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国立がん研究センター

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口腔がんの病気について

最終更新日:2023年2月24日

口腔がんとは?

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口腔(口の中)には、唾液を分泌して食べ物を味わう、噛む、飲み込む、言葉を発するなどの重要な機能があります。口腔内は、歯を除いて表面が扁平上皮(へんぺいじょうひ)からなる粘膜で覆われています。そのため、組織型分類(がんの組織の状態による分類)では、口腔がんのほとんど(95%)が粘膜組織から発生する扁平上皮がん*に分類されます。

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口腔がんには、舌にできる舌がんをはじめ、歯ぐきにできる歯肉がん、頬の内側にできる頬粘膜(きょうねんまく)がん、舌と下側の歯ぐきの間にできる口腔底(こうくうてい)がん、上あごにできる硬口蓋(こうこうがい)がん、くちびるにできる口唇(こうしん)がんなど、様々な種類があります。これらのなかで、日本人にもっとも多いのは舌がんで、口腔がん全体の約55%を占めています。

日本では、口腔がんは男性が女性の約2倍で、60~70歳代に多いという特徴があります。発生頻度は全がんの約1%とそれほど高くはありませんが、罹患率、死亡率とも年々増加傾向にあります。

* 扁平上皮がん:体を構成する組織のうち、扁平上皮とよばれ、体の表面や食道などの内部が空洞になっている臓器の内側の粘膜組織から発生するがんです。口の中、舌、のど、食道、気管、肺、肛門、外陰部、腟、子宮頸部などに発生します。
(参考)国立がん研究センターがん情報サービス「扁平上皮がん

原因

口腔がんの原因はほかのがんと同様に、まだ解明されていない点も多くありますが、喫煙、飲酒、口腔内の不衛生、炎症などが関係しているといわれています。

  • 口腔内の不衛生
  • 飲酒
  • 喫煙
  • 炎症



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最大の危険因子は喫煙です。タバコの煙には、多くの発がん性物質が含まれており、日本人を対象とした報告では、非喫煙者と比べて喫煙者(一日喫煙箱数×喫煙年数≧60)の口腔がんの罹患リスクは5.2倍とされています。

飲酒は、喫煙に次ぐ危険因子です。日本人を対象とした報告では、非飲酒者と比べて飲酒者(1日平均2合以上)の口腔がんの罹患リスクは3.8倍とされています。また、飲酒と喫煙の影響が足し合わさると、罹患リスクがさらに上昇することも分かっており、飲酒量が少なく喫煙なしの人と比べて、飲酒量が多く喫煙する人の口腔・咽頭がんの罹患リスクは4.1倍といわれています。(がん対策研究所多目的コホート研究より)

また、歯磨きをしていない、口のなかが乾燥している、治療していない虫歯があるなど、口腔内が細菌などで汚染されていると口腔がんを発症しやすくなります。

症状

口腔がんでは、がんができた部分の粘膜が赤くなったり、白色に変色したり、形が変わったりします。口の中に硬いしこりや腫れができることもありますが、初期にはほとんど痛みや出血を伴わないため、口内炎と思い込んで、そのまま放置してしまうケースも少なくありません。2週間しても口内炎がなかなか治らないような場合は、注意が必要です。

口腔がんでは、粘膜の赤色や白色への変色やただれ、しこりのほか、刺すような強い痛みを伴うこともあります。進行すると口が開けにくい、食事が飲み込みにくい、話しにくいなどの様々な症状があらわれます。あごの下や首筋にできた無痛性のしこり(リンパ節)はリンパ節転移である可能性があるため、要注意です。

口腔がんは、体の中にできるがんと違って、自分で簡単にチェックすることができます。ふだんから鏡で口の中をよく確認し、異変があれば、耳鼻咽喉科や口腔がんの診療を行っている歯科口腔外科などを早めに受診するようにしましょう。

また、口腔がんは、咽頭・喉頭がんのほか、食道がんなどの上部消化管がん、肺がんと重複することが多いことが知られており、治療前だけでなく治療後にも、こうしたがんの検査が必要です。

 

口腔がんの前がん病変である「口腔白板症」とは? 

白板症は、舌や歯肉、頬粘膜などによくみられる白斑状のざらざらした病変で、この病変の約3~14.5%は、将来がん化するといわれています。こうした前がん病変(細胞が現状ではがんとはいえないが、将来がんに進行する確率が高い状態)としては、紅色(赤色)のつるっとした病変が特徴の紅斑症(紅色肥厚症)もあります。


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