯(虫歯)や不適合義歯(合わない入れ歯)による慢性刺激、口腔内不衛生などが挙げられます。主な自覚症状は口の中の異物感、硬結(しこり)、しみる感じ、なかなか治らない口内炎、入れ歯が合わないなどがあります。進行すると、痛み、口の開けづらさ、飲み込みづらさ、出血、首のしこりなどが現れます。口の中は自分自身で十分観察できますので、気になった場合はまずは鏡で口の中を観察し、触ってみましょう。硬いしこりとして触れる場合は口腔がんの可能性があります。 

診断と治療

確定診断のためには腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で確認する病理検査が必要です。病変の浸潤や転移を確認するために、CT,MRI検査などの画像検査を行います。治療は基本的に手術が最も確実とされます。すなわち、病巣(原発巣)の切除と必要な範囲の首のリンパ節の切除(頸部郭清術)です。早期のものであれば機能障害もあまりなく、治癒が十分見込めます。原発巣の切除範囲が広範囲に及ぶ場合は、体の他の部位からの組織(皮弁)移植も必要になります。(写真1(a)術前,(b)術後)この場合は術後に嚥下機能の低下をきたしますので、嚥下リハビリテーションが必要となります。

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写真1(a)術前              写真1(b)術後


以上の説明のように、他の希少がんとは異なり、診断や治療方法について整備されていると言えます。治療経験をもった施設(がん専門施設、大学病院、その他)の頭頸部外科であれば日本全国ほぼ同等の治療が受けられます。

 

舌がんについて

舌がんは口腔がんの中で最も頻度が高いです。診断、主な治療方法についての詳細は国立がん研究センターがん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/cancer/tongue/treatment.html)(2)をご覧ください。早期でも首のリンパ節に転移する可能性があることが知られています。特に初診時に画像検査上ではリンパ節の転移がない方でも、初回手術の後に遅れてリンパ節転移が明らかになってくることが一定頻度であります。 

現時点では舌がんT1-2N0の方に対し、原発巣切除と同時に予防的に頸部郭清を行うか、初回は原発巣のみ切除し、首のリンパ節転移が明らかになった時点で頸部郭清を行うのとどちらがよいかは明らかになっておらず、外科医の経験により判断されています。2015年にインドの施設から予防的に頸部郭清を行った方が治療成績がよいと報告されました(3)が、画像診断、術後診察の頻度など日本の診療レベルと異なっており、このまま日本の医療の当てはめてよいかはまだ結論に至っておりません。そこで、現在日本の主要な頭頸部がん治療施設による多施設共同研究(Japan Clinical Oncology Group(日本臨床腫瘍研究グループ)頭頸部がんグループ)により「StageI/II舌癌に対する予防的頸部郭清省略の意義を検証するランダム化比較第III相試験」(4)で検証を行っております。

 動画

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(収録日:2019年3月15日)


参考文献

1) 日本頭頸部癌学会ホームページ:http://www.jshnc.umin.ne.jp/general/section_01.html

2) 国立がん研究センターがん情報サービス:https://ganjoho.jp/public/cancer/tongue/treatment.html

3) D’Cruz AK、Vaish R, Kapre N, et al. Elective versus Therapeutic Neck Dissection in Node-Negative Oral Cancer. N Engl J Med. 2015: 373; 521-529.

4) Japan Clinical Oncology Group(日本臨床腫瘍研究グループ)ホームページ試験一覧:http://www.jcog.jp/basic/clinicaltrial/index.html

世界頭頸部がんの日

執筆協力者

小村 豪
  •  小村 豪(おむら ごう)
  •  国立がん研究センター中央病院
  •  頭頸部外科


吉本 世一 (よしもと せいいち)
  •  希少がんセンター 吉本 世一(よしもと せいいち)
  •  国立がん研究センター中央病院
  •  頭頸部外科


小林 謙也
  •  小林 謙也(こばやし けんや)
  •  国立がん研究センター中央病院
  •  頭頸部外科

 

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