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センター長ごあいさつ

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国立がん研究センターでは、2012年に、我が国におけるドラッグラグの解消、日本主導の創薬・医薬品機器の革新的開発を目指すために、「早期・探索臨床研究センター」(NCC-EPOC)を柏・築地両キャンパス横断的組織として立ち上げ、First-in-Human(FIH)試験、医師主導試験(企業・アカデミア製品をもちいて)とTR研究を行う体制整備に取り組んできました。東・中央の両病院が2015年に「医療法に基づく臨床研究中核病院」に指定されたことよりFIHを含む臨床試験体制は両病院が担うことから、組織再編され、「先端医療開発センター(EPOC)」が新たに設立され、国立がん研究センターの開発機能強化を進めてきました。

先端医療開発センターは、早期開発のPOCを目指した非臨床試験、早期・探索的な臨床トランスレーショナル研究(TR)を推進しています。バイオマーカー探索TR分野、病理・臨床検査TR分野を設置し、創薬シーズ研究段階からバイオマーカー探索、診断・検査開発、治療法の研究開発をおこない、東・中央の2中核拠点病院での臨床研究や治験連携をしていく橋渡しの仕組みをサポートしています。医療機器開発にもフォーカスをおこない、従来の粒子線医学に加えて次世代放射線治療開発推進としてBNCT医療開発分野を設置し、実地診療への実用化に至っています。内視鏡機器開発分野および手術機器開発分野についても整備・支援することで、新規内視鏡機器の開発、ロボット手術機器開発や画像、AIアプリ機器についても臨床開発推進しています。

また、東京大学大学院新領域創成科学研究科、カブリ数物連携宇宙研究機構、東京理科大学、ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカル・センター、フレデリック国立がん研究所との包括的な連携により、異分野が融合した共同研究も行われています。病院が持つ診療情報と、コミュニティの住民や環境の多様なデータを統合する取り組みもスタートし、国内外では他に類を見ないユニークな実証フィールドの形成を今後は目標としています。

新EPOCでは、橋渡し機能の充実にむけて「National Cancer Center(NCC) Venture Incubation Program(NCC-VIP)」とも連携し、ベンチャーなどのシーズ開発研究支援強化や、ベンチャーキャピタル、企業資金獲得での研究開発能力を向上し、さらなるエッジフィールドを目指します。RX-EPOC(リサーチトランスフォーメーションでの新しいEPOC)への変革を目指すことで拡張した機能を持つEPOCにむかって進化していきたいと考えています。皆さんのご支援、ご協力、ご指導を引き続きお願いします。

先端医療開発センター
センター長 土井 俊彦