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国立がん研究センター 中央病院

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(第22回 希少がんMeet the Expert)

「小児がんの治療」荒川歩・菱木知郎
(第22回 希少がんMeet the Expert)

更新日 : 2021年10月25日

公開日:2019年10月4日
  • 日時:2018年6月1日金曜日 19時から20時30分
  • 場所:国立がん研究センター中央病院 希少がんセンター待合
  • 講師:荒川 歩 国立がん研究センター希少がんセンター/中央病院小児腫瘍科
  • 講師:菱木 知郎 中央病院小児腫瘍外科/国立成育医療研究センター小児がんセンター腫瘍外科

動画

 第22回小児がんの治療開会挨拶2第22回小児がんの治療講演:荒川 歩2第22回小児がんの治療講演:菱木 知郎2第22回小児がんの治療ディスカッション2

第22回アンケート-2

開催報告

希少がんを知り・学び・集う「希少がんMeet the Expert」の第22回セミナーが、「小児がんの治療」をテーマに2018年6月19日に開かれ、患者さん・ご家族、医療関係者など32人が参加しました。

セミナーは、加藤陽子(希少がんセンター)による司会のもと、西田俊朗(中央病院院長)による開会の挨拶で始まりました。当院では小児を対象とした治験も進み始めており、西田からは、「国立成育医療センターと協力して、治療の開発を進めていきたい」と話がありました。続いて、加藤が本日の流れを説明し、今回のセミナーに協力している6団体を紹介しました。

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    開会挨拶

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    司会:加藤 陽子

最初は、荒川歩(希少がんセンター/中央病院小児腫瘍科)による講演で、小児がんの治療について内科的な立場から、小児がんの特徴、白血病などの造血器腫瘍と固形腫瘍の内科的治療、また再発小児がんについて解説されました。

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講師:荒川 歩

一般的に子どもは抗がん剤治療に強いため、強度の強い化学療法を繰り返すことが可能です。さらに、小児がんには抗がん剤が効きやすいがんが多いことなどから、「抗がん剤治療後にがんが再発せずに過ごせる人の割合が多かったり、転移性のがんであっても高い生存率を維持するがんの種類もある」という話がありました。薬剤開発の今後の展望としては、がん細胞に遺伝子異常がある場合の分子標的治療を小児に対しても行えるような計画について示されました。

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講師:菱木 知郎

2つめの講演は、菱木知郎(中央病院小児腫瘍外科/国立成育医療研究センター小児がんセンター腫瘍外科)が外科医の立場から小児がんの治療を解説しました。 子どもの固形腫瘍の特徴についての解説に続き、手術については、小児がんのそれぞれの疾患ごとに、化学療法や放射線治療の効きやすさ、治療で目指すべき根治度が異なることなどが順に説明されました。実際の治療では、術後予想される機能障害と根治度のバランス、身体の発達への影響など、さまざまな考慮のうえに判断がされています。リスク分類に応じた集学的治療について、神経芽腫や肝芽腫の例をもとに、合併症を回避しつつ腫瘍を最大限に取り除く手術計画など、症例画像とともに治療選択の筋道がわかりやすく解説されました。

ディスカッションは、講師の荒木歩、菱木知郎のほか、中央病院小児腫瘍外科の川久保尚徳、NPO法人血液がん患者コミュニティ「ももの木」の宮城順さん、司会の加藤陽子が登壇し、がん情報サイト「オンコロ」の柳澤昭浩による進行のもと、参加者から事前に寄せられた質問に答えるかたちで行われました。

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    ディスカッションの様子

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    川久保 尚徳(中央病院小児腫瘍外科)

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    小児のころの血液がんの体験を語る 宮城 順さん

「胚細胞の遺伝子異常が遺伝する原因」「治療による性機能や妊孕性への影響について情報をどう得るか」「年月を経て生じる治療による障害(晩期障害)を軽減する工夫について」「陽子線治療の可能性について」などの質問に対して丁寧な回答がされました。小児のがんに対する治療開発への期待を共有し、会場全体からの拍手のなかで、セミナーは閉会しました。

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    質疑応答

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    加藤 陽子

    • 希子(Mareko)