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医療用麻薬

医療用麻薬

「痛み止め」として麻薬をもらいましたが怖いので飲みたくありません。痛みを我慢していてもよいでしょうか?

痛みがあることで、夜眠れない、イライラする、食事がおいしく食べられない、やりたいことが出来ない、など様々な問題が生じていないでしょうか。痛みは患者さんの身体だけでなく、日常の生活やお仕事にも悪影響を及ぼします。痛みを我慢することは身体が辛くなるだけでなく、患者さんの生活の質(QOL)をも下げてしまうのです。
さらに、痛みを我慢することは、身体的にも、精神的にも、ストレスを受け続けることになります。これらのストレスは痛みを増強させる方向に働きます。痛みを我慢することがさらに痛みを強くさせる悪循環を引き起こすのです。
日本では古来より痛みを我慢することが美徳とされてきました。しかし、病気による痛みは我慢しても治りません。むしろ痛みに合せた適切な治療を早期から行うことで、身体を楽にし、生活の質を高めた方が、患者さんご自身だけでなく周囲のご家族にとっても良いのではないでしょうか。

医療用麻薬 図

麻薬中毒が心配です

医療で使用する麻薬は医療用麻薬とよばれており、気分の高揚や快感をもたらす覚せい剤とは異なるものです。医療用麻薬は「痛み止め」として優れた作用を有していますが、麻薬としての作用も持ち合わせているため、取り扱いについては法律による制限を受けています。
医療用麻薬は100年以上前から痛み止めとして使用されていますが、麻薬としての作用もあることから、通常の「痛み止め」ではなく、いわゆる末期に使用する薬とされてきました。しかし、長年の経験や研究から麻薬中毒を起こさずに痛み止めとして使用する方法が分かってきました。そこで1986年に国連の世界保健機構(WHO)が医療用麻薬を用いてがんによる痛みを取り除く方法を発表しています。この方法は5つの原則から成り立っており、医師であれば誰でも出来るものです。現在、全世界に普及していますが、この方法で麻薬中毒が増えたとの報告はありません。
当院でもこの方法による痛みの治療を実施しております。医師から指示された通りにお薬をお使いください。薬への不安や気になる症状がある場合はいつでも医師・薬剤師・看護師にご相談ください。

「痛み止め」にはどのような種類があるのですか?

痛みの治療は痛みの種類や程度によって「痛み止め」を使い分けます。大きく分けると次の3つになります。

抗炎症薬

炎症を起こしている部位に作用し、炎症を鎮めることで痛みを抑えるお薬です。傷や腫れなどの炎症による痛みに有効です。鎮痛効果は弱いものから強いものまでありますが、投与量を増やしすぎると副作用も強くなってしまうため、鎮痛効果には上限があります。
(ロキソプロフェン錠、ボルタレン錠・坐薬、ナイキサン錠 など)

医療用麻薬

痛みを感じる中枢神経(脳やせき髄など)に作用して痛みを抑えます。鎮痛効果は大きく、強い痛みにも有効です。抗炎症薬のような投与量の上限がないため、痛みが強くなった場合でも投与量を上げることで痛みを取り除くことができます。主な副作用として便秘、吐き気、眠気があります。
(MSツワイスロンカプセル、モルペス細粒、オプソ内服液、オキシコンチン錠、オキノーム散、デュロテップMTパッチ など)

鎮痛補助薬

医療用麻薬 図

本来は「痛み止め」ではありませんが、ある種の痛みやしびれに対してそれを緩和させる作用をもったお薬です。効果については個人差が大きく、通常、「痛み止め」と併用して使います。
抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、副腎皮質ホルモン薬などが鎮痛補助薬として使われます。
(ガバペン錠、アモキサンカプセル、メキシチールカプセル、デカドロン錠 など)

痛みの治療では患者さんの痛みに合せたお薬を選択することが重要です。そのためには患者さんからの痛みに関する情報(いつ、どこが、どのように痛むのか)が必要です。診察時には遠慮せず医師に痛みを訴えるようにしてください。

更新日:2023年3月30日