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肛門がん(こうもんがん)/ 肛門管扁平上皮がん(こうもんかんへんぺいじょうひがん)

更新日 : 2021年8月25日

公開日:2021年2月15日

肛門がんについて

肛門がんはお尻の出口である肛門(正しくは肛門管)に発生する極めて稀ながんです。日本における頻度の詳細は分かっていませんが、全悪性腫瘍の0.1%、大腸がんの中でも2%程度であるとの報告があります(2016年の罹患者数は1098人)。また、日本では女性に多いと報告されています。
肛門には様々な組織型の腫瘍が発生することが知られています。日本では腺がんが最も多く、扁平上皮がんの頻度は2割程度ですが、欧米では肛門がんのほとんどが扁平上皮がんであると報告されています。腺がんと扁平上皮がんでは、がんの性格が大きく異なるため、治療方針も大きく異なります。このページでは、肛門がんの中でも『扁平上皮がん』について主に説明します。なお、腺がんには、大腸がん(がん情報サービス)(ほとんどが腺がんです)に準じた検査・治療が行われます。

症状について

主な症状は、排便時の違和感、肛門の腫脹、痛み、血便ですが、約2割の方は無症状です。

診断について

肛門がんの診断には、大腸内視鏡検査で病変の局在を確認し、原発から組織検査(病理診断)することが必須となります。病理診断の結果をもとに組織型(扁平上皮がんであるかどうか)を確定します。

また、CT、MRI、PET /CTなどによる画像検査を行うことで、病気の広がり(病期:ステージング)を確認します。病期は、腫瘍の大きさ(T因子)、リンパ節転移の有無(N因子)、遠隔臓器転移の有無(M因子)によって決まります。

表1. 肛門がんの病期(ステージング):UICC-TNM分類 第8版

 肛門がんの病期(ステージング):UICC-TNM分類 第8版

治療について

肛門管扁平上皮がんのステージIからIIIに対しては、抗がん剤治療と放射線治療を組み合わせた化学放射線療法が世界的な標準治療(一番にお勧めする治療)です。
ステージIからIIIのほとんどの場合は、外科的切除により、がんの全てを取り切ることが出来、化学放射線療法と外科的切除の治療成績は同程度であると考えられています。一方で、外科的切除では、永久人工肛門の造設が必須となるため、化学放射線療法の感受性が高い肛門管扁平上皮がんには、肛門を温存できる化学放射線療法が標準治療として確立しています。また、化学放射線療法後にがんが残っている場合は、外科的切除が検討されます。ごく早期(ステージIの一部)の場合は、内視鏡治療が行われることもあります。
ステージIVまたは再発の場合は、がんの進行を抑えることを目的とした抗がん剤治療を行います。一次治療として、カルボプラチンとパクリタキセル併用療法、二次治療として免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)が、米国のガイドラインでは推奨されていますが、日本では肛門がんに対して適応承認は得られていません。

肛門扁平上皮がんの患者さんへ

このように、肛門管扁平上皮がんは極めて稀ながんですが、標準治療(一番にお勧めする治療)は確立しています。また、現在もより良い治療を目指した治療開発(適応拡大を目指した治療開発等)が行われています。
肛門管扁平上皮がんに関してご質問があれば、希少がんセンターにお気軽にお問い合わせください。


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「希少がんホットライン」カード_表 202101

執筆協力者

高島 淳生(たかしま あつお)
  • 国立がん研究センター中央病院 高島 淳生(たかしま あつお)
  • 消化管内科