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国立がん研究センター 中央病院

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内視鏡検査・治療(ないしきょうけんさ・ちりょう)

更新日 : 2021年10月22日

公開日:2014年4月28日

上部消化管内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査とは、内視鏡(ビデオスコープ)を使って、咽頭の一部、食道・胃・十二指腸を内側から直接的に観察する検査のことで、一般には「胃カメラ」と呼ばれています。検査を行う際には、喉の麻酔をした後に内視鏡を口(あるいは経鼻内視鏡では鼻)から入れて観察を開始します。色素を撒いたり、特殊な光による観察を追加したりすること、さらには病変から一部組織を取る(生検)こともあります。通常の上部消化管内視鏡検査(スクリーニング)は6分から8分程度で終了しますが、必要に応じては10分以上かかる場合もあります。検査が辛い場合は静脈麻酔を使って検査を行うことが可能ですので、検査担当医にご相談ください。

上部消化管内視鏡検査の画像

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査とは、腸管洗浄剤を服用して大腸を洗浄した後に、肛門から内視鏡(ビデオスコープ)を挿入して、直腸から盲腸(回盲部部)までの大腸全体を内側から直接的に観察する検査です。より詳しく見るために、色素を撒いたり、拡大観察をして表面の詳細な観察を行ったり、特殊な光による観察を追加したりすることがあります。また、病変から一部組織を取り(生検)、組織診断を行うこともできます。病変によっては、その場で日帰り内視鏡治療(ポリペクトミーや粘膜切除術(EMR))が可能な場合もありますが、その場合は治療後1週間から10日間は、食事や日常生活の制限(お酒、運動、旅行を控える)が必要となります。通常の大腸内視鏡検査は20分程度で終わり、ほとんどの場合大きな苦痛もありませんが、開腹手術後などで腸が癒着している方や腸の長い方は、多少の苦痛を伴うことがあります。その場合は静脈麻酔を使用して検査を行うことが可能ですので、検査担当医にご相談ください。

カプセル内視鏡検査

小腸カプセル

カプセル内視鏡検査とは、大きさ26×11ミリメートルのカプセルの形をした小さな内視鏡です。自分で口から飲み込み、消化管の動き(蠕動)によって肛門の方へ移動しながら内部を撮影します。食道から始まり、胃、十二指腸、小腸、大腸を通って肛門から排泄されますが、小腸カプセルによる観察に適しているのは、深部十二指腸と小腸のみです。カプセルによって撮影された画像は、体外のデータレコーダーに転送、保存されます。カプセル内視鏡は使い捨てであり、検査後は破棄します。検査時に苦痛を伴うことはありません。検査開始2時間後からお水、4時間後から軽い食事をとることができます。小腸カプセル内視鏡検査は外来で行う検査です。カプセルを飲み込んだ後は、機器をつけたまま帰宅し、翌日に機器を持って再来院していただきます。小腸カプセルで病変が見つかった場合などには、後日必要に応じて、ダブルバルーン内視鏡という特殊な内視鏡を用いて検査や治療を当院で行うことができます。

小腸カプセル内視鏡

大腸カプセル

当院では大腸カプセル内視鏡検査も施行しています。大腸カプセル内視鏡とは、両端に小型カメラを内蔵した、長さ31ミリメートル、幅11ミリメートルのカプセル型の内視鏡で、口から飲み込み、大腸を通過しながらその内部を撮影することができます。「大腸内視鏡を実施したが、何らかの理由で盲腸まで到達できなかった場合」または「大腸内視鏡は実施していないが、明らかに大腸内視鏡の挿入困難が予測される場合」に適応となります。

超音波内視鏡

超音波内視鏡検査(Endoscopic Ultrasound: EUS)とは専用の内視鏡や器具より出る超音波を用いて「病変が胃や腸、食道(消化管)の壁のどこまで及んでいるか」「粘膜の下にある病変は壁のどの層から出ているか」「胃の隣にある膵臓にある病変はどんなものか」など通常の内視鏡では見ることができないものを診断する検査です。またそのような技術を用いて直接組織を採取することが難しい病変から針を刺して組織を採る超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)なども行っています。EUSは月、金の週2回午前中にて、EUS-FNAは入院にて随時行っています。

内視鏡的切除術

わが国において、リンパ節転移のない早期消化管がんに対する治療は、内視鏡的切除術が選択されています。また大腸神経内分泌腫瘍などのがん以外の病変にも内視鏡治療が選択されることがあります。内視鏡治療は、体に対する侵襲が低く、消化管の機能温存ができること、術後の回復の早いことなどから、優れた治療法として広く普及しています。ここでは、内視鏡治療の代表的な2種類の方法(内視鏡的粘膜切除術:EMR、内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)を紹介いたします。病変の大きさ・組織型・存在部位など、様々な条件を考慮した上で、より適した方法を選択します。

内視鏡的切除術

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

病変の下(粘膜下層)に、生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウム液などを注入して人工的な膨らみを作り、腫瘍を持ち上げた後に、ワイヤーでできた電気メス(スネア)で縛って切除する方法です。治療時間が短く、技術的には比較的容易な治療方法であり、食道の小さな病変や十二指腸の病変、小から中程度(2センチメートル以下)の大きさの大腸腫瘍などが良い適応です。キャップなどを用いた方法を行うこともあります。頻度は少ないですが出血や穿孔の危険性があることから、上部消化管や小腸のEMRは3泊から6泊の入院で行います。大腸EMRは、通常は外来で施行可能ですが、大きな病変は3泊から4泊の入院で行います。

大腸EMR

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

EMRによる技術的限界を補うために当施設で開発された治療方法です。EMRと比較すると、手技はやや難しく、治療時間も長くなりますが、EMRでは一括切除できないような大きな病変を一括で摘除することができます。病変の下(粘膜下層)に、生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウム液などを注入して人工的な膨らみを作り、腫瘍を持ち上げた後に、専用の高周波ナイフを用いて病変周囲の粘膜を切開し、粘膜下層を剥離して病変の切除を一塊で行う方法です。ESDは臓器により5日から1週間前後の入院が必要です。

大腸ESD

斎藤 豊
  • 国立がん研究センター中央病院 斎藤 豊(さいとう ゆたか)
  • 内視鏡科 消化管内視鏡
角川 康夫
  • 国立がん研究センター中央病院 角川 康夫(かくがわ やすお)
  • 内視鏡科 消化管内視鏡
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  • 国立がん研究センター中央病院 吉永 繁高(よしなが しげたか)
  • 内視鏡科 消化管内視鏡
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  • 国立がん研究センター中央病院 阿部 清一郎(あべ せいいちろう)
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  • 国立がん研究センター中央病院 鈴木 晴久(すずき はるひさ)
  • 内視鏡科 消化管内視鏡
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  • 国立がん研究センター中央病院 坂本 琢(さかもと たく)
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  • 国立がん研究センター中央病院 野中 哲(のなか さとる)
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  • 内視鏡科 消化管内視鏡
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  • 国立がん研究センター中央病院 関口 正宇(せきぐち まさう)
  • 内視鏡科 消化管内視鏡
高丸 博之
  • 国立がん研究センター中央病院 高丸 博之(たかまる ひろゆき)
  • 内視鏡科 消化管内視鏡