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がん免疫微小環境の評価方法の確立

がんの免疫微小環境はがんの生物学的特性と密接な関係にありとても重要であり、またがん免疫微小環境を評価することで、様々な治療に対する抵抗性・感受性を推定し患者毎に適切な治療法の選択を可能にすることが期待されている。

われわれはFFPE(formalin-fixed paraffin-embedded)組織の免疫組織化学に使用可能な転写因子FOXP3に対する抗体を世界に先駆けて確立し[1]、がん組織に浸潤する制御性T細胞を同定して臨床病理学的意義を明らかにした。以後、膵がんを中心に肝がん、胆嚢がん等の様々ながん種における免疫細胞浸潤の臨床病理学的意義を細胞種・浸潤様式・発現分子種毎に評価している[2,3]。臓器によって組織構築や発生するがん種が違うことに似て、がん種により免疫細胞浸潤の評価方法や臨床的意義が違い、がん種毎の検討が必要である。さらに免疫微小環境に対する低酸素状態の影響[4]や、3次リンパ装置形成とがん浸潤あるいは血管状態との関係[5]などのがん微小環境と免疫系との相互作用についても評価方法を開発している。

がん免疫微小環境の特性を示すマーカー探索のため、微小環境形成に関わる液性因子等の探索研究も行っている。

研究01

研究02

図(上)多様な免疫細胞浸潤の免疫組織化学による同定、(下)免疫細胞浸潤の患者予後との関係(Kaplan-Meier生存曲線)。

  • [1] Hiraoka N et al., Clin Cancer Res 12;5423-34:2006.
  • [2] Hiraoka N et al., Gastroenterology 140;310-21;2011.
  • [3] Ino Y et al., Br J Cancer 108;914-23:2013.
  • [4] Ino Y et al., PLoS One 8;e55146:2013.
  • [5] Hiraoka N et al., Br J Cancer 112;1782-90:2015.