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ゲノムストレス応答学ユニット

お知らせ

2024年4月15日
五十嵐太一さんの発表が、2023年度・国立がん研究センター研究所若手研究セミナー・研究所長賞に選ばれました。
2024年3月15日
遠藤承樹さんが東京医科歯科大学連携大学院 NCC腫瘍医科学分野修士課程を修了、修士論文が「Biomedical Research Award」に選ばれました。
2024年3月15日
加藤萌さんが東京医科歯科大学連携大学院 NCC腫瘍医科学分野修士課程を修了しました。
2023年8月17日
五十嵐太一さん、矢野公義さんの論文「An ATR-PrimPol pathway confers tolerance to oncogenic KRAS-induced and heterochromatin-associated replication stress」がNature Communicationsに掲載されました。(当センタープレスリリース:正常細胞でのがん遺伝子活性化によるゲノム異常獲得機構を解明;DNA複製ストレス耐性を標的とした新しいがん予防・治療法開発に期待)
2023年8月1日
共著論文「p130RB2 positively contributes to ATR activation in response to replication stress via the RPA32-ETAA1 axis」がBiochim Biophys Acta Mol Cell Resに掲載されました。
2023年5月5日
矢野公義さんの総説「Emerging strategies for cancer therapy by ATR inhibitors.」がCancer Scienceに掲載されました。
2023年4月1日
本橋陽香さんが任意研修生として加わりました。
2022年8月1日
和田凌河さんが任意研修生として加わりました。

研究活動

がんの主な原因は、人間の細胞の設計図であるゲノムDNAへのストレスであると考えられています。ゲノムストレスは環境要因(タバコ、紫外線など)、遺伝要因(BRCA1変異など)、DNA複製要因(DNA複製における不運な間違い)によって引き起こされ、ゲノムDNAの遺伝情報が書き換えられてしまいます(DNA突然変異など)。これらのDNA突然変異によって細胞周期のアクセルが壊れる(踏まれ続ける)ことや、ブレーキが壊れた状態で増殖をくり返すこと(ブレーキが効かない)で、DNA複製時にさらなるゲノムストレス(DNA複製ストレス)を引き起こします。DNA複製ストレスはDNA複製エラーを誘発するとともに、DNAの一部の欠損・増幅・転座(ゲノム不安定性の獲得)を引き起こし、がんの発生を促進すると考えられています。我々は、このようなゲノムストレスに細胞がどのように応答し、細胞運命がどのように決まるのかを問う「ゲノムストレス応答学」を探究しています。特にDNA複製ストレスに着目し「なぜがんが発生するのか?」(正常細胞がどのようにがん細胞に進化するのか)という問いに挑戦し、これらから得られる情報をもとに「がんの弱点」を見つけ出し、新しい治療法の開発を目指しています。ゲノムストレス応答機構は、がんの発生やがんの治療に密接に関係する諸刃の剣です。我々の研究室では細胞モデルを用いた分子生物学・生化学的手法による詳細な解析を中心に、動物モデルを利用した検証研究、さらにはベンチで得られた結果をベッドへ橋渡しするTR研究などを通じてゲノムストレス応答学を深く追求し、「がんにならない」または「がんになっても治すことができる」将来をめざして日々研究に取り組んでいます。

当研究プロジェクトに興味をお持ちの方へ

ゲノムストレス応答学ユニットは、2021年10月に塩谷文章が立ち上げた研究ユニットで、ゲノムストレス応答が関わる発がんメカニズムや新規がん治療法の開発を対象に研究を行っています。分子生物学・動物モデルを用いた基礎研究をしたい方や、より臨床に近いTR研究に取り組みたい方など、医・歯・薬学系をはじめ理・工・農学系からも幅広く人材を受け入れています。特に、学術振興会特別研究員として当分野の研究に取り組んでみたいポスドクや大学院生(修士課程・博士課程)、大学生を募集しています。連携大学院で学位を取得することも可能です。また博士取得後、将来的に海外留学を目指す方も歓迎いたします。見学や相談は随時受け付けておりますので、お気軽に塩谷文章(bshiotan●ncc.go.jp)までご連絡ください。