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連携大学院生インタビュー 山本 雄介

山本 雄介

山本 雄介

現職 国立がん研究センター研究所 主任研究員

NCC在籍期間 2003年4月から2008年3月、2015年から現在

指導者 落谷孝広 プロジェクトリーダー(当時 独立室長)


研究所に来るきっかけ

研究所に来た当時、私は早稲田大学教育学部理学科生物学専修の学部4年生でした。生物学専修の加藤尚志教授は以前に血小板を増殖させる因子の研究(トロンボポエチンの精製)を行っており、線維芽細胞増殖因子4(FGF4)による血小板増加の研究をしていた落谷先生とお知り合いでした。早稲田大学のラボが立ち上げ直後だったこともあり、色々な技術を学んできてほしいということで、大学から出向という形で研究所に来ることになりました。落谷研には分子生物学的な手法を学ぶということで最初は1年間限定での出向だったのですが、結果的に5年間(学部4年生から修士課程2年間から博士課程2年目)、シンガポールに留学する前まで研究所にお世話になりました。

研究所での生活

当然と言えばそうなのですが、大学4年生で卒研生として来たので、最初の段階では研究のことはほとんどわからず、実験も大学3年生までの学生実習程度しかやったことがなく、比較的ハードワークな研究室だったこともあり慣れるまでは大変なこともありました。ただ、落谷先生をはじめとする研究員の方々に細かく教えていただき(ピペットの持ち方やチューブの開け方から習いました)、スムーズに研究活動を始めることができました。最初は研究員の方に考えてもらった研究テーマに取り組んだのですが、途中からは新しい研究テーマの立案から自由にやらせていただきました。当初は、修士課程まで出て企業に就職する予定だったのですが、研究所生活に慣れるにつれ居心地もよくなり博士課程まで進んでしまい、今でも楽しく研究生活をしています。

研究所でよかったこと

研究を進めていく上では有利だったと思います。大学の研究室と比べると学生の割合が少なかったこともあって、実験の手技やデータに対する議論、論文の執筆に至るまで丁寧に見ていただくことができました。学部4年から独自の研究テーマをいただけたことや、かなり運が良かったこともあり、修士2年の6月くらいに論文がHepatology誌に掲載されることが決まりました。その甲斐もあり、日本学術振興会の特別研究員DC1にも採択して頂きました。研究所での5年間の成果として、4本の第一著者の論文を含めて15本以上の原著論文にまとめることができました。おかげで、研究生活を進めていく上で順調なスタートを切ることができ、その後の留学先も比較的簡単に見つけることができました。

また、大学の研究室の場合、高価な研究機器なども個々の研究室で所有しているケースが多いと思うのですが、当研究所には共通機器室があって、個々の研究室にない機器も共通で使用することができます。共通機器室の機器は結構充実しているので、大体の実験はここで実施することが可能です。がんの研究をするにあたって基礎の研究だけに至らず、隣接する病院と共同で多くの臨床研究が実施されており、そのような研究に参加する機会もあります。

後輩へのアドバイス

私は学生時代の5年間、こちらでお世話になった後、シンガポールとアメリカの2か国に留学し、2015年に縁あって研究スタッフとして戻ってくることになり、今も研究所でお世話になっています。いまだに研究はうまくいかないことが多く、成果が出るまではしんどいのですが、なんとかこれまで研究生活を続けてこられたのは、最初にいいスタートを切れたおかげだと思っています。最初は自分ひとりではできないことが多いからこそ、研究を開始するラボ選びは非常に重要です。また、成果が出るまでに時間がかかる場合も多いので、研究自体を楽しんでできる環境がいいのではと思います。

2017年夏から新研究棟に移転し新しい環境で仕事をすることができます。立地もなかなか良く築地と銀座の間で色々と便利です。

主要な論文(NCC在籍中)

Yamamoto Y et al., Nat. Commun., 7: 10380. (2016)
Yamamoto Y et al., J Pathol., 238: 519-530. (2016)
Wang X & Yamamoto Y et al., Nature, 522: 173-178. (2015)
Yamamoto Y et al., Molecular Cancer, 10, 135. (2011)
Wang X, Ouyang H & Yamamoto Y et al., Cell, 145, 1023-1035. (2011)
Yamamoto Y et al., Biomarkers. 14, 529-538. (2009)
Yamamoto Y et al., FEBS J., 275, 1260-1273. (2008)
Yamamoto Y et al., Hepatology, 42, 558-567. (2005)